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インターネット消費者取引の問題点(2)フリーミアムについて

テーマ:自社HP・eコマース

2012年5月31日

解説者

弁護士 高橋弘泰

 インターネット消費者取引には、最近話題になった「コンプガチャ」商法以外の取引類型にも、さまざまな問題が含まれています。今回は、いわゆる「フリーミアム」と呼ばれる取引類型について説明します。


【「フリーミアム」とは】

 「フリーミアム」とは、Free(「無料」の意)にPremium(「上質な」の意)を組み合わせた造語で、基本的なサービスを無料で提供し、付加的なサービスを有料で提供して収益を得るビジネスモデルを指します。


 事業者は消費者に対して、例えば、ゲームをプレイできるサービス、動画の視聴サービス等のサービスを提供します。消費者は、一般的に、当該サービスの無料会員となることで、事業者の提供するサービスのうち基本的なサービスを利用することが可能となります。例えば、ゲームの一部をプレイしたりサービスが混雑する時間帯を除いて動画を視聴したりすることが可能となります。


 事業者は基本的なサービスのほかに、月額利用料の支払いなどを条件として利用できる有料の付加的なサービスを用意しており、消費者は付加的なサービスの利用を事業者に申し込み、対価を支払うことで、基本的なサービスよりも高度なサービスを享受することができます。例えば、ゲームをプレイできるサービスであれば、ゲーム上で使用する道具類(アイテム)を購入することで、基本的なサービスでは進めない次のレベルにゲームを進めることができたり、動画の視聴サービスであれば、サービスが混み合っている時間帯でも動画を途切れることなく視聴できたりするようになります。


【景品表示法上の問題点】

 通常の物品販売やサービス提供の場合と比較すると、インターネット上のサービス提供においては、サービス提供のためのシステムを構築し終えた後は、サービスを受ける顧客が1人増加した場合に新たに必要となる費用は僅少にとどまるため、限界費用は低くなります。


 フリーミアムとは、このような特徴を踏まえ、できる限り多くの顧客を得るため、無料の基本的なサービスを提供することでまずは大量の顧客基盤を確保した上で、当該顧客基盤を、有料の付加的なサービスを購入するよう誘引することで、顧客基盤全体にサービスを提供する費用をまかないつつ、さらには利益を得ようとするビジネスモデルであるといえます。


 そのため、フリーミアムのビジネスモデルを採用する事業者が、まず大きな顧客基盤を確保するための顧客誘引手段として、サービスが無料で利用できることをことさらに強調する表示を行うことが考えられます。そのような表示により、例えば、実際には付加的なサービスを利用するためには利用料の支払いが必要であるにもかかわらず、付加的なサービスも含めて無料で利用できるとの誤認を一般消費者に与える場合には、景品表示法上の不当表示として問題となります。


【問題となる事例】

  1. 1.ゲームをプレイできるサービスにおいて、実際にはゲーム上で使用するアイテムを購入しないとゲームを一定のレベルから先に進めることができないにもかかわらず、「完全無料でプレイ可能」と表示すること。
  2. 2.動画を視聴できるサービスにおいて、実際には動画をあらゆる時間帯にわたって視聴するためには月額使用料を支払う必要があるにもかかわらず、「完全無料で動画が見放題」と表示すること。
  3. 3.インターネット上に文書ファイルや写真などの電子データを保存できるストレージサービスと称するサービスにおいて、実際には無料で保存できるデータ量やデータの種類が限られているにもかかわらず、「無料で全てのデータを保存して、どこからでもアクセスできます。」と表示すること。

【景品表示法上の留意事項】

 フリーミアムのビジネスモデルを採用する場合には、事業者は無料で利用できるサービスの具体的内容・範囲を正確かつ明瞭に表示する必要があります。
 個々の具体的表示が適法となるか否かについては、専門の法律家に相談するのが安全でしょう。



氏名:高橋弘泰

生年:1970年生

弁護士登録年・弁護士会:
2009年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1994年東京大学法学部卒業

得意分野等:
東京都に勤務の後、大宮法科大学院に入学し、法曹を目指す。行政事件、刑事事件など公益的な活動に力を入れる一方、民事分野でも敷居が低く利用しやすいと同時に、内容的には決して妥協しない良質な法的サービスの提供に努めていきたいと思います。

所属事務所:
法律事務所フロンティア・ロー http://frontier-omiya.jp/index.html

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