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労働契約法の改正(1)〜「5年ルール」による有期労働契約の無期契約への転換

テーマ:採用・雇用

2013年5月 7日

解説者

弁護士 石井邦尚

 昨年(2012年)、労働契約法が改正され、今年(2013年)4月1日から施行されました(一部の改正は2012年8月から施行されています)。今回の改正では、有期雇用契約が更新されて通算5年を超えた場合に、労働者の申込により無期雇用契約に転換するという制度が導入され、「5年ルール」などと呼ばれて注目を集めています。今回は、この5年ルールについて解説します。


【5年ルールの概要】

 5年ルールは、同一の使用者との間の有期労働契約が、更新等され、その通算の契約期間が5年を超えた場合に、労働者が、有期労働契約の契約期間満了日までの間に、契約期間の定めのない(=無期)労働契約締結の申込みをしたときに、使用者は、その申込みに承諾をしたものと「みなす」というものです(労働契約法18条1項)。
 「みなす」というのは、実際に承諾をしたか否かにかかわらず、法律上は承諾をしたものとして扱われるということで、要は自動的に無期労働契約を締結したことになります。使用者はこれを拒否することはできません。また、無期労働契約は、あくまでも労働者の申込みがあって成立するのであり、通算期間が5年を超えただけで自動的に成立するわけではありません。
 この無期労働契約は、法律上は労働者の申込時に成立し、有期労働契約の期間満了日の翌日から開始します。



【転換後の契約の内容と注意点】

 5年ルールによる転換後の無期労働契約の内容(労働条件)は、別段の定めがある部分を除き、有期契約の内容と同一のものとされます(もちろん、契約期間は除きます)。元々無期契約を締結した労働者(正社員)と、有期労働契約から転換した無期契約の労働者をまったく同一に扱うことまで法律が求めているわけではありません。
 別段の定めには、労働協約、就業規則、転換にあたっての労働者との個別の合意(契約)が該当します。使用者(企業)は、5年ルールによる無期労働契約への転換に備え、就業規則等をあらためて見直しておくべきです。


【クーリング】

 5年の契約期間は、継続的に有期労働契約が更新されてきた場合だけでなく、途中、契約期間が満了して契約が終了した場合でも、同一の使用者との間で再び有期労働契約が締結された場合には、新旧の有期労働契約の期間が通算されます。
 ただし、前の契約の期間満了後、次の有期労働契約の契約期間開始までに6か月以上の契約のない期間(空白期間)がある場合には、空白期間よりも前の契約期間は、5年を計算されるにあたって通算されません(労働契約法18条2項)。6か月以上の空白期間があると通算期間の計算はリセットされ、その後の有期労働契約は、また1日目からカウントされます。これはクーリングと呼ばれています。
 なお、やや細かい話になりますが、空白期間前の契約期間が1年未満の場合には、6か月ではなく、空白期間前の契約期間の2分の1の月数(1月未満の端数がある場合には、その端数を切り上げた月数)がクーリングに必要な空白期間とされます。



【いつの契約から適用されるか?】

 5年ルールは、改正法が施行された日(2013年4月1日)以後の日を契約期間の初日とする契約に締結されます。それ以前に開始していた契約には締結されませんが、そのような契約が2013年4月1日以後に更新された場合は、更新後の契約に5年ルールが適用され、更新された契約の開始日から、期間の計算が始まります。
 したがって、5年ルールにより、無期労働契約に転換するのは、2018年4月1日以降ということになります。
 有期労働契約を締結している企業は、それまでの間に、人事体制を検討すると共に、就業規則の改正等、適切な対応を行っておく必要があります。


氏名:石井邦尚

生年:1972年生

弁護士登録年・弁護士会:
1999年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1997年東京大学法学部卒業、2003年コロンビア大学ロースクールLL.M.コース修了

得意分野等:
米国留学から帰国後に「挑戦する人(企業)の身近なパートナー」となるべくリーバマン法律事務所を設立、IT関連事業の法務を中心とした企業法務、新設企業・新規事業支援、知的財産などを主に取り扱う。留学経験を活かし、国際的な視点も重視しながら、ビジネスで日々発生する新しい法律問題に積極的に取り組んでいる。

所属事務所:
リーバマン法律事務所 http://www.rbmlaw.jp/

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