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反社会的勢力との関係遮断(1)

テーマ:企業統制・リスク管理

2011年6月16日

解説者

弁護士 石井邦尚

 最近は、新しい取引先と取引を開始する際、「当社は反社会的勢力ではなく、反社会的勢力との取引もない」といった内容の誓約書を求められたり、契約書の中にそのような内容の条項が置かれたりすることが増えてきました。時には、従来からの取引先からもそうした誓約書等が求められることもあります。


 これらはどのような意味を持つのでしょうか。なぜ、最近になってこのような誓約書や契約書条項が求められるようになってきたのでしょうか。


【反社会的勢力とは】

 反社会的勢力とは、暴力団、暴力団員、暴力団関係企業・団体、その関係者、総会屋、社会運動標ぼうゴロ、政治活動標ぼうゴロ、特殊知能暴力集団など、不正行為を生業とする者たちを指す言葉です。ただし、法律などによる明確な定義はありません。


 こうした者たちは以前から存在しますが、近年になって、企業は反社会的勢力と取引を行ってはならない、関係遮断しなければならないという機運が高まってきています。


 なお、暴力団や暴力団員でなくても、反社会的勢力に含まれます。これは、暴力団が名前を隠して資金集めをすることが増えてきたということも背景にあります。


【なぜ関係遮断が重要か】

 それでは、なぜ反社会的勢力との関係遮断が重要なのでしょうか。


 まず、当然のことながら、自社及び自社の役員、従業員といった関係者を守るということ、いわば企業防衛が挙げられます。反社会的勢力の標的となると、金銭等の経済的利益を吸い取られ、さらには企業そのものを乗っ取られることもあります。役員や従業員ら個人が標的となることもあります。また、特に取締役は、会社に被害が生じた場合に、取締役としての善管注意義務違反等として、多額の損害賠償義務を負う可能性もあります。反社会的勢力は、企業とその関係者らに多大な被害を生じさせるのです。


 また、反社会的勢力との関係が明らかになると、社会的な非難を浴びて信用失墜を招くことになりかねません。マスコミで大きく非難されるような事態になれば、企業の存続すら危うくなります。


 さらに、最近は、企業の社会的責任という観点が重視されるようになってきました。反社会的勢力と取引を行うということは、反社会的勢力の活動資金等を提供することと同じです。たとえ正当な取引であり対価も相当であったとしても、反社会的勢力が取引から得た利益は、最終的には社会にとって有害な活動の資金源、組織の資金源となるのです。このようなことは社会的に許されることではないのです。


【反社会的勢力への対応の考え方】

 反社会的勢力への対応については、法務省が犯罪対策閣僚会議幹事会の申合せとして公表している「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」が参考になります。そこでは、反社会的勢力による被害を防止するための基本原則として、次の5つが掲げられています。


  1. (1)組織としての対応
  2. (2)外部専門機関との連携
  3. (3)取引を含めた一切の関係遮断
  4. (4)有事における民事と刑事の法的対応
  5. (5)裏取引や資金提供の禁止

以下では、まずこれらについて説明します。


【組織としての対応】

 反社会的勢力は相手の弱みにつけ込もうとします。会社全体を相手にするよりも、まずは担当者といった個人や担当部署から攻めるということは十分にあり得ます。また、担当者としても、恐怖心や、あるいは問題が生じたこと自体が不名誉といった感情から、自分だけで処理しようとするケースもあります。しかし、相手の方が何枚も上手ですから、従業員や役員が個人で対処しようとしても、逆にそこにつけ込まれて傷口を広げるばかりでしょう。


 反社会的勢力に対しては、会社が組織として立ち向かうということが不可欠なのです。会社は、有事には従業員の安全を確保するための措置を講じることはもちろんのこと、問題が発生する前にも予め会社が反社会的勢力との関係を断固排除すること、そのために会社全体で対応することなどの方針を明確にして、万が一にも担当者が自分一人で問題を抱え込むことがないようにすることなどが求められます。


【外部専門機関との連携】

 反社会的勢力はいわばその道のプロです。これに対抗するには、外部専門機関との連携が不可欠です。自社だけで対応しようとするのではなく、警察や暴力追放運動推進センター、弁護士などと連携を取るべきです。また、問題が発生したときだけでなく、平素からこうした機関と連携関係を構築したり、こうした機関の開催する研修会等に参加するなどして情報収集につとめることは望ましいことです。


 そして、実際に問題が発生した場合、あるいは発生しそうな場合は、できるだけ早い段階から外部専門機関に相談することも重要です。


 なお、実際に問題が生じた後には、弁護士への依頼は不可欠になりますが、その場合には弁護士会の民事介入暴力対策に関する委員会の委員など、民事介入暴力対策に取り組んでいる弁護士をメンバーに入れるとよいでしょう。


 「(3)取引を含めた一切の関係遮断」以降については、次回、解説します。


氏名:石井邦尚

生年:1972年生

弁護士登録年・弁護士会:
1999年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1997年東京大学法学部卒業、2003年コロンビア大学ロースクールLL.M.コース修了

得意分野等:
米国留学から帰国後に「挑戦する人(企業)の身近なパートナー」となるべくリーバマン法律事務所を設立、IT関連事業の法務を中心とした企業法務、新設企業・新規事業支援、知的財産などを主に取り扱う。留学経験を活かし、国際的な視点も重視しながら、ビジネスで日々発生する新しい法律問題に積極的に取り組んでいる。

所属事務所:
リーバマン法律事務所 http://www.rbmlaw.jp/

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