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法律コラム


[知的財産法|2013年9月 3日]
弁護士 石井邦尚

会社名やブランド名、商品名などの使用と保護(1)概説

弁護士 石井邦尚

 ビジネスでは会社名やブランド名、商品名、サービス名など、様々な名称が使われます。それに併せて、ロゴマークなどが使われることもよくあります。今回から数回に分けて、こうした名称やマークなどの表示を保護する法制度について解説します。
 今回は、こうした表示を法律で保護する必要性を説明した後、表示を保護する法制度として、どのような法律があるかを概観します。

【なぜ表示を保護する必要があるのか】

 企業は自社や自分たちの商品、サービスなどに対する、お客さまや取引先などからの信用を維持し、拡大するために多大な努力を行っています。そして、自社、自分たちの商品、サービスなどを他社のものと区別して認識してもらうことが、そうした努力の大前提になります。当たり前ですが、企業はお客さまに「もっと自動車を買ってください」と伝えるのではなく、自社の自動車に商品名をつけて「当社の○○○という車を買ってください」と伝えることに広告費や販促費などをかけて努力するのです。
 会社名やブランド名、商品名、サービス名、ロゴマークなどの表示は、お客さまに自分たちの会社やブランド、商品、サービスなどを他の会社のものと区別して認識してもらうための基本的な手段です。このように、名称やマークなどの表示が持つ、自他の商品やサービスなどをお客さまに区別して認識してもらうという機能を「識別機能」と呼んでいます。
 ところが、他社の努力に便乗して不当な利益を上げようという人たちがいます。高級ブランドの鞄や財布、時計などの偽物などはよく見られます。これにより真正品の売上が減少すれば企業にとって大きな打撃ですし、お客さまも表示の識別機能が機能していなければ、安心して自分の信用する商品やサービスを購入することができません。中には、偽物と知りながら購入する人たちもいますが、そのような偽物が出回ること自体、ブランド価値を毀損(きそん)しかねません。
 また、不当な意図がなくても同じような商品に、たまたま同じような商品名が使われてしまうということもあります。たとえ不当な意図がなくても、こうした問題を解決しなければ企業もお客さまも困ってしまいます。
 そこで、このような表示の有する「識別機能」が十分に機能するよう、表示を保護するための法制度として、以下のようなものがあります。

【表示を保護する法律:商標法】

 表示を保護するための法律として、真っ先に思い浮かぶのが商標法だと思います。
 商標法は登録された商標を保護する法律です。商標が登録されると、登録商標に類似する商標を指定商品、役務に類似する商品、役務に使用等することを禁止できる権利(商標権)が発生します。商標権者は、商標権を侵害する者又は侵害するおそれのある者に対し、侵害の停止・予防を請求したり、損害が発生した場合は損害賠償請求をしたりすることができます。

【表示を保護する法律:不正競争防止法】

 商標法は登録された商標のみを保護するものですが、不正競争防止法により、登録されていない表示でも、その使用等が禁止される場合があります。
 不正競争防止法で禁止される行為の一つは、商品主体等混同行為と呼ばれるもので、「他人の商品等表示として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為」(同法2条1項1号)です。
 もう一つは、著名表示冒用行為と呼ばれるもので、「自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為」(同法2条1項2号)です。
 こうした行為によって営業上の利益を侵害される者等は侵害者等に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができ(同法3条)、損害場発生した場合は、損害賠償請求をすることができます(同法4条)。

【会社法】

 会社名(会社の商号)については、会社法により、「何人も、不正の目的をもって、他の会社であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない」(会社法8条1項)とされており、これに違反する名称又は商号の使用によって営業上の利益を侵害された会社等は、侵害者等に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができます(同法8条2項)。
 なお、以前は、同一営業のため他人が登記した商号は、同市町村内においては登記できないものとされていましたが、2005年の会社法制定により、このような制度は廃止され、同一商号かつ本社の所在場所が同一の場合にのみ登記ができないこととなっています。

【商法】

 会社以外の商人の使用する商号についても、商法により「何人も、不正の目的をもって、他の商人であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用としてはならない」(商法12条1項)とされており、これに違反する名称又は商号の使用によって営業上の利益を侵害された商人等は、侵害者等に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができます(同法12条2項)。

 次回からは商標法と不正競争防止法を中心に、表示を保護する法制度と、表示を利用する場合の注意点について解説していきます。

氏名:石井邦尚

生年:1972年生

弁護士登録年・弁護士会:
1999年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1997年東京大学法学部卒業、2003年コロンビア大学ロースクールLL.M.コース修了

得意分野等:
米国留学から帰国後に「挑戦する人(企業)の身近なパートナー」となるべくリーバマン法律事務所を設立、IT関連事業の法務を中心とした企業法務、新設企業・新規事業支援、知的財産などを主に取り扱う。留学経験を活かし、国際的な視点も重視しながら、ビジネスで日々発生する新しい法律問題に積極的に取り組んでいる。

所属事務所:
リーバマン法律事務所 http://www.rbmlaw.jp/

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