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人事・労務の基礎(2) 就業規則の作成・変更の手続き

テーマ:労務一般

2009年10月22日

解説者

弁護士 石井邦尚

1.「当社には就業規則の作成・届出義務はない」?

 事業場で働く労働者(従業員)の数が常時10人以上である場合は、就業規則を作成して労働基準監督署へ届け出ることが法律によって義務付けられています。
 一方、労働者の数が常時10人未満の事業場には、法律上の作成や届出の義務はありません。とはいえ、規模が小さくても、従業員を雇用する以上、労働条件や職場規律を定めることや、企業の秩序を維持して効率的に経営するために従業員を統一的に取り扱うことが必要になります。また、いずれ従業員が10人以上に増えれば就業規則の作成・届出の義務が発生します。規模が小さくても就業規則を定めることが望ましいでしょう。
 なお、就業規則の作成・届出は正社員だけでなく、パートタイマーなども含めた全従業員について必要なことに注意してください。


2.意見聴取

 労働基準法により、就業規則の作成や変更については、過半数を超える従業員が加入する労働組合(以下「過半数労働組合」)がある場合はその労働組合の意見を、ない場合は従業員の過半数を超える者(以下「過半数代表者」)によって選ばれた代表者の意見を聞かなければならないとされています。過半数代表者を会社が恣意的に選任することは許されず、従業員の投票、挙手等の民主的な手続きで選任することが必要です。就業規則の届出にあたっては、意見を記した書面の添付が要求されています。
 パートタイマー等、一部の者にのみ適用される就業規則についても、パートタイマー等の過半数代表者ではなく、全社員の過半数労働組合または全従業員の過半数代表者の意見聴取が必要です。
 この意見聴取は、労働者に発言の機会を付与することにより、就業規則に対する労働者の関心を高めること、内容をチェックさせることを目的としています。ただし、意見は十分尊重すべきですが、従業員の意見を採用したり反映したりする義務までは負いません。
 なお、この意見聴取義務に違反した場合、30万円以下の罰金に処せられるとされていますので、注意が必要です。


3.就業規則の周知義務

 就業規則は、見やすい場所へ掲示する、備え付ける、書面で交付するなどの方法により、従業員に周知することが義務づけられています。就業規則を変更した場合も同様です。周知義務に違反した場合、30万円以下の罰金に処せられるとされています。
 就業規則は労働条件や職場規律などを定めるものですから、従業員が知りたくてもわからないような状況では問題があるのは明らかです。就業規則の周知は、形式的に済ませるのではなく、実質的に意味のあるように行う必要があるでしょう。
 ところで、就業規則の届出義務、意見聴取義務、周知義務のすべてを実行しなければ就業規則の効力が発生しない(=就業規則が適用されない、あるいは変更前の就業規則が適用される)のかどうかは学説上も争いがあり、裁判例も必ずしも一律な結論を出しているわけではありません。しかしながら、一般に「周知」がなされていることは最低限要求されていると言えます。したがって、周知義務が果たされていない場合、就業規則(あるいは変更後の就業規則)が、会社に有利な形では適用が認められない危険性が高くなります。


4.賃金規程も届出が必要?

 就業規則では「従業員の賃金については、別に定める。」「会社は別に定める規程に従い、従業員に対し、育児休業、介護休業を与える。」などと定めた上で、「賃金規程」や「育児休業規程」などの別規程を定めることがあります。このような別規程も、あくまでも就業規則の一部であり、就業規則と一体として取り扱う必要があります。
 したがって、届出義務、意見聴取義務、周知義務の対象になるので、賃金規程なども含めてこれらをきちんと履行しなければなりません。


5.最後に

 「小さな会社だから、就業規則はいつでも簡単に作成・変更できる」「社長や役員が決めて従業員に通知すればよいだけ」というような考え方は誤りです。きちんと手続きを踏み義務を果たさなければ、場合によっては、せっかく作成や変更をした就業規則が適用されないケースもあり得ますので注意が必要です。
 また、就業規則を従業員に不利益に変更することには制約があります。次回は、この点を中心に解説したいと思います。


氏名:石井邦尚

生年:1972年生

弁護士登録年・弁護士会:
1999年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1997年東京大学法学部卒業、2003年コロンビア大学ロースクールLL.M.コース修了

得意分野等:
米国留学から帰国後に「挑戦する人(企業)の身近なパートナー」となるべくリーバマン法律事務所を設立、IT関連事業の法務を中心とした企業法務、新設企業・新規事業支援、知的財産などを主に取り扱う。留学経験を活かし、国際的な視点も重視しながら、ビジネスで日々発生する新しい法律問題に積極的に取り組んでいる。

所属事務所:
リーバマン法律事務所 http://www.rbmlaw.jp/

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