本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

トップページ  >  経営をよくする  >  法律コラム

特集一覧 中小企業に役立つ記事や施策をトピックスごとにまとめています。

ドメインの登録で注意すべきこと(1)商標法との関係

テーマ:自社HP・eコマース

2010年9月24日

解説者

弁護士 森山裕紀子

【ドメインとは】

 ドメインとは、ネットワークに接続しているコンピュータの所在を示す文字列で、いわばインターネット上の「住所」にあたる部分です。たとえば、http://j-net21.smrj.go.jpの、「j-net21.smrj.go.jp」に該当する部分がドメインにあたります。「.jp」は、日本国を表しており「トップレベルドメイン」と呼ばれています。(トップレベルドメインは、「.com」のように誰でも登録できるもの、「.jp」のように国内に登録を限定しているものなど、いくつかの種類があります。)「.go」部分は組織の種類を示しており「第2ドメイン」と呼ばれています。「j-net21.smrj」部分はその組織名等を示しており「第3ドメイン」と呼ばれています。私たちが具体的にドメインを登録する場合、この第3ドメインを自由な文字列を組み合わせて登録しています。
 ドメインはインターネット上の住所を示すので、重複しないように国際的に管理されています。国際的には、非営利法人ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)により管理され、JPドメインは、委託を受けた株式会社日本レジストリサービス(JPRS)が登録管理業務を行っています。(ドメイン取得の具体的な手続は、JPRSのホームページ)を参照してください。)
 中小企業においても、自社の社名などをドメインにし、ホームページやメールアドレスを作成することも多くなってきています。


【先願主義と商標登録】

 ドメインの取得は先願主義となっており、希望するドメインの登録を誰かが行っていない限り、希望するドメインの登録ができることになっています。商標登録のような審査は行われませんし、またドメイン名登録申請者の所有でない登録商標等との調整を事前に行う制度は整備されていないのが現状です。
 では、どんなドメインでも登録して問題は起きないのでしょうか? ドメイン名は、実際には会社名の表記と同じ場合や、その会社の登録している商標と一致する場合が多くなっています。商標登録者にとっては大切な財産的価値がある文字列といえます。そして、ドメイン名によっては、本来の住所を示す役割以外に、ホームページで表示される商品や役務を識別したり、出所を示す機能さえ持ち始めてきています。そのような商標を、ドメインは未登録だからといって、ドメインを先に登録し使用して問題はないのでしょうか?
 以下、ドメイン取得に関してどんな紛争が起こり得るか、具体的には、商標法や不正競争防止法との関係、そしてADRとしてのJPドメイン紛争処理について検討していきます。


【商標法との関係】

 自社が希望するドメインの文字列を既に第三者が商標として登録していた場合、商標法上どのような問題が発生する可能性があるのでしょうか?
 商標法の保護が受けられる場合、商標取得者には、商標を専用する権利と、商標権者以外の使用を禁止する権利が付与されます。そして、このような保護を受けることにより、商標登録者は登録商標を無断で使う者に対して、当該商標の使用をさせないこと(差止請求権)、当該損害の賠償を求めること(損害賠償請求権)、謝罪広告などを求めること(信用回復措置請求権)が認められます。
 商標法は、このような権利を商標登録者に付与することで、商標に対する社会や一般消費者の信頼を保護していくことを目的としているのです。


 では、他人が商標登録している文字列をドメインとして登録すると、登録者から商標法を根拠として訴えられるのでしょうか?商標には、(1)自他商品又は役務の識別機能、(2)出所表示機能、(3)品質保証機能、(4)広告機能が認められていますが、(1)がもっとも重要な機能とされています。つまり、自分の商品又は役務を他者の商品又は役務から識別するという点が重要な商標の意義となります。これら機能を害する場合には、商標法上、商標登録者に上述のような請求が認められることがあります。
 ある文字列を、既に第三者が商標として登録していたにもかかわらず、その文字列をドメインとして利用し、そのドメインの利用態様が他者の商標権の侵害とあたる場合としては、たとえば第三者の商標登録している指定商品・役務などと同種の商品・役務などに関連する商品等を、当該ドメインを利用しているURL上で提示・販売等行っている場合などが考えられると思われます。そのような場合には、商標法上の訴訟を提起されてしまう可能性も否定できません。
 また、商標法との関係で注意すべきは、商標そのものではなくとも、呼称において類似性が認められる場合、つまり一文字は異なるけれども全体として見ると類似性が認められる場合などは、同様に商標権侵害と認められる場合がある点です。


 商標法での保護の範囲は、「登録商標」に限定する、「使用」という概念を厳格に判断する、「指定商品・役務」に限定するなどとの関係から、直接商標法を根拠に争うことは少ないかもしれません。しかし、不正競争防止法との関係では、有名な他者の氏名、商号、商標、標章その他商品又は役務を示すものをドメインとして利用した場合に、損害賠償等を請求することができるとされています。


 次回は、不正競争防止法とドメイン登録の関係を検討していきます。


氏名:森山裕紀子

弁護士登録年・弁護士会:
2008年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1998年 明治学院大学法学部卒業、2000年 横浜国立大学大学院国際経済法学研究科修了(国際経済法学修士)、2003年 大宮法科大学院大学法務研究科法務専攻修了(法務博士・専門職)

経歴:
2008年 大宮法科大学院大学非常勤講師(至現在)

得意分野等:
IT法、個人情報保護法、企業法務、一般民事他

所属事務所:
法律事務所フロンティア・ロー http://frontier-omiya.jp/index.html

同テーマの記事を見る 3つのコンテンツから検索ができます!

このページの先頭へ

このページの先頭へ