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個人情報基礎知識 これだけはおさえよう!

11 個人識別性 〜氏名や住所などを削除したデータならば、第三者に提供してもよい?

テーマ:個人情報基礎知識

2014年4月 4日

ポイント
ポイント:ある情報が誰についての情報かを特定できるか=個人識別性を有するかは、個人情報保護法の適用の有無等にとって、非常に重要な要素です。ただし、氏名や住所を削除すれば、個人は特定できないから大丈夫などと安易に考えてはいけません。

 誰か個人についての情報でも、誰についての情報なのかを特定できないものは、個人情報保護法の「個人情報」に該当しません。例えば、アンケート結果などを集計した統計データでは、個々のアンケート回答は記名式の場合など個人情報に該当することもありますが、それを集計した統計データそのものは、通常は個人を特定できず、個人情報には該当しません。


 個人を特定できるか否かは「個人識別性」と呼ばれていて、個人を特定できる場合を「個人識別性がある」、特定できない場合を「個人識別性がない」などと言います。


 個人情報保護法の問題だけでなく、個人識別性のない情報の取扱いがプライバシー権侵害となる=民法上の不法行為責任が問われる事案は、(「事実は小説よりも奇なり」とも言いますし)絶対にないとまでは言い切れませんが、かなり稀なケースでしょう。


 以上のとおり、個人識別性の有無は、個人情報保護法の適用の有無を判断する上でも、プライバシー権侵害となるかを判断する上でも、非常に重要な要素です。


 それでは、元々は個人情報であった情報でも、氏名や住所、生年月日などを削除してしまえば、個人識別性がなくなって、その情報を第三者に提供したりしても問題はないでしょうか?


 ここでまず注意しなければならないのは、氏名や住所などを削除したとしても、例えば、各データに順に番号が振られていて、別のデータベースを参照すれば、個人を特定できてしまうといったケースです。この場合は、「個人情報とは」(*リンク)で解説しましたが、「他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなる」ものとして、「個人情報」に該当することになります。


 したがって、氏名や住所などを削除しただけで安心せず、他のデータベース等を参照しても、個人が特定できないようにデータを加工する必要があります。


 さらに、IT技術の発展に伴い、最近は難しい問題が生じてきています。ここ数年、「ライフログ」、「ビッグデータ」という言葉をよく耳にします。例えば、電子マネーによる決済履歴や電車の乗降記録、携帯電話やスマートフォンのGPS機能の記録、ウェブ・サービスの利用履歴、ウェブサイトの閲覧履歴等々、さまざまな個人の活動に関連する情報が収集され、蓄積されるようになっています。


 こうした情報の取り扱いと、個人情報やプライバシーの保護との関係が最近は大きな議論になっています。


 こうした情報には、氏名や住所などと結びつけられておらず、単独では個人識別性を有しないものも多くあります。ところが、一つ一つは些細な情報であっても、それが数多く蓄積され、さまざまな情報と組み合わさると、個人を相当程度に識別することができる可能性が生じてきます。


 例えば、ある特定のICカードを使っての電車の乗降履歴が蓄積されると、そのICカードを利用している人の自宅や勤務先の最寄り駅を推測できる可能性があります。そのICカードで自宅近くのコンビニや、勤務先付近のコンビニを何度も利用すれば、さらに細かい情報が推測されます。こうした情報が積み重なることにより、個人が特定されることもあり得るのではないかということが懸念されています。


 さらに、こうした情報が蓄積された後、どこかの時点で、例えば、個人が特定できるようなものの決済にそのICカードが利用されるなどして、個人識別性が生じる可能性もあるでしょう。その場合は、個人の生活に関する大量の情報が個人識別性を獲得し、その人の生活や思想、経歴などについて、かなり詳細にわかってしまうかもしれません。


 実際に個人識別性が生じるかどうかはともかく、個人に関する情報を収集・活用しようとする企業は、このような懸念を抱いている人が少なくないということに十分配慮するべきです。氏名や住所を削除すれば大丈夫と安易に考えて、個人に関する情報を第三者に提供したりすると、思わぬ反発を受けるというリスクがあるということも認識しておく必要が出てきています。

氏名:石井邦尚

1972年生
1999年弁護士登録、第二東京弁護士会所属
1997年東京大学法学部卒業、2003年コロンビア大学ロースクールLL.M.コース修了

専門は企業法務。30年ほど前に小5ではじめてコンピュータを知ったときの驚きと興奮が忘れられずに、今でもITを愛好していることの影響から、企業法務の中でも、特にIT関連の法務を専門としている。著書に「ビジネスマンと法律実務家のためのIT法入門」(民事法研究会)など。

所属事務所:カクイ法律事務所

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