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契約書の読みかた(1)

テーマ:契約・取引

2012年10月 4日

解説者

弁護士 高橋弘泰

 契約書については過去にこのコラムでも取り上げられたことがありますが、今回は少し別の角度から、会社間で交わされるビジネス契約書の注意点について述べてみたいと思います。


【契約書の読み方】

 会社間で交わされるビジネス契約書は、さまざまな利害関係人が存在し、取引金額も大きいため、必然的に何かトラブルがあった場合のリスクは高いといえます。後に裁判の証拠として使われることも想定されますので、細かい文言にも慎重になる必要があります。以下に、いくつか注意すべき言い回しの例を挙げてみます。


1.「…とみなす」

 法律文書では、「みなす」と「推定する」は使い分けがされています。例えば、「Aという事由があった場合、重大な契約違反と推定する」と書かれていれば、Aという事態が重大な契約違反にあたらないケース(「不可抗力だった」とか「やむを得なかった」など)であったことを反証する余地があるのに対し、「Aという事由があった場合、重大な契約違反とみなす」と書かれていれば、Aという事態がいったん生じれば、自動的に重大な契約違反となってしまい、反証が許されないという違いがあります。
 したがって、契約書に「…とみなす」という表現が出てきたら、それが当事者(自分の側)にとって不利益に働かないかどうかよく検討する必要があります。
 たとえば、相手方の用意した契約書案に「重大な契約違反があれば甲は乙に催告することなく直ちに契約を解除することができる。下記に列挙する事由は重大な契約違反とみなす」といった条項があれば、列挙事由の中の軽微なものはみなし規定から外し、特に重要なものに絞るという交渉をすべきかもしれません。


2.「…するものとする」

 これも契約書ではよく使われる表現ですが、日本語らしい曖昧な表現であり、注意が必要です。例えば、「…しなければならない」と書いてあれば、「することが義務である」(義務規定)のに対し、「…することができる」と書いてあれば、「することもできるし、しないこともできる」(任意規定)という意味です。
 では、「…するものとする」はどうかと言えば、これは基本的には義務規定ということになります。「…しなければならない」よりも弱い表現ではありますが、ニュアンスの違いだけで、しないことで場合によってはペナルティを受ける可能性があるので、関連条項をよく見る必要があります。


3.「…については協議により定める」

 この表現が使われるのは、契約上明確にしておきたくない事項がある場合です。例えば、ケースバイケースで対応するのが望ましい場合や、現時点で合意に至らなくとも特に不都合がない場合などです。しかし、この文言を安易に多用すると、契約書を作成する意味が失われる可能性があります。なぜなら、この条項は、協議することだけを定め、その他は何も決まっていないことを意味するからです。


【解釈の余地のない文言を】

 政治の世界では「本当に大事な約束は紙に書かない」と言われるらしいですが、ビジネスでは大事なことはすべて書面化しておかないと、トラブルになったときに「言った言わない」の水掛け論になってしまうおそれがあります。
 また、せっかく契約条項を書面化しても、文言が曖昧だったり、表現に明確さが欠けていれば、後日のトラブルの種にもなりかねません。ビジネスが順調に動いているときには、契約書に目を通すことはほとんどないかもしれませんが、いったんトラブルが生じた時には、契約書の文言で自社に有利な主張ができないかどうかを必死に探すことになります。
 そういったときに備えて、契約書の文言はどちらでもとれるような解釈の余地を作らないことと、自社に不利益な規定の仕方は極力避けるようにすることが大切です。



氏名:高橋弘泰

生年:1970年生

弁護士登録年・弁護士会:
2009年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1994年東京大学法学部卒業

得意分野等:
東京都に勤務の後、大宮法科大学院に入学し、法曹を目指す。行政事件、刑事事件など公益的な活動に力を入れる一方、民事分野でも敷居が低く利用しやすいと同時に、内容的には決して妥協しない良質な法的サービスの提供に努めていきたいと思います。

所属事務所:
法律事務所フロンティア・ロー http://frontier-omiya.jp/index.html

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