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法律コラム


[知的財産法|2010年7月29日]
弁護士 石井邦尚

インターネットと著作権の基礎(1)-著作権法の改正について

弁護士 石井邦尚

 著作権法は平成21年6月に改正され、平成22年1月から改正法が施行されています。今回の改正は、インターネットの発展・普及に対応するものです。今回の著作権法改正のポイントを知ることにより、現在、インターネットに関連して著作権法上で何が問題となっているのかがわかります。そこで、いきなりですが、著作権法改正のポイントを見ることから「著作権法入門」を始めましょう。

【インターネット販売等での美術品等の画像掲載】

 少し前の話になりますが、2007年に、国税庁が文化庁から「著作権法違反の疑いがある」という指摘を受けたということがありました。国税庁は、税金滞納者から差し押さえた絵画などをインターネット・オークションで公売しようとしたのですが、その際に、著作権者らの許諾を得ないまま、絵画などの写真をウェブ上に掲載したということです。
 絵画などを、インターネットを通じて販売しようとすれば、写真の掲載は不可欠に思えますが、このようなことをすると、著作権法違反にあたると考えられており、その後、そのような裁判例も出ました。
 国税庁の問題があったからかどうかはわかりませんが、今回の改正で、美術品・写真をインターネットで販売する際に(一定の要件を満たせば)権利者の許諾なしに商品画像の掲載ができるようになりました。これにより、ようやく安心して美術品・写真をインターネットで販売する基盤ができたと言えます。

【インターネット情報検索のための複製】

 インターネットを利用しているほとんどの人は、Yahoo!やGoogleなどの情報検索サイトを利用していると思います。実は、この情報検索サイトが、日本の著作権法に違反している可能性があり、日本国内にサーバーを設置できないのではないかと言われていました。明確に「クロ」とまでは言わないまでも、「グレー」と考えられていたのです。
 情報検索サイトは、検索エンジンを用いて、予めウェブサイトなどから情報を収集し、分析・整理しています。その際には、当然、情報検索サイトのサーバーに各ウェブサイト等(の一部)に掲載されたデータが蓄積されますし、検索結果でもそれ(の一部)を表示します。こうしたことが、著作権法違反にあたる可能性があると指摘されていました。
 しかし、こうした情報検索サイトの有用性・必要性は誰もが認めるところですし、日本国内ではダメだが海外にサーバーを設置すればよいというのも馬鹿げた話です。そこで、今回の著作権法改正で、こうした疑義が生じないよう、上記のようなことは著作権法違反にあたらないことが明記されました。

【インターネットを通じた送信の効率化等のための複製】

 インターネットを通じて情報を効率的に送信するために、通信事業者などは、「キャッシュサーバー」に情報(=著作物)を蓄積(=複製)します。また、障害を回避するために「バックアップサーバー」にも情報を蓄積します。このような目的で著作物を蓄積(複製)することも、著作権法違反の疑いがあると言われていました。
 しかし、こうしたことは技術的に必要なために行っているだけですし、権利者の実害もありません。そこで、疑いが生じないよう、今回の改正で、こうしたことは著作権法に違反しないことが明記されました。

【電子機器利用時に必要な複製】

 コンピュータを利用する際、コンピュータ内部では、ハードディスクに記録されていたデータが一時的にRAMメモリに記憶されます。このようにコンピュータ内部でデータが(一時的に)複製されることも、形式的に見れば著作権法違反になる可能性があると言われていました。そこで、今回の改正で、こうしたことが著作権法違反ではないことが明記されました。

【まとめ】

 美術品等の写真掲載のように、通常のビジネス感覚では売主の責任として当然に必要だろうと思うこと、また、情報検索サイトや送信の効率化等のための複製、コンピュータ内部での一時的複製のように、技術的に不可欠なことでも、著作権法に違反する疑いが生じます。悪気がなくても、思ってもいなかった形で著作権法違反の指摘を受ける(しかも国税庁ですら)のが著作権法のこわいところです。したがって、インターネットを利用するにあたり、著作権法の最低限の基礎知識は身に付けておくべきです。
 なお、今回の著作権法改正では、違法な音楽や映像をダウンロードすることを著作権法違反とする、国立国会図書館の所蔵資料の電子化など、上記のほかにもいくつか改正点がありますが、「著作権法改正からの著作権法入門」という今回の解説の趣旨から割愛しました。
 次回から、具体的に著作権法の基礎知識を解説していきます。

氏名:石井邦尚

生年:1972年生

弁護士登録年・弁護士会:
1999年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1997年東京大学法学部卒業、2003年コロンビア大学ロースクールLL.M.コース修了

得意分野等:
米国留学から帰国後に「挑戦する人(企業)の身近なパートナー」となるべくリーバマン法律事務所を設立、IT関連事業の法務を中心とした企業法務、新設企業・新規事業支援、知的財産などを主に取り扱う。留学経験を活かし、国際的な視点も重視しながら、ビジネスで日々発生する新しい法律問題に積極的に取り組んでいる。

所属事務所:
リーバマン法律事務所 http://www.rbmlaw.jp/

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