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労働者派遣法の改正について(1)

テーマ:採用・雇用

2012年4月 5日

解説者

弁護士 高橋弘泰

 労働者派遣については、以前のコラムにおいても取り上げられたことがありますが、いわゆる「派遣切り」の多発や、派遣労働者の不透明な待遇などの多くの問題を含んでおり、議論の多いところでもあります。今国会で、労働者派遣法が改正されましたので、その内容を説明したいと思います。


 今回の法改正は、平成22年に民主党政権により提出された改正案が野党の反対で成立しなかったため、改正案の一部に修正を加えたものになっています。修正部分については改めて説明します。


 まず、法律の題名が「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」から「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」に変わりました。これまでの「派遣労働者の就業条件の整備」という表現に代えて、法律の名称に「派遣労働者の保護」を明記することにより、派遣労働者保護のための法律であることが明確にされ、目的規定にも「派遣労働者の保護・雇用の安定」が明記されました。


【関係派遣先への労働者派遣の制限(8割規制)】

 今回の改正により、派遣元事業主は、グループ企業など省令で定める「関係派遣先」に労働者派遣をするときは、関係派遣先への派遣割合が8割以下になるようにしなければならないこととされました。派遣割合とは、一事業年度における派遣元事業主が雇用する派遣労働者の関係派遣先での総労働時間を、その事業年度における派遣元事業主が雇用する派遣労働者のすべての派遣就業の総労働時間で除して得た割合をいいます。また、派遣元事業主は、この派遣割合を厚生労働大臣に報告しなければなりません。


【マージン率などの情報提供義務】

 派遣元事業主は、事業所ごとの派遣労働者の数、労働者派遣の役務の提供を受けた者の数、労働者派遣に関する料金の額(労働者派遣料金額)の平均額から派遣労働者の賃金の額の平均額を控除した額を労働者派遣料金額の平均額で除して得た割合(いわゆるマージン率)などに関し情報の提供を行わなければならないこととされました。


【労働者派遣契約の解除に当たっての措置】

 労働者派遣契約の当事者は、労働者派遣契約の締結に際し、派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置に関する事項を定めなければならないものとされました。具体的には、(1)派遣労働者の新たな就業機会の確保、(2)派遣労働者に対する休業手当等の支払に要する費用を確保するための費用負担など、労働者派遣契約の解除に当たって必要となる措置です。
 また、労働者派遣先は、その者の都合で労働者派遣契約を解除する場合には、派遣労働者の新たな就業の機会の確保、休業手当等の支払に要する費用を確保するための費用負担などの措置を講じなければなりません。


【有期雇用派遣労働者の雇用の安定】

 派遣元事業主は、有期雇用派遣労働者の希望に応じ、次のいずれかの措置を講ずるように努めなければなりません。


  1. (1)期間を定めないで雇用する派遣労働者として就業させることができるように就業の機会を確保し、又は派遣労働者以外の労働者として期間を定めないで雇用することができるように雇用の機会を確保するとともに、これらの機会を有期雇用派遣労働者等に提供すること。
  2. (2)派遣元事業主が職業紹介を行うことができる場合にあっては、有期雇用派遣労者等を紹介予定派遣の対象とし、又は紹介予定派遣に係る派遣労働者として雇い入れること。
  3. (3)(1)及び(2)のほか、有期雇用派遣労働者等を対象とした期間を定めないで雇用される労働者への転換のための教育訓練その他の期間を定めないで雇用される労働者への転換を推進するための措置を講ずること。

【均衡を考慮した待遇の確保】

 派遣元事業主は、派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する派遣先の労働者の賃金水準との均衡を考慮し、派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する一般の労働者の賃金水準又は派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力若しくは経験等を勘案し、その賃金を決定するように配慮しなければなりません。
 また、派遣元事業主は、派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する派遣先の労働者との均衡を考慮しつつ、教育訓練や福利厚生の実施など派遣労働者の円滑な派遣就業の確保のために必要な措置を講ずるように配慮しなければならないものとされました。


【派遣労働者等の福祉の増進】

 上に挙げたもののほか、派遣元事業主は、派遣労働者等について、希望、能力及び経験に応じた就業及び教育訓練の機会の確保等必要な措置を講じ、これらの者の福祉の増進を図るように努めなければならないものとされました。


氏名:高橋弘泰

生年:1970年生

弁護士登録年・弁護士会:
2009年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1994年東京大学法学部卒業

得意分野等:
東京都に勤務の後、大宮法科大学院に入学し、法曹を目指す。行政事件、刑事事件など公益的な活動に力を入れる一方、民事分野でも敷居が低く利用しやすいと同時に、内容的には決して妥協しない良質な法的サービスの提供に努めていきたいと思います。

所属事務所:
法律事務所フロンティア・ロー http://frontier-omiya.jp/index.html

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