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有期労働契約について(1)有期労働契約の概要

テーマ:採用・雇用

2012年3月 8日

解説者

弁護士 高橋弘泰

 厚生労働省の労働政策審議会労働条件分科会は、昨年末、パートや契約社員など働く期間が決まった「有期契約労働者」について、同じ職場で5年を超えて働いた場合、期間を限定しない「無期雇用」に転換できる制度の導入を求めるなどの内容を含む報告書をまとめました。非正規労働者の増加に歯止めをかけ、雇用を安定させることが狙いと考えられます。


 今回からは、有期労働契約について、その概要や注意点について説明したいと思います。


 有期労働契約とは、その名のとおり契約期間の定めのある労働契約のことですが、契約期間の満了時に、更新されずに契約が自動的に終了する場合と、更新により労働契約が継続する場合があります。途中で正社員等に転換して、改めて期間の定めのない労働契約を締結する場合もあります。


【契約締結・更新時のきまり】

有期労働契約においては、1回の契約期間の上限は原則として3年です。高齢者や、専門的知識を有する者などについては例外として5年となっています(労働基準法第14条)。


 契約に際しては、労働契約の期間に関する事項等は書面により明示しなければならず(労働基準法第15条)、同時に、更新の有無、更新の判断基準を明示しなければなりません(有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準(以下「大臣告示」といいます)第1条)。


 また法令では、契約期間について、目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならないこと(労働契約法第17条2項)、1回以上更新し、かつ通算1年を超えて継続勤務している者については、更新に際し、契約の実態、労働者の希望に応じて、契約期間をできるかぎり長くするよう努めなければならないとされています(大臣告示第4条)。


【黙示の更新】

 雇用の期間が満了した後、労働者が引き続きその労働に従事する場合、使用者がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の雇用と同一の条件で更に雇用をしたものと推定されます(民法第629条)。これを「黙示の更新」といいます。この「同一の条件」に期間の定めも含まれるか否か、つまり無期契約になるか有期契約になるかについては争いのあるところです。


【契約期間中のきまり】

 契約期間中は、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することはできません(労働契約法第17条第1項)。ここでいう「やむを得ない事由」とは、いわゆる解雇権濫用法理で用いられる「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」という基準よりも厳しいと考えられています。一方、労働者の側は、契約の初日から1年経過後は、使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができます(労働基準法附則第137条)。


【契約終了時のきまり】

 3回以上更新されているか、1年を超えて継続して雇用されている者に対して雇止めをする場合は、30日前までに雇止め通告をしなければなりません。また労働者が要求した場合には、遅滞なく雇止め理由の証明書を交付することが義務付けられています(大臣告示第2条、第3条)。


 また、有期労働契約であっても、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態に至っている契約である場合や、反復更新の実態、契約締結時の経緯等から雇用継続への合理的期待が認められる場合は、更新拒否(雇止め)について、解雇権濫用法理が類推適用され、客観的理由を欠き社会的に相当と認められない雇止めの場合、更新拒絶の効力が否定され、当該契約が更新したものと扱われます。これは判例上定まった考え方で、雇止め法理と呼ばれます。


 以上が現在の有期労働契約についての法制度の概要ですが、次回は、有期労働契約のもつ問題点について説明します。


氏名:高橋弘泰

生年:1970年生

弁護士登録年・弁護士会:
2009年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1994年東京大学法学部卒業

得意分野等:
東京都に勤務の後、大宮法科大学院に入学し、法曹を目指す。行政事件、刑事事件など公益的な活動に力を入れる一方、民事分野でも敷居が低く利用しやすいと同時に、内容的には決して妥協しない良質な法的サービスの提供に努めていきたいと思います。

所属事務所:
法律事務所フロンティア・ロー http://frontier-omiya.jp/index.html

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