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役員の法律(1) 役員は誰に責任を負うか?

テーマ:役員・株主

2010年4月22日

解説者

弁護士 高橋弘泰

【役員の責任】

 役員が会社に対して責任を負うのは当然ですが、それ以外に、株主、従業員、取引先、ひいては社会全体に対しての責任もあります。ですから、「役員の責任」と一口に言っても、その内容は実に多岐にわたります。そこで今回は、会社の取締役は誰に対して、どんな責任を負っているのかについて、少し具体的に考えてみたいと思います。


【会社に対する責任】

 まず、当然のことながら、取締役の勤務する会社に対する責任があります。取締役は会社から委任されて経営を行っていますから、その信頼に応えて、適法かつ適切な経営によって会社に利益をもたらす、会社との契約上の責任があります。逆に、取締役の行為、あるいは不作為により会社に損害を与えた場合には、損害を賠償する法定の責任を負います。会社法は、利益相反取引など、いくつかの具体的ケースを挙げて、取締役が会社に損害賠償責任を負う場合を規定しています。この場合、責任の追及方法としては、会社(代表取締役)はいわば身内である取締役を訴えないことも多いため、株主が株主代表訴訟を提起することが通常です。


【株主に対する責任】

 株式会社では、出資者である株主が会社の実質的な所有者であり、取締役は株主によって選任され経営を委ねられているのですから、上で述べた「会社に対する責任」というのは、突き詰めれば「株主に対する責任」ということになります。株主に対する責任としては、前述の損害賠償責任といったもの以外にも、定期的に株主総会を招集し、参考資料を交付し、総会で株主から特定の事項につき説明を求められた場合には必要な説明をすべきことなどが会社法規で定められており、会社経営に関して株主に対する一定の説明責任を果たすことが要求されています。


【従業員に対する責任】

 取締役は会社経営者として、会社と雇用関係にある従業員に対し労働関係法規を遵守し、賃金の支払いや人事・労務関係の調整を通して、適正な労働環境を確保する責任があります。就業規則の作成や、従業員のプライバシー保護や不利益扱いの禁止、セクハラ対策といったものもそれに含まれます。またその一方で、会社経営の観点から、従業員による不正や不適切な行為を防止するための内部統制システムの構築や、何か従業員について問題が発生した場合のリスク・マネジメントの実践も視野に入れておかねばなりません。このことは、取締役会の業務として会社法によっても義務付けられています。


【第三者に対する責任】

 会社法は、役員がその職務を行うについて悪意または重大な過失があったときは、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負うと定めています。この「第三者」の代表的な例は取引先ですが、それ以外にも会社の活動により、サービスの利用者、あるいは会社とは無関係な第三者に損害を与える場合があります。そのような場合には、全体としての会社だけではなく、取締役個人が責任を問われる可能性があるということです。
 このことは、次の「社会に対する責任」とも関係してきますが、役員として行動するに際しては、単なる道義的責任や経営上の責任に留まらない、民事上の損害賠償責任として役員の個人責任が追及される場合がありうることを肝に銘じておくべきでしょう。


【社会に対する責任】

 会社は営利を目的として事業を行うと同時に、物やサービスの提供を通して社会貢献も期待される存在です。
 最近のトヨタ自動車の例を引き合いに出すまでもなく、自社の販売する製品の欠陥のために事故を招いた場合には、報酬カットや引責辞任など、取締役には会社を代表して責任を取ることが求められます。これが社会に対する責任です。


【まとめ】

 このように、取締役の責任は、その対象、範囲が非常に多岐にわたるので、個々のケースに対処する場合には、今問題になっているのがどの部分の責任なのか、誰を対象としたどのような責任なのか、を常に明確に意識しておく必要があります。



氏名:高橋弘泰

生年:1970年生

弁護士登録年・弁護士会:
2009年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1994年東京大学法学部卒業

得意分野等:
東京都に勤務の後、大宮法科大学院に入学し、法曹を目指す。行政事件、刑事事件など公益的な活動に力を入れる一方、民事分野でも敷居が低く利用しやすいと同時に、内容的には決して妥協しない良質な法的サービスの提供に努めていきたいと思います。

所属事務所:
法律事務所フロンティア・ロー http://frontier-omiya.jp/index.html

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