本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

トップページ  >  経営をよくする  >  法律コラム

特集一覧 中小企業に役立つ記事や施策をトピックスごとにまとめています。

下請法の基礎知識(3)親事業者の注意点

テーマ:契約・取引

2011年8月18日

解説者

弁護士 高橋弘泰

 前回に引き続き、下請法の規制する取引について、今回はトンネル会社規制や買いたたきなど、親事業者が注意すべき点を具体的に説明します。


【子会社を通した取引】

 下請法には資本金の額を基準として適用区分がなされていることはすでに述べた通りですが、子会社を通して取引する場合には注意が必要になります。
 すなわち、事業者(直接下請事業者に委託をすれば下請法の対象となる場合)が、資本金3億円以下の子会社を設立し、その子会社を通して委託取引を行っている場合、(1)親会社・子会社間の支配関係、(2)関係事業者間の取引実態が一定の要件を満たせば、その子会社は、親事業者とみなされて下請法の適用を受けることになります。これがいわゆる「トンネル会社規制」と呼ばれるものです。


 なお、上記の「資本金3億円」というのは、物品の製造・修理、プログラムの作成、運送・物品の倉庫保管・情報処理の委託の場合であり、プログラムを除く情報成果物の作成委託、運送・物品の倉庫保管・情報処理を除く役務提供の委託の場合は5千万円になります。
 また、資本金1千万円基準についても同様に、物品の製造・修理、情報成果物の作成及び役務提供の各委託取引に適用されます。


【トンネル会社の要件】

 上記の子会社(トンネル会社)に関する2つの要件のうち、(1)親会社・子会社間の支配関係については、具体的には、議決権が過半数あるなど、親会社が役員の任免、業務の執行などについて子会社を実質的に支配していること、とされています。(2)関係事業者間の取引実態については、具体的には、親会社から受けた委託の額又は量の50%以上を再委託しているなど、相当部分を他の事業者に再委託していること、とされます。


 ちなみに、いわゆる「取次ぎ」と呼ばれるものの場合は、直接の取引当事者ではなく、単に契約事務を代行するだけなので、下請法の対象とはなりません。


【買いたたき】

 いわゆる「買いたたき」とは、下請事業者の給付の内容と同種又は類似の内容の給付に対し、通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金の額を不当に定めることをいいます(下請法4条1項5号)。買いたたきが禁止される趣旨は、親事業者が、その地位を利用して、限度を超えた低価格を下請事業者に押し付けることは、下請事業者の利益を損ない、経営を圧迫することにつながるため、公正な取引を阻害する濫用行為として親事業者を規制する必要があるということです。


 「買いたたき」に該当するかどうかは、(1)価格水準が著しく低いかどうか、(2)下請代金の決定が不当な方法で行われていないか、(3)対価が差別的でないか、などを考慮して判断されます。下請代金の決定にあたっては、下請事業者の事情も重要な考慮要素となります。


【買いたたきの具体例】

 買いたたきの具体例としては、(1)下請代金の据え置き、(2)納品後の下請代金の決定、(3)多くの回数で小口納入させる、といったケースがあります。


 (1)の例としては、親事業者が下請事業者に対してプライバシーマーク認証の取得を要請し、その要請に応じない場合は以後の取引を停止すると通知する一方で、同認証の取得には相当の費用が必要であることが明らかであるにもかかわらず、一方的に従来通りの下請代金を定めたような場合が考えられます。


 (2)の例としては、親事業者が下請代金を明示することなく部品を発注し、納品後に、通常の対価相当と考えられる下請事業者の見積価格を大幅に下回る単価で、一方的に下請代金の額を定めたといったケースが考えられます。


 (3)の具体例としては、親事業者がそれまで週1回だった配送を週3日に変更するよう下請事業者に申入れ、下請事業者が、配送頻度が多くなることにより単価が高くなることを前提にした見積書を提出したにもかかわらず、親事業者が一方的に従来と同じ単価で下請代金を定めたようなケースが考えられます。


 いずれのケースにおいても、「一方的に」というのがキーワードです。下請事業者の事情を考慮せず、十分な協議を尽くしていないことから、対価の決定方法に不当性があると考えられるのです。


【下請代金の減額】

 下請法は、下請事業者に責任がないのに、下請代金の減額をすること(発注時に定められ、交付書面に記載された額から一定額を減じて支払うこと)を全面的に禁じています(下請法4条1項3号)。値引き、協賛金などの減額の名目や方法は問いません。下請代金の総額をそのままにして、数量のみを増加させる場合もこれに該当します。注意すべき点は、下請事業者との合意があっても下請法違反となるということです。


 勧告・公表されている事件の大半は減額に該当するものであり、親事業者にとってこの点の対応には特に注意する必要があります。


氏名:高橋弘泰

生年:1970年生

弁護士登録年・弁護士会:
2009年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1994年東京大学法学部卒業

得意分野等:
東京都に勤務の後、大宮法科大学院に入学し、法曹を目指す。行政事件、刑事事件など公益的な活動に力を入れる一方、民事分野でも敷居が低く利用しやすいと同時に、内容的には決して妥協しない良質な法的サービスの提供に努めていきたいと思います。

所属事務所:
法律事務所フロンティア・ロー http://frontier-omiya.jp/index.html

同テーマの記事を見る 3つのコンテンツから検索ができます!

このページの先頭へ

このページの先頭へ