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下請法の基礎知識(1)下請法の概要

テーマ:契約・取引

2011年8月 4日

解説者

弁護士 高橋弘泰

 下請法(下請代金支払遅延等防止法)は、親事業者による下請事業者に対する優越的地位の乱用行為を取り締まるために制定された特別法です。


 優越的地位の乱用行為といえば、独占禁止法上にその規制が存在しますが、優越的地位の濫用は、完成品メーカーと部品メーカーの間で行われる下請取引において、特に顕著にみられることから、これらの下請取引を規制する目的で、独禁法の補助立法として制定されたのが下請法です。
 今回は、下請法の概要について説明し、次回以降、細かい中身の説明に入っていきたいと思います。


【規制対象となる取引内容】

 下請法においては、(1)製造委託、(2)修理委託、(3)情報成果物作成委託、(4)役務提供委託に係る取引が規制対象となっています。


 「製造委託」とは、事業者が業として行う販売若しくは製造(加工を含む)の目的物である物品、その他半製品、部品、付属品、原材料、さらにこれらの製造に用いる金型の製造を他の事業者に委託することなどをいいます(2条1項)。


 「修理委託」とは、事業者が業として請け負う物品の修理の行為の全部又は一部を他の事業者に委託することをいい(同条2項)、「情報成果物作成委託」とは、事業者が業として行う提供若しくは請け負うプログラム、映画、放送番組情報成果物の作成の行為の全部又は一部を他の事業者に委託することをいいます(同条3項)。


 「役務提供委託」とは、事業者が業として行う運送やビルメンテナンスなどの役務の提供行為の全部又は一部を他の事業者に委託することです(同条4項)。ただし、建設業を営む事業者が請け負う建設工事は、役務には含まれません。これは、建設工事の下請負については、建設業法において本法と類似の規定が置かれており、下請事業者の保護が別途図られているためです。


【資本金区分】

 下請法は、取引当事者の資本金の額によっても対象を定めています。まず、規制対象となる行為者は「親事業者」と呼ばれます。資本金による区分は次の二つの場合に分かれます。


 第一に、物品の製造委託と修理委託、「政令で定める」情報成果物の作成と役務提供委託についての、(1)資本金3億円超の親事業者と資本金3億円以下の下請事業者の取引、(2)資本金1千万円超3億円以下の親事業者と資本金1千万円以下の下請事業者との間の取引です。この場合の「政令で定める情報成果物」は「プログラム」のことであり、「政令で定める役務」は「運送、物品の倉庫における保管および情報処理」とされています。


 第二に、情報成果物作成と役務提供委託についての(1)資本金5千万円超の親事業者と資本金5千万円以下の下請事業者との間の取引、(2)資本金1千万円超5千万円以下の親事業者と資本金1千万円以下の下請事業者との間の取引です。


【親事業者の義務及び禁止行為】

 親事業者は、下請事業者に対し製造委託等をしたときは、直ちに下請事業者の給付の内容、下請代金の額、支払期日、支払方法等について記載した書面を下請事業者に交付しなければなりません。
 情報成果物の作成委託のように、あらかじめ内容を確定させることが困難な場合は、「正当な理由があるもの」については、当該事項についての記載を後に補充してもよいことになっています(3条1項但し書き)。
 親事業者の義務としては他に、書類作成・保存義務(5条)、下請代金の支払期日を定める義務(2条の2)、遅延利息の支払義務(4条の2)が定められています。


 また親事業者には、以下の行為が禁止されています(役務提供の場合は(1)と(4)は除かれます)。
 (1)受領拒否
 (2)下請代金の支払遅延
 (3)下請代金の減額
 (4)不当な返品
 (5)買いたたき
 (6)購入強制
 (7)報復行為
 (8)有償支給原材料等の対価の早期決済
 (9)割引困難手形の交付
 (10)経済上の利益の提供要請
 (11)不当な給付内容の変更、やり直し
 これらの詳しい内容や具体例については次回以降説明していきます。


【規制手続と運用の実際】

 公正取引委員会と中小企業庁は、下請取引が公正に行われているか否かを把握するため、毎年、親事業者と下請業者に対する書面調査を実施しています。また、必要に応じ、親事業者の保存している取引記録の調査や立ち入り検査も実施されます。
 公正取引委員会は、親事業者が下請法に違反した場合、それを取りやめて原状回復させることを求めるとともに、再発防止などの措置を実施するよう、勧告・公表を行うことができます。
 また、親事業者が上記の義務に違反した場合や、虚偽報告、立ち入り検査の拒否・妨害の場合には、本人と会社に50万円以下の罰金を処せられます。
 公正取引委員会と中小企業庁の取り締まりは近年強化される傾向にあるようです。


 親事業者にとって気をつけなければならないのは、下請法に定める禁止行為を行った場合には、たとえ下請事業者の了解を得ているとしても、下請法に違反することになるという点です。
 親事業者が下請法に違反した場合は、上記のような勧告・公表などの処分がなされます。下請法違反は下請事業者の保護のために役立つ一方、親事業者にとって企業価値を大きく損ねるリスクがあり、双方が十分な知識を持つことが大切です。


氏名:高橋弘泰

生年:1970年生

弁護士登録年・弁護士会:
2009年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1994年東京大学法学部卒業

得意分野等:
東京都に勤務の後、大宮法科大学院に入学し、法曹を目指す。行政事件、刑事事件など公益的な活動に力を入れる一方、民事分野でも敷居が低く利用しやすいと同時に、内容的には決して妥協しない良質な法的サービスの提供に努めていきたいと思います。

所属事務所:
法律事務所フロンティア・ロー http://frontier-omiya.jp/index.html

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