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不正競争防止法とは(3)信用毀損について

テーマ:宣伝・販促

2011年10月 6日

解説者

弁護士 高橋弘泰

 今回は、不正競争防止法の規制する不正競争のうち、主に「信用毀損」について説明します。
 一般に信用毀損とは、「人の社会における財産上の信用を害すること」をいいます。信用毀損行為が行われた場合、民法の不法行為による損害賠償請求も可能ですが、不正競争防止法を使えば、損害賠償請求(4条)だけでなく、差止請求(3条)、信用回復措置請求(14条)も認められます。実務的には、損害賠償請求が認められるには相手方の故意又は過失が必要ですが、差止請求は相手方に故意・過失がなくてもできるという大きな違いがあります。


 不正競争防止法上の信用毀損とは、「競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為」と定義されています(2条1項14号)。
 以下、この内容について少し細かく見ていきましょう。


【「競争関係」とは】

 ここでいう競争関係とは、特定の販売競争に限られるものではなく、広く同種の商品を扱うような業務関係にあればよいと比較的緩やかに解されています。また現実に競争関係が存在していなくとも、将来競争関係になりうる場合でもよいとされています。要するに、信用毀損行為の動機が強いと考えられるような関係にあることがポイントです。


【「他人」とは】

 自分自身について虚偽の事実を流布することは規制の対象にはなりません。ここでいう「他人」は特定されていることが必要ですが(法人も含む)、氏名や名称を明示していなくとも、第三者に「他人」が把握できる程度に示されていればよいとされています。
 また、仮に同じ組織内にあっても、既に組織の統制を離れた者については、実態をみて「他人」といえる場合もあります。


【「営業上の信用を害する」とは】

 ここでいう営業の事実とは、営利を目的とする事業だけでなく、非営利事業(病院、学校など)も含まれます。また、事業活動に関する信用を害する場合だけでなく、事業主や担当者に対する個人的な人格誹謗であっても、それが営業上の信用を害すると考えられる場合もあります。
 また、「害する」とは、信用低下のおそれのある行為をいい、必ずしも現実に信用が低下したことまでは必要ありません。


【「虚偽の事実」とは】

 虚偽の事実とは、客観的事実に反する事実のことであり、婉曲的な表現でも実質的に事実に反していればこれに含まれます。ただし事実ではない単なる意見や感想などは、個人の主観に影響されるものであり、客観的に見て虚偽であると判断することが困難ですから、虚偽の事実に該当しない場合もあります。


【「告知・流布する」とは】

 告知とは、来店した客に他商品の欠陥を知らせるような特定人への個別的な伝達をいい、流布とは、新聞広告のような形で不特定多数に商品への誹謗を伝える行為をいいます。
 重要なのは、差止請求においては、故意・過失が必要とされないので、たとえ行為者が真実と信じて告知・流布をした場合にも差止めができるということです。


【違反の類型】

 信用毀損行為に関する類型としては、(1)比較広告、(2)おとり広告、(3)知的財産権侵害の警告の3つがあるといわれています。


 (1)比較広告とは、他人の商品と比較するというやり方で、自己の商品の長所を説明する広告のことをいいます。たとえば、自社製品は他社製品よりも低価格で、他社製品と比べて「優れても劣るところはない」と広告に掲載した場合、実際には仕様や材質に違いがあれば、信用毀損行為にあたる可能性があります。


 (2)おとり広告とは、わずかな数の目玉商品を用意し、これをおとりにして顧客を引き付け、他の商品を購入させるような広告をいいます。このような広告それ自体は信用毀損にあたりませんが、おとりにされた商品について、これを販売しないために、その商品の欠陥や虚偽の事実を説明するような営業活動が行われることが多いため、この説明行為を一体のものと考えれば信用毀損行為といえます。


 (3)知的財産権侵害の警告とは、特許権などを持つ者が、他人の製品が侵害品であると広告した後で、その製品が侵害品でないことが分かった場合(または特許が無効であった場合)などをいいます。知的財産権を侵害していないのに侵害しているという虚偽の事実を流布し、他人の営業上の信用を害したことになるので、信用毀損行為にあたるとされます。もっともこれについては、特許の侵害にあたるか、特許が有効かなどの判断には高い専門性が必要なため、権利者にとって酷ではないかなどの議論もあるところです。


 次回は、信用毀損行為に関する最近の裁判例を紹介したいと思います。


氏名:高橋弘泰

生年:1970年生

弁護士登録年・弁護士会:
2009年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1994年東京大学法学部卒業

得意分野等:
東京都に勤務の後、大宮法科大学院に入学し、法曹を目指す。行政事件、刑事事件など公益的な活動に力を入れる一方、民事分野でも敷居が低く利用しやすいと同時に、内容的には決して妥協しない良質な法的サービスの提供に努めていきたいと思います。

所属事務所:
法律事務所フロンティア・ロー http://frontier-omiya.jp/index.html

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