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反社会的勢力との関係遮断(3)

テーマ:企業統制・リスク管理

2011年6月30日

解説者

弁護士 石井邦尚

 最近、取引を開始する際などに、「当社は反社会的勢力ではなく、反社会的勢力との取引もない」といった内容の誓約書を求められたり、契約書の中にそのような内容の条項や、反社会的勢力と判明した場合には契約を解除できるといった内容の条項が置かれたりすることが増えてきました(以下ではこれら条項を「反社会的勢力排除条項」と総称します)。


 今回は、反社会的勢力排除条項の意味、こうした条項を導入するメリットなどを解説します。


【反社会的勢力排除条項の機能、効果】

 反社会的勢力排除条項として典型的なものは、自らが反社会的勢力ではなく、反社会的勢力との取引もしていないことなどを表明、確認する条項(以下「表明条項」)と、反社会的勢力であることが判明した場合などに契約を解除できるとする条項(以下「解除条項」)です。契約書では、表明条項を定めたうえで、表明条項違反を解除事由とするという書き方もあります。


 反社会的勢力排除条項の機能、効果として、まず(1)契約解除の法的根拠となるということが挙げられます。契約を締結する段階でわからなかった場合でも、後に取引先が反社会的勢力であることが判明した場合には、直ちに契約を解除するべきですが、契約書に明記してあれば、契約解除が法的に認められる重要な根拠となります。特に継続的な取引では重要です。


 ただし、このような条項が入っていなければ絶対に解除できないわけではないので、あきらめるのではなく、弁護士などに相談して適切に対処するようにしてください。


 また、反社会的勢力排除条項を置くこと自体による(2)予防的、抑止的な効果があります。反社会的勢力としても、反社会的勢力排除条項を置いているような企業と取引をして面倒なことになるよりも、別のターゲットを探した方がよいと考えるといった効果が期待されます。とはいえ、形だけの反社会的勢力排除条項で、実態が伴っていないと見られてしまっては、こうした効果は期待薄です。反社会的勢力排除に対する真摯な取り組みがあってこそ、こうした効果も期待できるのです。


 さらに、他の取引先などとの関係で、(3)反社会的勢力の排除に取り組んでいることを明確に出来るという効果もあります。取引先などから、反社会的勢力の排除に対する取り組みを尋ねられたような場合に、他の取引先との間で反社会的勢力排除条項を含んだ契約を締結しているということは、もっとも簡便で明確な回答です。逆の立場で考えてみれば、こちらが求めた反社会的勢力排除条項を含んだ契約に簡単にサインをするけれども、自分たちは取引先との契約に反社会的勢力排除条項も入れていないというのでは、安心して取引できないということがわかると思います。


【反社会的勢力排除条項の難しさ】

 反社会的勢力排除条項が、契約解除の法的根拠となると説明しましたが、実際に裁判となった場合には、反社会的勢力排除条項が適用されるのか否かを立証することは必ずしも簡単ではありません。


 反社会的勢力は、契約書では「暴力団、暴力団員、暴力団関係企業・団体、またはその関係者、総会屋、社会運動標ぼうゴロ、政治活動標ぼうゴロ、特殊知能暴力集団、その他反社会的勢力」などと定義することが多いです。漏れがないよう、比較的広めに定義されることが多いのですが、「暴力団、暴力団員、暴力団関係企業・団体」くらいまではともかく、それ以降のものはどうしても曖昧さが残ってしまいます。


 さらに、定義の曖昧さに加えて、これに該当することをどのように「立証」するのかということも問題となります。したがって、暴力団排除条項を活用しようとする場合には、早い段階から弁護士などに相談し、立証も視野に入れて取り組むことが大切です。


 また、このように反社会的勢力か否かという属性については難しさが残るので、行為態様に着目した反社会的勢力排除条項を設けることもあります。例えば、銀行取引約款では、解除事由として「お客様が当行との取引に関して脅迫的な言動をし、または暴力を用いたとき、もしくは風説を流布し、偽計を用いまたは威力を用いて当行の信用を毀損し、または当行の業務を妨害したとき、その他これらに類するやむをえない事由があったとき」などという条項が入れられていることが一般的です。


【業界や各企業の取引の実態にあった条項を】

 反社会的勢力排除条項を設ける場合は、一般的な条項を単に引き写すのみでは不十分であり(もちろん、それでも条項を設けないよりははるかに良いですが)、各業界や各企業の取引の実態に即した反社会的勢力排除条項を考えることが適切です。


 例えば、請負契約で元請けの下に孫請け(二次下請け)、三次下請けと続くような場合、元請け企業は反社会的勢力ではなくても、二次下請けなどが反社会的勢力であるということもあり得ます。このような場合、発注者は、直接の契約関係にある元請け企業が反社会的勢力でなければ構わないというのでは、適切ではありません。


 そこで、こうしたケースでは、元請け企業との契約の中に、元請け企業が反社会的勢力に下請けに出さないことはもちろん、孫請け以下の企業が反社会的勢力であることが後から判明したような場合の対処法を定めておく(例えば、元請け企業が直ちに反社会的勢力との契約を解除するなど適切な対処をしない場合は、契約を解除できるといった条項)べきです。


 反社会的勢力排除条項は、今後ますます重要性が増してくると思われますので、一度は弁護士などに相談してみることをおすすめします。


氏名:石井邦尚

生年:1972年生

弁護士登録年・弁護士会:
1999年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1997年東京大学法学部卒業、2003年コロンビア大学ロースクールLL.M.コース修了

得意分野等:
米国留学から帰国後に「挑戦する人(企業)の身近なパートナー」となるべくリーバマン法律事務所を設立、IT関連事業の法務を中心とした企業法務、新設企業・新規事業支援、知的財産などを主に取り扱う。留学経験を活かし、国際的な視点も重視しながら、ビジネスで日々発生する新しい法律問題に積極的に取り組んでいる。

所属事務所:
リーバマン法律事務所 http://www.rbmlaw.jp/

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