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インターネットと著作権の基礎(2)-著作権法の特徴

テーマ:著作権

2010年8月 5日

解説者

弁護士 石井邦尚

前回、悪気がなくても、思ってもいなかった形で著作権法違反の指摘を受ける危険性があることを述べました。今回は、なぜこのようなことが起こるのか、著作権の特徴を解説します。まずその前提として、最近、著作権への注目が高まっている理由を考えてみます。


1.なぜ著作権への注目が高まっているのだろうか?

著作権は古くからある権利ですが、パソコンやインターネットの普及により注目が高まっています。その理由として、次のようなことが考えられます。


  • (1)様々な情報がデジタル化して扱われるようになり、かつ、そうしたデジタル情報を扱う各種機器(例えば音楽プレーヤー)やコンピュータが普及した。これにより、著作物を容易にコピーすることが可能となった。
  • (2)インターネットの普及により、著作権法に違反して作られたデータが広く流通している。
  • (3)PCの発達により、他人の作った音声や画像、動画などをいろいろと加工して、新しい「作品」を作ることができるようになった。さらに、インターネットの普及により、そうした作品を発表する機会も増えた。
  • (4)インターネットの普及により、ホームページやブログ、ツイッターなどで簡単に情報を発信できるようになったが、その際に、うっかり著作権法違反をしてしまうことがある。また、(正確な知識がないために)著作権法違反をしているのではないかと不安を感じながら情報発信をしている人も少なくない。
  • (5)コンピュータやインターネットを活用した新しいサービスなどが、著作権法に違反するのではないかという疑義などを聞く機会が増えた(例えば、前回、著作権法改正前はYahoo!やGoogleなどの情報検索サイトが著作権法違反ではないかという疑義が持たれていたことを紹介しました)。

2.著作権法上の権利の特徴

「著作権」ではなく、「著作権法上の権利」という表現を使った理由は、次回で解説します。
 著作権法上の権利には、次のような特徴があります。特に(1)は、上記の著作権法への注目が高まっている理由に関係しています。


(1)登録などの手続きなしで権利が発生する。
特許権が発生するには登録が必要です。したがって、調査をすれば特許権があるかないかはわかります。
 これに対して、著作権は登録などの手続きなしで発生します。
 そして、プロの作家が書いた小説でなくても、例えば、あなたの書いた日記にも著作権が発生する可能性は十分にあります。他人のブログに書かれた文章を安易にあなたのブログにコピーしたりすると、著作権法に違反する危険があります。インターネット上に流通しているほとんどのコンテンツは、何らかの形で著作権が発生していると考えた方がよいくらいです。


(2)アイデアは保護されない。
著作権法で保護されるのは「表現」のみで、その背後にあるアイデアなどは保護されません。したがって、例えば、斬新なアイデアで新しいスタイルの手帳を作ったとしても、アイデアの部分は保護されないのです。


(3)著作物を独占的に利用する権利である。ただし、「相対的」なものにすぎない。
著作権者は、著作権を独占的に行使することができます(その意味は、次回に解説します)。
 ただし、AさんとBさんが全くの偶然で同じような著作物を創作した場合は、どちらが先に創作したかに関係なく、二人に著作権が発生します。後から創作した人も著作権侵害にはならないのです。その意味で著作権は、独占権といっても「相対的」なものなのです。なお、特許の場合は、偶然に同じ発明をした場合でも、先に登録した方に特許権が発生します。
 もっとも、例えば、全く同じ文章を偶然に考えつく可能性はきわめて低いので、一致する部分が多い場合は、訴訟などで、著作権侵害でなく偶然の一致であるということを立証するのは容易ではありません。

 (2)や(3)は、(1)の特徴と密接に関連しています。登録などの手続きなしに、簡単に著作権が発生する以上、それにあまり強い効力を与えすぎると社会の発展が阻害されかねません。そこで、(2)や(3)のように、例えば特許権と比べると、著作権は限定的な権利となっているのです。
 もっとも、従来は作家や画家、写真家などの「プロ」を中心に著作権を考えていれば良かったのですが、(1)の特徴があるために、インターネットの普及により、一般の人の創作物も含めて著作権を考える必要がでてきています。自分では著作権者という自覚を持っていなかった人も、後になって著作権を主張する可能性は十分あるので、注意が必要です。
 次回は、著作権法上の権利の具体的な内容について解説します。


氏名:石井邦尚

生年:1972年生

弁護士登録年・弁護士会:
1999年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1997年東京大学法学部卒業、2003年コロンビア大学ロースクールLL.M.コース修了

得意分野等:
米国留学から帰国後に「挑戦する人(企業)の身近なパートナー」となるべくリーバマン法律事務所を設立、IT関連事業の法務を中心とした企業法務、新設企業・新規事業支援、知的財産などを主に取り扱う。留学経験を活かし、国際的な視点も重視しながら、ビジネスで日々発生する新しい法律問題に積極的に取り組んでいる。

所属事務所:
リーバマン法律事務所 http://www.rbmlaw.jp/

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