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契約書の読みかた(2)

テーマ:契約・取引

2012年10月11日

解説者

弁護士 高橋弘泰

今回は、前回のコラムに続いて、会社間で交わされるビジネス契約書について、ちょっとした疑問点や気をつけた方がよい部分などを述べてみたいと思います。


【契約書についての疑問】

1.当事者はなぜ「甲」「乙」と表記するのか

 日本語の契約書では「○○株式会社(以下、「甲」という。)」「▲▲株式会社(以下、乙という。)」などのように、当事者を「甲」及び「乙」と表記することが多いですが、これは必ずしも守るべきルールというわけではありません。法律文書の慣例のようなもので、「売主」と「買主」、「X」と「Y」でも全く構わないのですが、「甲」「乙」は他の文字と区別しやすく、誤記をチェックしやすいという利点があるという人もいます。


2.捺印は実印でなければならないか

 契約書に押す印鑑は、実印でなければならないという決まりはありませんが、認印は一般の文房具店などでも入手できることから、重要な契約書には偽造のリスクの少ない実印が用いられるようです。会社では通常「会社代表社印」が設立時に登記所に届けられ、実印となります。いわゆる「社印(社判、角印)」は個人の認印と同じようなものです。偽造のリスクもありますので、重要な契約書には用いられません。


3.取締役は契約締結の権限があるか

 通常は、会社の契約で契約締結権限を持つのは代表取締役ですが、代表取締役を設置していない会社(取締役会がない会社)においては、法律上すべての取締役に契約締結権限があります。また、代表取締役設置会社においても、会社から権限を与えられていれば、個々の取締役が契約を締結することができます。「部長」や「課長」についても同様です。ただし、契約の際には、権限が与えられているか、またその契約締結が与えられた権限の範囲内にあるかを確認する必要があります。


【どんな場合に契約書の書き直しが必要か】

 契約当事者が変われば、当然契約書を作成し直さなければなりません。では、当事者そのものは変わらないが、契約書の記載に関わる何らかの変化があった場合は、契約書の効力はどうなるでしょうか。


1.社名変更の場合

 単なる社名変更の場合は、契約書の効力には影響ありません。もっとも、会社の社名変更の場合には相手方に通知することが契約条項に含まれているような場合には注意が必要です。通常は、契約相手方には社名変更を通知するのが一般的なルールでしょう。


2.組織再編の場合

 合併、会社分割、事業譲渡などの組織再編は、社名変更とは異なり、従来の契約関係に影響を与える場合がありますので注意が必要です。
 細かい説明はまたの機会に譲りますが、基本的に、合併や会社分割においては、契約関係は存続会社、吸収分割承継会社に包括的に承継されるので、相手方から解除されなければ契約関係はそのまま続きます。この場合、改めて契約書を作り直さなくとも契約の効力には影響ありません。
 この例外として、従来の契約書の中に、会社支配権に大幅な変更があった場合に相手方に解除権を認める条項があれば、契約が解除される可能性があります。これをチェンジ・オブ・コントロール条項あるいは支配権移動条項などといいます。
 また、事業譲渡の場合には、合併や会社分割と異なり、個別の契約ごとに相手方の承諾を取る必要があります。


【契約が終了した場合の手続き】

 契約が終了した場合に、何か手続きが必要になるでしょうか。契約書上何を注意すべきでしょうか。
 契約解除により契約が終了する場合には、解除通知があれば終了したことが明らかですが、合意解除の場合は合意書などを作成しないと終了したかどうかはっきりしません。もっとも、特に契約が終了したことを示す文書がなくとも特段不都合がなければ、作成しない場合も多くあります。
 契約が終了したか否かが後にトラブルの原因になることを防ぐためには、契約書上で契約期間を明示することが望ましいでしょう。
 契約期間が明示されている契約書で、自動更新条項がある場合、現時点で終了しているかどうかは現在の取引の有無で判断できますが、いつ終了したかを明らかにするためには、更新を示す書類または更新がなかったことを示す書類を作成し、保存しておけばよいでしょう。



氏名:高橋弘泰

生年:1970年生

弁護士登録年・弁護士会:
2009年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1994年東京大学法学部卒業

得意分野等:
東京都に勤務の後、大宮法科大学院に入学し、法曹を目指す。行政事件、刑事事件など公益的な活動に力を入れる一方、民事分野でも敷居が低く利用しやすいと同時に、内容的には決して妥協しない良質な法的サービスの提供に努めていきたいと思います。

所属事務所:
法律事務所フロンティア・ロー http://frontier-omiya.jp/index.html

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