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ドメインの登録で注意すべきこと(2)不正競争防止法との関係

テーマ:自社HP・eコマース

2010年9月30日

解説者

弁護士 森山裕紀子

【不正競争防止法】

 不正競争防止法では、他社の登録する商標に限定するのではなく、「需用者の間に広く認識されている」商標等を保護の対象としています。つまり、私たちの間で有名になっている名前や商標などの文字列などを、ドメイン登録し、それを使用した場合などに、不正競争法上の問題が発生することになります。
 不正競争防止法のそもそもの目的は、事業者間の公正な競争の促進することにあります。つまり、事業者視点からみると事業者の営業上の利益の保護をするものであり、より公的な視点から見ると公正な競争秩序を維持することにあります。そのような目的のために、不正競争防止法では、「不正競争」という概念を定義し、不正競争に該当した場合には、その防衛策として行為の差止め・損害賠償に関する措置等を認めています。


【不正競争防止法の改正】

 不正競争防止法では、平成13年改正において、新たにドメイン名に関わる不正競争を一類型として認めました。ドメイン名が先願主義であることから、第三者が有名企業や著名な商品及びそれらと類似の文字列棟をドメイン登録し、そのURLを使用しビジネスを展開し、事業者が築きあげた信用にフリーライドする行為や、高値で買い取らせようとする行為などが世界中で多発しました。このようなドメイン登録制度を逆手にとる行為が日本でも横行したため、ドメイン名を巡る不正競争について、不正競争防止法で規制の対象としたのでした。
 不正競争防止法2条では、「ドメイン名」を、「インターネットにおいて、個々の電子計算機を識別するために割り当てられる番号、記号又は文字の組合せに対応する文字、番号、記号その他の符号又はこれらの結合をいう。」と定義しています。


【不正競争防止法上のドメインに関する不正競争】

 では、ドメイン名に関する不正競争とは、どんな態様の行為なのでしょうか?具体的には、2条1項12号において、「不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するものをいう。)と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為」とされています。
 この条文を個別に分解していくと、
  1.不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で
  2.他人の特定商品等表示に同一もしくは類似のドメインを
  3.使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメインを使用すること
の3要件に該当した場合、不正競争に該当することになります。


 そして、その結果として、
  4.相手方に営業上の利益が侵害されていること
が必要となります。


 特に、1.の要件については、裁判例では「『不正の利益を得る目的』とは、公序良俗に反する態様で、自己の利益を不当に図る目的がある場合と解するべきであり、単にドメインの取得、使用等の過程で些細な違反があった場合を含まないと解されるべきである。」と判断されています。具体的には、その文字列の使用者に不当に高値でドメインを購入させる目的や、かかる文字列のドメインから有害なサイトにリンクする行為などが考えられます。


 このように裁判例も含めて検討すると、公序良俗に反するような目的でドメインを取得し、そのドメインを公正な市場での競争を害するような態様で利用し、相手方に損害が発生した場合に、不正競争防止法の問題となると言えます。
 裁判例では、ドメインの使用等において非常に強い害意のようなものが必要になりますが、著名な文字列がドメインとして未登録であった場合であっても、そのような文字列を取得し使用するのは、不正競争防止法上の問題が発生しかねない点には、十分留意する必要があるでしょう。


 今回検討した不正競争防止法では、ドメインの使用の差止めや、損害賠償請求のみが可能となります。しかし、ドメイン自体の移転までは認められていません。ドメインの移転は、JPRSの指定するADR(裁判とは異なる紛争手続)でのみ認められています。次回は、ドメイン紛争に関するADRの検討を行っていきます。


氏名:森山裕紀子

弁護士登録年・弁護士会:
2008年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1998年 明治学院大学法学部卒業、2000年 横浜国立大学大学院国際経済法学研究科修了(国際経済法学修士)、2003年 大宮法科大学院大学法務研究科法務専攻修了(法務博士・専門職)

経歴:
2008年 大宮法科大学院大学非常勤講師(至現在)

得意分野等:
IT法、個人情報保護法、企業法務、一般民事他

所属事務所:
法律事務所フロンティア・ロー http://frontier-omiya.jp/index.html

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