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労働契約法の改正(2)〜有期労働契約の雇止めルールの明文化など

テーマ:解雇・退職

2013年5月21日

解説者

弁護士 石井邦尚

 昨年(2012年)改正された労働契約法について、前回は有期雇用契約が無期雇用契約に転換する「5年ルール」を解説しました。今回は、有期労働契約の雇止め制限ルールの明文化など、その他の改正点について解説します。


【有期労働契約の雇止め制限ルールの明文化】

 有期労働契約は、更新がなされない場合には期間満了により契約終了となります。ただし、契約期間を経過しても労働を継続し、使用者が異議を述べないようなときには、黙示の更新があったものとして取り扱われてしまうので、注意が必要です。実際には、黙示の更新を回避するため、使用者は更新をせずに期間満了とともに契約を終了するという意思表示をすることになります。このように、期間満了により有期労働契約を修了することを、一般に「雇止め」と呼んでいます。
 民法の原則からすれば、期間満了により契約を終了する雇止めは自由に行えるはずなのですが、有期労働契約であっても、実際には何回も更新が繰り返されて長期間働いているというケースがよく見られるため、民法の原則をそのまま適用するのは、実態にそぐいません。そこで、従来から判例は、反復更新された有期労働契約について、期間満了による契約打ち切り(雇止め)に、解雇法理を類推するなどして、雇止めを制限してきました。
 こうした判例を踏まえ、2012年の労働契約法改正では、判例法理を明確化することとし、判例が認めてきた雇止め制限ルールを条文に明文化しました(労働契約法19条)。


 雇止めが制限されるのは、


(1)有期労働契約が過去に反復して更新されており、契約期間満了時に契約を更新しないこと(雇止め)が、無期労働契約の労働者に解雇の意思表示をすることにより契約を終了させることと社会通念上同視できる場合
又は
(2)労働者が有期労働契約の期間満了時に契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由がある場合


のいずれかに該当するときです。どちらかに該当し、かつ、(i)労働者が期間満了前に契約更新の申込みをしたか、または期間満了後遅滞なく有期労働契約締結の申込みをしており、(ii)使用者がこの申込みを拒絶すること(雇止め)が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときには、使用者は従前の有期労働契約と同一の労働条件で申込みを承諾したものとみなされます(すなわち、有期労働契約を締結したことになります)。
 なお、上記(i)の労働者の更新の申込みは黙示のものでもよく、例えば、使用者の雇止めに遅滞なく異議を述べた場合にも、黙示の更新又は契約締結の申込みをしたことになると解されています。
 前述のとおり、この雇止め制限ルールは、判例法理を明文化したものなので、上記(i)(ii)の判断にあたっては、これまでの裁判例の積み重ねが承継されるものと一般に解釈されています。具体的な適用については、弁護士などの専門家によく相談することをお勧めします。
 前回、「5年ルール」による有期労働契約の無期労働契約への転換について解説しましたが、5年ルールを避けるために、通算期間が5年を超える直前に雇止めをしたような場合、この雇止め制限ルールにより、それが有効かどうかが吟味されることになるので、注意が必要です。


【不合理な労働条件の禁止】

 2012年の労働契約法改正では、有期労働契約であることによる不合理な労働条件を禁止する規定が設けられました(労働契約法20条)。
 具体的には、有期労働契約の労働者の労働条件が、無期労働契約の労働者の労働条件と相違する場合、その労働条件の相違が、労働者の業務の内容及び業務に伴う責任の程度、職務の内容及び配置の変更の範囲、その他の事情を考慮して、「不合理と認められるものであってはならない」とされています。
 「不合理と認められるものであってはならない」というのは、相違が合理的なものとまで認められる必要はないが、「不合理」であってはならない、すなわち、有期契約労働者の労働条件が、法的に否認すべき程度に不公正に低いものであってはならないということです。なお、厚労省のパンフレットでは、通勤手当、食堂の利用、安全管理などについて労働条件を相違させることは、特段の理由がない限り、合理的とは認められないという解釈が示されています。
 この規定は訓示的なものではなく、強行規定であり、違反した場合は不合理とされた労働条件は無効となり、また、不法行為に基づく損害賠償請求の根拠などにもなり得ると解されています。


氏名:石井邦尚

生年:1972年生

弁護士登録年・弁護士会:
1999年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1997年東京大学法学部卒業、2003年コロンビア大学ロースクールLL.M.コース修了

得意分野等:
米国留学から帰国後に「挑戦する人(企業)の身近なパートナー」となるべくリーバマン法律事務所を設立、IT関連事業の法務を中心とした企業法務、新設企業・新規事業支援、知的財産などを主に取り扱う。留学経験を活かし、国際的な視点も重視しながら、ビジネスで日々発生する新しい法律問題に積極的に取り組んでいる。

所属事務所:
リーバマン法律事務所 http://www.rbmlaw.jp/

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