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電子商取引の注意点(1)契約の成立時期

テーマ:自社HP・eコマース

2012年12月 6日

解説者

弁護士 高橋弘泰

 タブレット端末の普及などにより、ネット取引がますます手軽で身近なものとなっています。インターネットによる物品やサービスの販売は今後も増加していくと考えられ、消費者と販売者の双方で電子商取引について正しく理解することの重要性は高まっています。今回のコラムでは、経済産業省が公表している準則に沿って、電子商取引の注意点について説明したいと思います。


【いつ契約が成立するのか】

 民法では、隔地者間(遠く離れた場所にいる者どうし)の契約は、承諾の通知を発したときに成立するとされています(民法第526条第1項)。しかし、電子メール等の電子的な方式による契約の承諾通知は、極めて短時間で相手に到達するため、隔地者間の契約において承諾通知が電子メール等の電子的方式で行われる場合には、民法第526条第1項が適用されず、その契約は、承諾通知が到達したときに成立します(電子契約法第4条、民法第97条第1項)。


 なお、「本メールは受信確認メールであり、承諾通知ではありません。在庫を確認の上、受注が可能な場合には改めて正式な承諾通知をお送りします。」といったように、契約の申込みへの承諾が別途なされることが明記されている場合などは、受信の事実を通知したにすぎず、そもそも承諾通知には該当しないと考えられます。


【どの時点で「到達」したことになるか】

 到達の時期について民法には明文の規定はありませんが、意思表示の到達とは、相手方が意思表示を知ることができる客観的状態が生じたことを意味すると解されています。


 電子メールでの承諾通知の到達時期については、相手方が通知に係る情報を記録した電磁的記録にアクセス可能となった時点をもって到達したものと解されます。例えば、電子メールにより通知が送信された場合は、通知した情報が受信者(申込者)のメールサーバー中のメールボックスに読み取り可能な状態で記録された時点であるということになります。


 具体的には、(1)相手方が通知を受領するために使用する情報通信機器をメールアドレス等により指定していた場合などは、承諾通知がその情報通信機器に記録されたとき。(2)それ以外の場合には、あて先とした情報通信機器に記録されただけでは足りず、相手方がその情報通信機器から情報を引き出して(内容を了知する必要はない。)初めて到達の効果が生じるものと解されます。


 なお、仮に申込者のメールサーバーが故障していたために承諾通知が記録されなかった場合は、申込者がアクセスし得ない以上、通知は到達しなかったものと解するほかありません。他方、承諾通知が一旦記録された後に何らかの事情で消失した場合、記録された時点で通知は到達しているものと解されます。


【文字化けしていたときはどうなる】

 送信された承諾通知が文字化けにより解読できなかった場合や、申込者が有していないアプリケーションソフト(ワープロソフトの最新バージョン等)によって作成されたファイルによって通知がなされたために読めないような場合は、原則として、申込者が読める方式で情報を送信する責任は承諾者にあるものと考えられます。したがって、申込者が読むことができない場合には、原則として承諾通知は不到達と解されることになるでしょう。


 なお、解読できないか否かについては、単に文字化けがあることのみではなく、個別の事例に応じて総合的に判断されることとなります。例えば、文字コードの選択の設定を行うだけで読める場合など、取引で合理的に期待されている相手方のリテラシーが低い場合には、承諾者に責任がなく、相手方が通常期待されるリテラシーを有していることを前提として解釈されるべきです。


【ウェブ画面の場合】

 インターネット通販等の場合、ウェブ画面上を通じて申込みがなされ、承諾もウェブ画面でなされることがあります。ウェブ画面上の定型フォーマットに商品名、個数、申込者の住所・氏名等の必要事項を入力し、これを送信することにより申込みの意思表示が発信され、この申込み通知がウェブサーバーに記録された後、申込者のウェブ画面に承諾した旨又は契約が成立した旨が自動的に表示されるシステムが利用されるような場合です。


 このようにウェブ画面を通じて承諾通知が発信された場合についても、電子メールの場合と同様の視点で考えるのが相当です。


 すなわち、ウェブサーバーに申込みデータが記録され、これに応答する承諾データが申込者側に到達の上、申込者のモニター画面上に承諾通知が表示された時点で到達したと解されます。また、承諾通知が画面上に表示されていれば足り、申込者がそれを現認したか否かは承諾通知の到達の有無には影響しません。他方、通信障害等何らかのトラブルにより申込者のモニター画面に承諾通知が表示されなかった場合は、原則として承諾通知は不到達と解されます。



氏名:高橋弘泰

生年:1970年生

弁護士登録年・弁護士会:
2009年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1994年東京大学法学部卒業

得意分野等:
東京都に勤務の後、大宮法科大学院に入学し、法曹を目指す。行政事件、刑事事件など公益的な活動に力を入れる一方、民事分野でも敷居が低く利用しやすいと同時に、内容的には決して妥協しない良質な法的サービスの提供に努めていきたいと思います。

所属事務所:
法律事務所フロンティア・ロー http://frontier-omiya.jp/index.html

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