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米国スパムメール禁止法成立(1)

テーマ:インターネット一般

2004年7月 1日

解説者

弁護士 土谷喜輝

最近、英文の広告メールがたくさん来るようになったと感じている方が日本でも増えているのではないでしょうか。2003年は、米国で不特定多数に大量のメールを送るといういわゆるスパムメールが激増したと言われており、その対策として、2003年12月16日、スパムメールを禁止する連邦法(Controlling the Assault of Non-Solicited Pornography and Marketing Act of 2003 、通称「CAN-SPAM」)が成立し、2004年1月1日から施行されています。


成立に至る経緯

インターネットが早くから普及していた米国では、何年も前からスパムメール対策の必要性が叫ばれていました。そこで、2000年頃から、各州がスパムメール禁止に関する法律を制定し、現在では、34の州が何らかのスパムメール禁止法を制定しています。ちなみに、日本でも、2002年4月に迷惑メール対策として、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律が成立し、特定商取引に関する法律も改正されています。
これに対し、連邦法の制定は、スパムメールの一律禁止が言論の自由を侵害するという意見や安い費用で広告を行い大企業と対抗する重要な手段を小規模事業者から奪うなどの意見もあり、遅れてきました。しかし、ここ最近のスパムメールの激増に多くの消費者もうんざりしていることや大量のスパムメールが送信されることにより自社のサーバー等が利用されている「AOL」や「Yahoo!」等のサービスプロバイダーの要請などもあり、今回の連邦法成立となりました。まさに、遂に制定されたという感じなのですが、早くもその実効性に疑問の声が上がっています。


禁止される行為

CAN-SPAMのSection4(a)(1)(a)では、以下のような行為が禁止されていて、これに違反すると罰金や5年以下の懲役が科せられます。
(1)他人のコンピュータ(protected computer)に権限なくアクセスし、そのコンピュータから、またはそのコンピュータを通じて、意図的に大量の(multiple)商業的電子メールを送信する行為
(2)受信者を騙し、または誤解を与える意図で、大量の商業的電子メールを中継し、または転送するために他人のコンピュータを利用する行為
(3)大量の商業的電子メールのヘッダー情報を実質的に偽り、そのようなメールを意図的に送信する行為
(4)登録者の個人情報を偽り、5つ以上のメール・アカウントまたはオンライン・ユーザー・アカウントもしくは2つ以上のドメイン名を登録し、これらのアカウントまたはドメイン名の複数から大量の商業的電子メールを送信する行為
(5)自己を偽って5つ以上のインターネット・プロトコル・アドレスの登録者、またはその合法的承継者であると表示し、そのアドレスから大量の商業的電子メールを送信する行為
また、その他に、以下のような行為が違法とされており、違反すると同じく罰金や5年以下の懲役が科せられます(Section 5)。
(1)ヘッダー情報が実質的に虚偽であったり、誤解を与えるような商業的電子メールの送信
(2)受信者に誤解を与えるような件名を含む商業的電子メールの送信
(3)受信者が今後の受信拒否を要求するための方法(いわゆる「オプトアウト(opt out)」)の明記および機能する返信用アドレスを含まない商業的電子メールの送信
(4)受信を拒否すると要求した受信者に対し、10営業日以降に再度商業的電子メールを送信すること
(5)以下の事項が含まれていない商業的電子メールの送信
・広告または勧誘であることの明記
・オプトアウトの機会の通知
・送信者の有効な住所


スパムメールの合法化か?

CAN-SPAMによると、Section 5の要件を満たし、ヘッダーや件名にも虚偽や誤認表示がなければ、大量に不特定多数の人にメールを送信すること自体は違法ではないことになります。このことから、CAN-SPAMは、スパムメールを合法化したものであるとの批判もあります。メールというものが小規模な事業者にとっては効率的な広告方法であることから、内容を適正に表示し、オプトアウトの明記もあれば、違法とする必要はないという考えから、このような規定となったのでしょうが、連邦議員自身も、不特定多数の国民に自己の宣伝や主張を記載したメールを大量に送ることもあるからだろうという皮肉な見方まであります。


<参考サイト>
・CAN-SPAM条文
Spamhaus(反スパムメール団体)


土谷喜輝
ニューヨーク州法曹資格

主要著書
 『個人情報保護法Q&A』
  <部分執筆> (中央経済社 2001)
 『インターネットをめぐる米国判例・法律100選<改訂版>』
  <共著>(ジェトロ 2001)
 『ビジネスマンのためのインターネット法律事典』
  <部分執筆> (日経BP社 2001)
 『米国弁護士によるビジネスモデル特許事例詳説』(ジェトロ 2000) 等

このコンテンツは「法律情報メールマガジンLIMM」より提供されております
e-hoki.com LIMMにおける掲載時点(2003年1月23日掲載分)での執筆物であるため、その後の法改正等により、情報が古くなっている場合も、あり得ます。

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