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パワーハラスメントとは(2)

テーマ:労務一般

2012年2月16日

解説者

弁護士 高橋弘泰

 今回も前回に引き続き、職場でのパワーハラスメントに関して、つい最近出た厚生労働省のワーキング・グループによる報告書に基づき、パワハラとは何か、どういう対策を取るべきかについて説明します。


【パワーハラスメントの行為類型】

 職場のパワーハラスメントの行為類型としては、以下のものが挙げられます。ただし、これらは職場のパワーハラスメントに当たりうる行為のすべてを網羅するものではなく、これ以外の行為は問題ないということではないことに気をつける必要があります。
 (1) 暴行・傷害(身体的な攻撃)
 (2) 脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)
 (3) 隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)
 (4) 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)
 (5) 業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)
 (6) 私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)


 (1)については、業務の遂行に関係するものであっても、「業務の適正な範囲」に含まれるとすることはできません。


 (2)と(3)については、業務の遂行に必要な行為であるとは通常想定できないことから、原則として「業務の適正な範囲」を超えるものと考えられます。


 一方、(4)から(6)までについては、業務上の適正な指導との線引きが必ずしも容易でない場合があると考えられます。こうした行為について何が「業務の適正な範囲を超える」かについては、業種や企業文化の影響を受け、また、具体的な判断については、行為が行われた状況や行為が継続的であるかどうかによっても左右される部分もあると考えられるため、報告書は、各企業・職場で認識をそろえ、その範囲を明確にする取組を行うことが望ましいとしています。


【パワハラをなくすための予防策】

 では、どのようにしたら職場のパワーハラスメントをなくすことができるのでしょうか。


 まず企業として、「職場のパワーハラスメントはなくすべきものである」という方針を明確に打ち出すべきです。組織としての方針を明確化することにより、相手の人格を認め、尊重し合いながら仕事を進める意識の涵養につながります。職場の一人ひとりが意識を持つことで、対策は真に実効性のあるものとなります。


職場のパワーハラスメントを予防するために報告書の述べる予防策は以下のとおりです。


1.トップのメッセージ

 組織のトップが、職場のパワーハラスメントは職場からなくすべきであることを明確に示す。トップのメッセージを示すにあたって、経営幹部が職場のパワーハラスメント対策の重要性を理解すると、取組が効果的に進むことが考えられるため、特に経営幹部に、対策の重要性を理解させることが必要です。


2.ルールを決める

 就業規則に関係規定を設ける、労使協定を締結する。
 予防・解決についての方針やガイドラインを作成する。


3.実態を把握する

従業員アンケートを実施する。


4.教育する

 研修を実施する。パワーハラスメントは、人権問題、コンプライアンス、コミュニケーションスキル、マネジメントスキルなどと関連が深いものであることから、パワーハラスメント研修をこれらの研修と同時に行うことで、より効率的・効果的なものとなると考えられます。


5.周知する

 組織の方針や取組について周知・啓発を実施する。


【パワハラを解決するための措置】

1.相談や解決の場を設置する

 企業内・外に相談窓口を設置する、職場の対応責任者を決める。相談窓口の役割も担うなどのパワーハラスメント対策を推進する担当者を養成することも、予防と解決の双方にわたって有効な手段と考えられます。


2.外部専門家と連携する

 産業カウンセラーやメンタルヘルス相談の専門機関など。


3.再発を防止する

 行為者に対する再発防止研修を行う。


 相談や解決の場を設置するにあたっては、相談窓口や職場の対応責任者に相談した人や相談内容の事実確認に協力した人が不利益な取扱いを受けることがないようなものとする必要があり、その旨を従業員に明確に周知することが必要です。また、実際に相談を受けた場合の対応にあたっては、当事者双方の人格やプライバシーの問題に配慮しながら、慎重に対応する必要があることは言うまでもありません。


 報告書は最後に、次のような人事担当役員の言葉を引用しています。パワハラ問題に取り組むにあたっての原点として心に留めておきたいものです。


 「全ての社員が家に帰れば自慢の娘であり、息子であり、尊敬されるべきお父さんであり、お母さんだ。そんな人たちを職場のハラスメントなんかでうつに至らしめたり苦しめたりしていいわけがないだろう。」



氏名:高橋弘泰

生年:1970年生

弁護士登録年・弁護士会:
2009年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1994年東京大学法学部卒業

得意分野等:
東京都に勤務の後、大宮法科大学院に入学し、法曹を目指す。行政事件、刑事事件など公益的な活動に力を入れる一方、民事分野でも敷居が低く利用しやすいと同時に、内容的には決して妥協しない良質な法的サービスの提供に努めていきたいと思います。

所属事務所:
法律事務所フロンティア・ロー http://frontier-omiya.jp/index.html

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