本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 経営をよくする > 法律コラム

法律コラム


[インターネット|2011年1月 7日]
弁護士 石井邦尚

インターネット上の発言と法的責任:名誉毀損(1)

弁護士 石井邦尚

【インターネット上の発言】

 インターネット上では、掲示板やブログ、ミクシィなどのSNSなどを通じて、一般の人々も簡単に発言等(情報発信)をすることができます。
 これは、従来からの新聞、雑誌、テレビなどのメディアにはないもので、非常に画期的なことです。
 一方で、一般の人々の発言等に法的責任が問われることも少なくなくなってきました。代表的なのは名誉毀損の問題で、個人の書き込みに対し、刑事責任(名誉毀損罪)が問われた事例もあります。

 この問題は会社にとっても他人事ではありません。会社自身の「失言」に法的責任が問われる可能性もありますし、社員が業務に関して「失言」をすれば会社にも影響が及ぶかもしれません。
 これから何回かに分けて、こうしたインターネット上の発言、情報発信に対する法的責任について解説します。まずは名誉毀損です。

【名誉毀損とは】

 名誉毀損というのは、一言で言えば、他人の社会的評価を低下させる行為です。
 名誉は人格権として法的に保護されていて、名誉を毀損する行為は、民事上は不法行為として損害賠償等の対象となり、刑事上は名誉毀損罪(刑法230条1項)等に問われます。

 「名誉」は、講学上は内部的名誉、外部的名誉、名誉感情の3つに分類されます。

  • 内部的名誉:自己や他人が自信に対して下す評価から離れて、客観的にその人の内部に備わっている価値そのもの。
  • 外部的名誉:人に対して社会が与える評価。
  • 名誉感情(主観的名誉):自分が自分の価値について有している意識や感情。

 このうち、名誉毀損で保護される「名誉」は、外部的名誉を指します。本人が侮辱されたと感じた(=名誉感情が害された)からといって名誉毀損となるわけではなく、あくまでも「社会が与える評価」が毀損されたかどうかが問題なのです。
 例えば、ある人に対して、直接、罵倒する言葉を浴びせたとしても、それを聞いた人が他にいなければ、その人の名誉感情は害されても、社会的評価は低下しないので、名誉毀損とはならないのです。

 ただし、名誉感情を侵害する行為も、それが甚だしい場合は損害賠償の対象になることもあります。また、発言等で摘示された事実が、たとえ真実であろうと、名誉毀損が成立するのが原則です。「本当のことを言っただけだ」というだけでは、弁解にならないのです。

 とはいえ、それでは本来有益かつ必要な情報も流通しなくなってしまい(例えば、政治家などの重要な人物の不祥事ですら報道できなくなってしまいます)、表現の自由が害されて極めて不都合です。そこで、次回解説しますが、一定の要件を満たす場合には人の社会的評価を低下させる行為であっても、民事上も刑事上も名誉毀損の責任を問われないことになっています。

【名誉毀損の判断基準】

 「人の社会的評価を低下させる」と言っても、ある記事、発言等が人の社会的評価を低下させるものかどうかは、受け止める人によっても異なってくるケースは多々あります。明確な害意を持っているような場合意はともかく、記事を書いた人や発言者本人は、名誉毀損に該当するような内容ではないと思っているケースも少なくないでしょう。

 そこで、どのような基準でこれを判断するかという問題が出てくるのですが、新聞や雑誌などであれば「一般読者の普通の注意と読み方」を、テレビなどであれば「一般視聴者の普通の注意と視聴の仕方」を基準に判断するというのが、おおむね確立された判例となっています。これでも曖昧さは残りますが、これ以上に具体的な基準を一般的に定立することはなかなか難しいでしょう。

 このような判例や名誉毀損に関する法律は、新聞や雑誌、テレビなどの従来からのメディアを前提に築かれてきたといえます。マスメディアに対する法のあり方と、インターネット上の個人の発言等とを同列に扱ってよいのかは大きな課題となっていますが、大きな枠組みとしては、これまでの名誉毀損に関する法がインターネットの世界にも適用されるとされています。
 次回も引き続き名誉毀損について解説します。

氏名:石井邦尚

生年:1972年生

弁護士登録年・弁護士会:
1999年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1997年東京大学法学部卒業、2003年コロンビア大学ロースクールLL.M.コース修了

得意分野等:
米国留学から帰国後に「挑戦する人(企業)の身近なパートナー」となるべくリーバマン法律事務所を設立、IT関連事業の法務を中心とした企業法務、新設企業・新規事業支援、知的財産などを主に取り扱う。留学経験を活かし、国際的な視点も重視しながら、ビジネスで日々発生する新しい法律問題に積極的に取り組んでいる。

所属事務所:
リーバマン法律事務所 http://www.rbmlaw.jp/

前の記事次の記事


このページの先頭へ