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職場のメンタルヘルス対策(2)

テーマ:メンタルヘルス

2011年12月22日

解説者

弁護士 高橋弘泰

 前回のコラムで説明した労働政策審議会の報告書に基づき、労働安全衛生法の一部が改正される見込みです。この改正案は、メンタルヘルス対策を事業者に義務付ける内容を含んでいます。今回は、改正案の具体的な中身について説明します。


【改正法案の審議状況】

 メンタルヘルス対策の義務化を含む、労働安全衛生法の一部を改正する法律案は、第179回国会に提出、平成23年12月2日に衆議院に議案として受理され、現在衆議院で審議中の状態です。早ければ次回の国会で成立し、施行期日は「公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日」となっていますから、来年中には施行される可能性が高いと言えます。では、改正法案の具体的な中身について見ていきましょう。


【事業者によるメンタルヘルスの検査】

 まず、改正法により、事業者は労働者に対し、省令で定めるところにより、「医師又は保健師による労働者の精神的健康の状況を把握するための検査を行うこと」が義務付けられることになります(労働安全衛生法改正案66条の10第1項)。この検査は、事業者が毎年行っている一般定期健康診断の「自覚症状、他覚症状の有無の検査」に併せて実施することもできますし、別途実施しても構いません。この検査により、医師・保健師が、労働者の「疲労」、「不安」、「抑うつ」について、標準的で簡易な方法によりメンタルチェックを実施し、確認することになります。


 そして、労働者の側にも、事業者の行う検査を受けなければならない法律上の義務があるとされています(同第2項)。


【検査結果の通知】

 事業者は、検査を受けた労働者に対し、その結果を、検査を行った医師又は保健師から、労働者に対し通知されるようにしなければなりません。この場合において、当該医師又は保健師は、あらかじめ労働者の同意を得ないで検査の結果を事業者に提供してはならないこととされています(同第3項)。検査結果の通知は、労働者が自らのメンタルヘルスの状態について気づくことを促す効果を期待して行われるものであり、労働者のプライバシーとも関わりますから、検査結果は事業者がみだりに入手してよい情報ではありません。しかし逆に言えば、労働者の同意があれば医師等から事業者への通知も可能ということになります。


【医師による面接指導の実施】

 事業者は、検査の結果を通知された労働者が医師による面接指導の申出をしたときは、医師による面接指導を行わなければなりません(同第4項)。法案では、通知を受けた労働者が省令で定める要件に該当することも要求されていますが、基本的には労働者の面接指導を受けたいという意向を尊重すべきでしょう。そして、事業者は、面接指導の申出をしたことを理由として、申出をした労働者に対して不利益な取扱いをしてはならないとされています。具体的にどんな措置が不利益な取り扱いにあたるかについては、労務管理の実態に応じて判断されることになります。


 事業者は、申出のあった労働者について、産業医や地域産業保健センターの医師に対し面接指導の実施依頼を行い、医師から労働者に直接面接指導が行われることになります。事業者は、この面接指導の結果を記録しておくことが義務付けられています(同第5項)。


 労働者は、上記のような申出に基づくもののほか、直接自分のかかりつけの医療機関で診療を受け、あるいは保健所や精神保健福祉センターのような相談機関に相談に行くことができるのは当然のことです。そこで、そうした医療機関と産業医との連携が必要になってきます。


【事後装置の実施】

 事業者は、面接指導の結果に基づき、面接指導を行った医師の意見を聴き(同第6項)、必要な場合には、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少その他の適切な就業上の措置を講じなければなりません(同第7項)。同時に、医師から聴取した意見を安全衛生委員会や労働時間等設定改善委員会等に報告するなどして、職場環境改善のためのフィードバックを行うことも法律上求められています。当然ながら、事業者の側で、労働者の検査や面接指導の事務に従事した者は、その実施に関して知りえた労働者の秘密を漏らしてはならず、法律上も明文の規定が設けられています(同104条)。


氏名:高橋弘泰

生年:1970年生

弁護士登録年・弁護士会:
2009年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1994年東京大学法学部卒業

得意分野等:
東京都に勤務の後、大宮法科大学院に入学し、法曹を目指す。行政事件、刑事事件など公益的な活動に力を入れる一方、民事分野でも敷居が低く利用しやすいと同時に、内容的には決して妥協しない良質な法的サービスの提供に努めていきたいと思います。

所属事務所:
法律事務所フロンティア・ロー http://frontier-omiya.jp/index.html

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