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全株式譲渡制限会社による募集株式の発行(2)

テーマ:資金調達

2010年5月20日

解説者

弁護士 戸谷 景

【募集事項の決定機関】

1.原則

 全株式譲渡制限会社の場合、募集事項等の決定機関は原則として株主総会となり、特別決議が要求されます(会社法199条2項、202条3項4号、309条2項5号)。
 この「特別決議」というのは、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(1/3以上の割合を定款で定めた場合は、その割合以上)を有する株主が出席した株主総会において、出席した株主の議決権の2/3(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行う決議のことです。


2.例外その1...株主割当ての場合

 全株式譲渡制限会社が株主割当ての方法によって募集株式を発行する場合の例外は、以下の2パターンです。


  • (1)取締役会を設置していない会社であって、前回コラムの(1)〜(7)の募集事項等を取締役の決定によって定めることができる旨の定款の定めがある場合は、取締役が決定する(会社法202条3項1号)。
  • (2)取締役会を設置している会社であって、(1)〜(7)の募集事項等を取締役会の決議によって定めることができる旨の定款の定めがある場合は、取締役会の決議により決定する(同項2号)。

3.例外その2...第三者割当ての場合

 第三者割当ての場合には、株主総会の特別決議によって、募集事項の決定を取締役会(取締役会がない場合は取締役)に委任することもできます(会社法200条1項前段、309条2項5号)。
 ただし、無制限の委任は許されず、募集株式の数の上限と払込金額の下限はその株主総会において定める必要があり(同法200条1項後段)、委任を受けた取締役会または取締役は、払込期日または払込期間の末日を、その株主総会決議の日から1年以内の日になるように設定することも要求されます(同条3項)。


【種類株式発行会社の場合に要求される手続】

1.第三者割当ての場合

 会社法108条1項各号に規定されている事項について、内容の異なる2つ以上の種類の株式を発行している全株式譲渡制限会社が、第三者割当てによってある種類の株式の引受人を募集する場合には、募集事項の決定またはその決定の委任について、その種類株式の既存株主を構成員とする種類株主総会の特別決議を得る必要があります(同法199条4項本文、200条4項本文、324条2項2号)。
 もっとも、そのような種類株主総会決議を要しない旨を定款で定めている場合と、その種類株主総会で議決権を行使できる株主がいない場合には、これが不要となります(同法199条4項本文、ただし書、200条4項本文、ただし書)。


2.株主割当ての場合

 これに対し、株主割当ての場合は、募集事項の決定について種類株主総会決議は要求されないのが原則になります(会社法202条5項、199条4項)。
 例外的に、その種類株式の発行によってある種類株式の株主が損害を被るおそれがあるときは、その損害を被るおそれのある種類株主を構成員とする種類株主総会の特別決議を得なければなりません(同法322条1項4号、324条2項4号)。
 ただし、そのような種類株主総会決議を要しない旨を定款で定めている場合と、その種類株主総会において議決権を行使できる株主がいない場合には、やはりこれが不要となります(同法322条1項ただし書、2項)。


【有利発行の場合に要求される手続】

1.第三者割当ての場合

 払込金額が募集株式を引き受ける者に特に有利な金額である場合、取締役は、募集事項を決定する株主総会において、その払込金額で募集することを必要とする理由を説明しなければなりません(会社法199条3項)。
 募集事項の決定を取締役または取締役会に委任する場合にも、払込金額の下限が特に有利な金額であるならば、取締役は、委任決議を行う株主総会において、その払込金額で募集することを必要とする理由を説明しなければなりません(同法200条2項)。
 この「必要とする理由」というのは、例えば「従業員に対して安価な払込金額で株式を発行し、勤務意欲を高める」、「他社に安価な払込金額で株式を発行し、業務提携関係を築く」などであり、客観的合理性は要求されないとするのが多数説です。しかし、引受人が既存株主であり、その株主が議決権を行使したことにより決議が成立した場合に、取締役の説明した理由に客観的合理性がなければ、「著しく不当な決議」(同法831条1項3号)として決議が取り消される可能性が高いと解されています。


2.株主割当ての場合

 株主割当ての方法による場合には、第三者割当ての場合に必要とされる取締役の説明は不要とされています(会社法202条5項、199条3項)。
 既存株主がその持株数に応じて株式を得ることになるので、どんなに安い払込金額であっても、基本的には既存株主に損害を与えないからです。


氏名:戸谷 景

弁護士登録年・弁護士会:
2009年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
2008年大宮法科大学院大学卒業

所属事務所:
法律事務所フロンティア・ロー http://frontier-omiya.jp/index.html

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