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商品デザイン(商品形態)の模倣からの保護(1)意匠法など

テーマ:デザイン・ブランド

2014年3月26日

解説者

弁護士 石井邦尚

 自動車やカバン、アップル社の商品などの例にも見られるように、商品の実用性・機能性だけでなく、デザインがその競争力に大きな影響を及ぼすことは多くあります。しかし、苦労して開発した商品のデザインが模倣されてしまうという案件は少なくありません。


 最近話題の3Dプリンターや3Dスキャナーなどの技術の発達もあり、今後はますますこうした模倣のリスクが高くなっていくと思われます。今回と次回で、商品デザイン(商品形態)が法律でどのように保護されるかを解説します。今回は、主に意匠法について解説します。


【意匠法による保護】

 商品デザインを保護するための代表的な法律に、意匠法があります。


 意匠法は、意匠=「物品(物品の部分を含む)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるもの」(同法2条1項)、すなわち、産業上の物品のデザインを保護する法律です。美術品や不動産(建築物)のデザインは著作権法で保護されます。


 意匠法の対象となる物品には、食品や衣料品、生活用品、おもちゃ、楽器、スポーツ用品、自動車、船舶、産業用機械など、多種多様な商品が幅広く含まれます。


【意匠登録の要件、存続期間】

 意匠法で保護されるためには、特許庁に出願をし、特許庁の審査官による審査・査定を受けて登録される必要があります。


 意匠が登録されるには、(1)工業的(機械的、手工業的)生産過程を経て反復生産され、量産される物品のデザインである(工業上利用可能な意匠である)こと(意匠法3条1項)、(2)今までにない新規のものであること(新規性。同条項)、(3)容易に創作できないものであること(創作非容易性。同条2項)などの要件を満たすことが必要です。


 ハードルは低くありません。出願前に、これら要件を満たすか、十分に調査する必要があります。なお、物品の機能を確保するために不可欠な形状のみで構成されている意匠は登録を受けることができません(同法5条3号)。


 意匠権の存続期間は、設定登録日から20年間(但し、平成19年3月31日までに出願された意匠権は15年間)です。また、期間満了前であっても、意匠権を維持するための登録料を支払わなかった場合などには意匠権は消滅するので注意が必要です。


【意匠権の効力】

 意匠権の効力は、業として登録意匠及びこれに類似する意匠を実施する行為に及びます(意匠法23条)。「実施」というのは、意匠に係る物品の製造、使用、譲渡、貸し渡し、輸出、輸入、譲渡又は貸し渡しの申し出をすることです(同法2条3項)。


 「同一」の意匠だけでなく、「類似」する意匠にも及ぶのですが、この類似性の判断について、意匠法は「登録意匠とそれ以外の意匠が類似であるか否かの判断は、需要者の視覚を通じて起こさせる美感に基づいて行うものとする」と定めています(同法24条2項)。より具体的には、(1) 意匠に係る物品の同一・類似性と、(2) 物品の形態(形状、模様もしくは色彩またはこれらの結合)の同一・類似性という観点から検討されます。


 類似するかどうかの判断には専門的な経験を要しますので、実際にトラブルが発生したり、自社の商品が他社の意匠権を侵害するのではないか疑問が生じたりしたような場合は、専門の弁理士等に相談することをおすすめします。


【意匠権侵害に対する請求等】

 意匠権の侵害に対しては、意匠法上は差止請求(意匠法37条)、信用回復措置請求(同法41条)が認められており、侵害者に対しては罰則も定められています(同法69条)。差止請求権に際し、意匠権侵害となる物の廃棄、侵害行為に使用した設備の除却など、侵害行為の予防に必要な行為を請求することも認められています(同法37条2項)。また、民法に基づいて、損害賠償請求(民法709条)、不当利得返還請求(同法703条)も可能です。


【その他の法律による保護】

 意匠法の他に商品のデザイン(形態)を保護する代表的な法律としては、不正競争防止法(2条1項3号)があります。同法については、次回解説します。


 また、前述のとおり、美術品や不動産(建築物)は著作権法で保護されます(著作権法10条1項4号・5号参照)。いわゆる実用品であっても、著名な作者による壺や茶碗など主に一品製作の「美術工芸品」(同法2条2項)は著作権法で保護されます。さらに、量産品であっても、実用性や機能性とは別に、独立して美的観賞の対象となるだけの美術性を有し、純粋美術と同視しうる程度の美的創作性を備えているような場合には、例外的に、著作権法による保護の対象となるとされています(ただし、そのハードルは高いです)。この場合には、意匠法でも著作権法でも保護され得ることになります。


 商標法は、商品デザインそのものの保護をすることを目的とした法律ではありませんが、立体商標の登録も認められているので、これを通じて立体的なデザインも保護されることになります。


氏名:石井邦尚

生年:1972年生

弁護士登録年・弁護士会:
1999年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1997年東京大学法学部卒業、2003年コロンビア大学ロースクールLL.M.コース修了

得意分野等:
専門は企業法務。30年ほど前に小5ではじめてコンピュータを知ったときの驚きと興奮が忘れられずに、今でもITを愛好していることの影響から、企業法務の中でも、特にIT関連の法務を専門としている。著書に「ビジネスマンと法律実務家のためのIT法入門」(民事法研究会)など。

所属事務所:
カクイ法律事務所 http://www.kakuilaw.jp

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