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契約書の読みかた(3)リスク条項とは

テーマ:契約・取引

2012年10月25日

解説者

弁護士 高橋弘泰

 普段ビジネスが順調なときには気にならなくとも、いざというときに重要なのが、瑕疵担保や解除などについて定めた契約書の「リスク条項」と呼ばれるものです。今回のコラムは、リスク条項の基本について説明します。


【契約書を作成する意義】

 ビジネス契約書を作成する意義としては、(1)文書を作成することで当事者の意思内容を明確にできること、(2)口頭の合意よりも慎重になり、安易な締結や変更ができなくなること、(3)合意内容が後に争われたときに証拠となること、といった点が挙げられますが、それ以外に大きな意義としては、(4)何かトラブルが発生したときの処理手順を定めておくことにあります。


 たとえば、購入した商品に思わぬ欠陥があったとか、品数が足りなかったとか、資金繰りが厳しい状況の中で代金が期日通りに入ってこないとか、事業提携先の社長がプライベートなことで逮捕されたとか、契約時にはあまり想定していなかったトラブルが発生したとき、契約書にどのような条項が記載されているかがトラブル処理のための重要な指針を示すことになります。


 このように、普段ビジネスが順調なときには気にならなくとも、いざというときに重要なのが、瑕疵担保や解除などについて定めた契約書の「リスク条項」と呼ばれるものです。トラブルになってはじめて、条項を設けておいた意味を実感することも少なくありません。そこで今回のコラムでは、このリスク条項の基本的な部分について説明します。


【リスク条項とは】

 リスク条項とは、取引の中でトラブルが生じた場合の処理の方法をあらかじめ定める条項をいいます。例としては、売買契約において、目的物に瑕疵があった場合の瑕疵担保責任についての定め、商品に対する代金支払いが滞った場合の保証責任の定めなどがあります。


【リスク条項の必要性】

 こうしたトラブルについては、一般に民法や商法の規定により処理することも可能ですし、実際そういうケースも多いですが、契約であらかじめ定めておいた方がスムーズに処理することができ、契約に特約を定めておけば民法や商法の規定よりも優先されるので、自社に有利な処理も可能です。


 代表的な例が、いわゆる無催告解除の特約です。民法の規定では、相手方が債務を履行しない場合には、解除に先立って相当期間を定めて履行を催告することが必要となりますが(民法541条)、「○○の事由が生じた場合には、甲は何ら催告をすることなく解除することができる」と規定しておくことにより、速やかに契約を解除し、損害の拡大を防止できます。最初に上げた例でいえば、資金繰りが厳しい中で期日通りに代金が支払われない場合、直ちに契約を解除して違う相手に売るといった対処が可能になります。


 また、瑕疵担保(目的物に欠陥があった場合の保証)の期間は、民法では1年以内、商人間の売買では6か月以内と定められていますが、特約によりこれを延長することもできます。瑕疵担保については、別の機会に詳しく説明したいと思います。


 もっとも、当事者の一方に不当に有利な特約は、信義則違反などにより裁判で争ったときに無効となるケースもありますので、注意が必要です。また、実際の契約にあたっては、下請法、独占禁止法、不正競争防止法などの法律(強行法規)に違反する契約は無効となる場合がありますので、こうした点にも配慮しなければなりません。


【主なリスク条項の例】

 代表的なリスク条項を挙げると、(1)目的物に関するリスクについての瑕疵担保条項、危険負担条項、(2)支払いリスクについての債務保証条項、保証金条項、相殺(期限の利益喪失)条項、所有権留保条項、(3)取引全体に関するリスクについての損害賠償条項、解除条項、秘密保持条項などがあります。


 それぞれ実務的には極めて重要な条項ですが、これらの中で、ビジネス契約において特に重要なものは、瑕疵担保条項、債務保証条項、解除条項であろうと思われます。次回からは、これらのリスク条項についてポイントとなる部分を説明していきます。



氏名:高橋弘泰

生年:1970年生

弁護士登録年・弁護士会:
2009年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1994年東京大学法学部卒業

得意分野等:
東京都に勤務の後、大宮法科大学院に入学し、法曹を目指す。行政事件、刑事事件など公益的な活動に力を入れる一方、民事分野でも敷居が低く利用しやすいと同時に、内容的には決して妥協しない良質な法的サービスの提供に努めていきたいと思います。

所属事務所:
法律事務所フロンティア・ロー http://frontier-omiya.jp/index.html

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