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電子商取引の注意点(2)操作ミスと重過失

テーマ:自社HP・eコマース

2012年12月13日

解説者

弁護士 高橋弘泰

 前回に引き続き、電子商取引の注意点について説明します。


【ウェブ画面での契約の成立】

 前回のコラムで、ウェブ画面上での承諾通知について説明しました。その補足になりますが、「お申込みありがとうございました。在庫を確認の上、受注が可能な場合には改めて正式な承諾通知をお送りします。」といったように、契約の申込みへの承諾が別途なされることが明記されている場合などは、受信の事実を通知したにすぎず、そもそも承諾通知には該当しないと考えられます。


 承諾通知がウェブ画面上に表示された後、契約成立を確認する旨の電子メールが別途送信される場合もありますが、この場合も契約の成立時期はあくまで承諾通知が表示された時点であり、後から電子メールが到達した時点ではありません。他方、承諾通知がウェブ画面に表示されなかった場合、契約成立を確認する旨の電子メールが送信されていれば、それが到達した時点で契約は成立しています。


【操作ミスで契約してしまった場合】

 ウェブ画面上での契約申込みには、操作ミスがつきものといえます。事業者と消費者の間での電子契約では、事業者側が、消費者の申込み内容などの意思を確認する措置を設けていない場合には、原則として、操作ミスによる契約は無効となります(電子契約法第3条)。


 例えば、キャンセルボタンと思って押したが、有料の契約の申込みボタンだった場合(意図しない申込み)とか、1個のつもりが11個と入力して申込みボタンを押してしまった場合(意図と異なる申込み)などです。


【「確認を求める措置」とは何か】

 しかしながら、事業者が消費者に対して申込みを行う意思や申込みの内容について画面上確認を求める措置を講じた場合には、事業者は、消費者に意図しない申込みや意図と異なる申込みをしたことについて重大な過失があることを主張することができます(民法第95条ただし書、電子契約法第3条ただし書)。


 この「確認を求める措置」としては、申込みを行う意思の有無及び入力した内容をもって申込みにする意思の有無について、消費者に実質的に確認を求めていると判断し得る措置になっている必要があります。
 具体的には、次のようなものが考えられます。


  • ・あるボタンをクリックすることで申込みの意思表示となることを消費者が明らかに確認することができる画面を設定すること
  • ・最終的な意思表示となる送信ボタンを押す前に、申込みの内容を表示し、そこで訂正する機会を与える画面を設定すること

【「意思の表明」とは】

 消費者自らが「確認を求める措置」を要しない旨の意思を表明した場合は、電子契約法第3条本文の適用はなく、事業者は、民法第95条ただし書の規定により、消費者に意図しない申込みや意図と異なる申込みをしたことについて重大な過失があることを主張することができます(電子契約法第3条ただし書)。


 この「意思の表明」とは、消費者がその自主的な判断により、自ら積極的に確認措置の提供が必要でないことを事業者に明らかにするとの趣旨であり、その認定は慎重になされると考えられます。消費者が確認措置を要しないとは望んでいないにもかかわらず、事業者によってそれに同意するよう強制されたり、意図的に誘導されたりしたような場合は、ここでいう消費者の意思の表明には当たりません。例えば、確認措置を講じていない事業者が、一方的に「確認措置を要しない旨同意したものとみなす。」としているような場合や、「確認措置を必要としない旨表明いたします」というボタンをクリックしなければ商品を購入できないような場合はここでいう消費者の意思の表明には当たりません。要するに、各別かつ明示の方法により、消費者側の主体的意思が形成され、確認措置を不要とする意思の表明がされるものでなければならないということです。
 この「意思の表明」の有無については、事業者の側で主張・立証する責任があります。



氏名:高橋弘泰

生年:1970年生

弁護士登録年・弁護士会:
2009年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1994年東京大学法学部卒業

得意分野等:
東京都に勤務の後、大宮法科大学院に入学し、法曹を目指す。行政事件、刑事事件など公益的な活動に力を入れる一方、民事分野でも敷居が低く利用しやすいと同時に、内容的には決して妥協しない良質な法的サービスの提供に努めていきたいと思います。

所属事務所:
法律事務所フロンティア・ロー http://frontier-omiya.jp/index.html

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