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育児・介護休業法に関する注意点(2)

テーマ:育児・女性

2012年8月 9日

解説者

弁護士 高橋弘泰

 今回は、前回に引き続き、育児・介護休業法に基づく措置にあたって具体的に問題となりそうな点や疑問点について解説したいと思います。


【裁量労働制やフレックスタイム制などとの関係】

 裁量労働制等が適用される労働者についても、短時間勤務制度及び所定外労働の免除の対象となります(ただし、育児・介護休業法第16条の8第1項の規定により労使協定等により対象外とされた労働者を除きます)。事業場外労働のみなし労働時間制、1か月単位・1年単位の変形労働時間制、フレックスタイム制の適用される労働者についても同様です。
 これらの労働者については、以下の2つの方法が考えられます。


  1. (1)労働者を裁量労働制等の対象から外し、通常の労働者の労働時間管理を行うこととした上で、短時間勤務制度及び所定外労働の免除の対象とする。
  2. (2)労働者を裁量労働制等の対象としたまま、短時間勤務制度及び所定外労働の免除の対象とする。

 このうち、(2)とする場合には、以下の点に留意する必要があります。


  • 事業主は、制度を設けるだけではなく、実際に短時間勤務ができること及び所定外労働が免除されることを実際に確保することが必要です。このため、事業主は、必要に応じ、みなし労働時間を短縮するとともに業務内容・量の削減などを行い、労働者が所定外労働を免除されることを実際に確保することが必要であり、単にみなし労働時間を短縮するだけで、常態として所定外労働の免除が実現されていない場合は、事業主の義務を果たしたとは評価されません。ただし、裁量労働制においては、時間配分の決定に関して具体的な指示をすることはできないと考えられます。
  • みなし労働時間を変更する場合は、労働基準法上の労使協定又は労使委員会決議を変更する必要があります。

 また、1か月単位・1年単位の変形労働時間制の適用される労働者も、所定労働時間の短縮措置の対象となりますが、この場合、労使協定について、対象期間開始前に労働日ごとの労働時間等を変更するための変更が必要となる場合があります。
 具体的には、以下の対応が考えられます。


  1. (ア)すべての労働日において1日6時間を超えないよう労働時間を定める。
  2. (イ)1日6時間を超えて労働時間が定められた労働日においては6時間を超える部分の労働義務を免ずる。

 なお、対象期間中の労働日を平均して1日6時間以下とする制度では、育児・介護休業法に不適合となりますので、注意してください。
 また、労働者を1か月単位・1年単位の変形労働時間制の対象から外し、通常の労働者の労働時間管理を行うこととした上で、所定労働時間の短縮措置の対象とすることも考えられます。この場合、対象労働者を変更することや、対象期間の途中で1年単位の変形労働時間制の対象外とする場合は労働基準法第32条の4の2の規定による清算が必要となります。


 フレックスタイム制の適用される労働者の場合は、清算期間における総労働時間は、「○○時間(清算期間における労働日×6時間)」又は「所定労働日」及び「労働日1日当たり6時間」等と設定することが通常であると考えられ、労使協定の変更が必要となります。


【派遣労働者について】

 派遣労働者については、派遣元との間に労働契約関係があることから、派遣元において締結された労使協定が適用されます。
 したがって、派遣元は、派遣先の業務に所定労働時間の短縮措置を講じることが困難と認められる業務があり、こうした業務について適用除外とする場合には、あらかじめ、労使協定によりこうした業務を適用除外として定める必要があります。
 なお、所定労働時間の短縮措置の具体的な内容や手続については、通常の労働者に関する場合と同様となります。


【短時間勤務と残業について】

 所定労働時間の短縮措置は、1日の所定労働時間を原則として6時間にすることを内容とするものであり、所定外労働をさせないことまでを内容とするものではありませんから、所定労働時間の短縮措置の対象となっている労働者に、残業をさせることは可能です。
 ただし、子育ての時間を確保するという所定労働時間の短縮措置の趣旨に照らして、頻繁に所定外労働が行われることは、望ましくないものと考えられます。
 なお、労働者は、所定労働時間の短縮措置が適用されている期間に、重ねて所定外労働の免除を請求することも可能です。


【不利益取扱いについて】

 労使協定で適用除外とされている業務に従事する労働者から、所定労働時間の短縮措置の申出があった場合、この労働者を所定労働時間の短縮措置が講じられている他の業務に異動させて、その業務で短時間勤務をさせることは、不利益取扱いに当たるでしょうか。
 この場合、事業主は、労働者の申し出に応じる義務はありません。
 こうした労働者を短時間勤務が可能である他の業務に異動させることは、育児・介護休業法の規制の枠組み外の取扱いとなりますが、一般的に、異動について労働者の同意を得ている場合には、不利益取扱いとならないものと考えられます。
 なお、こうした取扱いを行う場合には、短時間勤務が終了した後の配置等の取扱いについて、労使であらかじめ取り決めておくことが、トラブル防止の観点から望ましいと考えられます。



氏名:高橋弘泰

生年:1970年生

弁護士登録年・弁護士会:
2009年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1994年東京大学法学部卒業

得意分野等:
東京都に勤務の後、大宮法科大学院に入学し、法曹を目指す。行政事件、刑事事件など公益的な活動に力を入れる一方、民事分野でも敷居が低く利用しやすいと同時に、内容的には決して妥協しない良質な法的サービスの提供に努めていきたいと思います。

所属事務所:
法律事務所フロンティア・ロー http://frontier-omiya.jp/index.html

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