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法律コラム


[知的財産法|2013年10月18日]
弁護士 石井邦尚

会社名やブランド名、商品名などの使用と保護(2)商標の登録

弁護士 石井邦尚

 ビジネスでは、会社名やブランド名、商品名、サービス名など、様々な名称が使われます。それに併せて、ロゴマークなどが使われることもよくあります。
 今回は、名称やマークなどの表示を保護する法律である、商標法に基づく商標の登録について解説します。

【商標登録のメリット】

 商標登録をすると、登録した商品や役務(指定商品、役務といいます。)について、登録商標を使用する権利を専有し(商標法25条)、それを他人が指定商品、役務と同一又は類似する商品、役務に使用等することを差し止めることができます(同法36条、37条)。

 前回解説したとおり、名称やマークなどは商標登録がされていなくても、不正競争防止法などにより保護されることもあります。
 しかし、不正競争防止法により実際に保護を受けるためには、訴訟では例えば、自らの名称やマークなどが「商品等表示として需要者の間に広く認識されている」ことや、相手方の表示が自らの「商品又は営業と混同を生じさせる」ことなどを立証しなければなりません。これはそれほど簡単ではありません。

 商標登録がなされていれば、このような立証等は不要で、類似する商標が、指定商品、役務と同一又は類似した商品や役務について使用等されていれば、商標権侵害になります。 また、商標登録することにより、全国的な保護を受けることができます。

 このように、商標登録をすれば安心して法的保護を享受することができ、ブランド構築等に注力できるようになります。

【商標登録の要件】

 商標法は基本的には、「このような商標は登録できる」というのではなく、「このような商標は登録できない(=それ以外は登録できる)」という要件の定め方をしています。

 登録できない表示の、代表的なものは次のとおりです(1から6は商標法3条1項、7以下は同法4条1項)。新しい商標を作る際には、これらが商標登録できないことに注意する必要があります。

1.普通名称

 取引社会においてその商品又は役務の一般的名称であると認められるものです。例えば、ボールペンについて、「ボールペン」という商標を登録しようとしても、認められません。

2. 慣用商標

 商品・役務を提供する業者間で一般的に使用されていると認められるものです。
 清酒に「正宗」は慣用商標として認められない、という例が有名です。

3. 商品の産地、販売地、品質、原材料等

 商品の産地、販売地、品質、原材料などは、それ自体では、識別力がなく、それだけでは商標登録できません。

4. ありふれた氏、名称

 例えば、「佐藤」「田中」といった氏は、ありふれており、商標登録できません。
 ありふれているかどうかの判断は、電話帳に相当数掲載されているかどうかが目安になります。

5. 極めて簡単かつありふれた名称

 例えば、ひらがな一文字などは、商標登録できません。

6. 識別力のないもの等

 上記1から5に該当しない場合でも、需要者が、誰の業務に係る商品・役務であるかを認識できない表示は、商標登録できません。
キャッチフレーズやスローガンは、これにより商標登録ができない場合が多いです。

7.周知商標

 他人の業務に係る商品・役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標については、それが商標登録されていない場合であっても、それと同一又は類似の商標を、同一又は類似の商品、役務について商標登録することはできません。

8.先願商標

 既に他人が、同一又は類似の指定商品、役務について、同一又は類似の商標の登録を出願している場合は、商標登録はできません。

9.混同的商標

 他人の業務に係る商品又は役務と混同を生じるおそれがある商標は、登録ができません。

10.著名商標

 著名な商標を、不正の目的を持って使用するものについては、商標登録はできません。
 著名な商標とは「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標」をいいます。例えば、「ソニー」「トヨタ」などがこれに該当します。
 不正な目的というのは、「不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的」をいいます。

【例外的に認められる場合(特別顕著性)】

 ところで、自動車の「トヨタ」「スズキ」などは、上記4に該当して、商標登録が認められなさそうです。
 しかし、上記3から5に該当する場合でも、例外的に、実際に使用された結果、需要者が誰の商品、役務であるかということを認識するようになったものは、商標登録が認められます(商標法3条2項)。自動車の「トヨタ」「スズキ」などは、この規定により、登録が認められることになります。
 もっとも、既に長年使用してきた商標はともかく、これから新しく考える商標について、最初からこの規定により商標登録を目指そうというのは非現実的といえるでしょう。

【使用していなくても登録可】

 商標登録では、出願した商標が、既に使われているかどうかは問われません。
 例えば、実際に商標として採用するかどうかの選定段階で、消費者の嗜好の調査などが行われることがありますが、調査費用をかける前に商標登録の出願を行うことにより、先に他に人に商標が登録されてしまうというリスクなどを減らすことができます。したがって、どのタイミングで登録申請をするかも重要です。

【商標審査基準について】

 実際に、どのような基準で商標の審査を行われているかを知るには、特許庁審査業務部商標課商標審査基準室が、インターネットで公開している「商標審査基準(改訂第10版一部改正)」が参考になります。

 

氏名:石井邦尚

生年:1972年生

弁護士登録年・弁護士会:
1999年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1997年東京大学法学部卒業、2003年コロンビア大学ロースクールLL.M.コース修了

得意分野等:
専門は企業法務。30年ほど前に小5ではじめてコンピュータを知ったときの驚きと興奮が忘れられずに、今でもITを愛好していることの影響から、企業法務の中でも、特にIT関連の法務を専門としている。著書に「ビジネスマンと法律実務家のためのIT法入門」(民事法研究会)など。

所属事務所:
カクイ法律事務所 http://www.kakuilaw.jp

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