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HOME > 経営をよくする > 人材活用の決め手

人材活用の決め手 中小企業の大きな経営資源である人材について採用から育成までのポイントをわかりやすく紹介します。


人づくり応援 −事業を支える人材育成−

BYOD(私有IT端末の業務活用)対応講座

最終回:3つめのリスク

前回に整理した3つのリスクのうち、実は3つめの「労務リスク」が最も難しく、統一的な方向性、あるべき解の見出しにくい課題です。

BYODが労務に及ぼすリスク

BYOD(Bring Your Own Device、私物携帯端末の業務活用)によって業務効率が高まり、いつでも・どこでも自分の端末で仕事ができるというメリットが生まれる一方、公私の区別が大変曖昧にもなります。その結果、労働時間を特定しづらくなり、労務管理が及ばなくなるというリスクも生じます。
 また、いつでも・どこでも仕事ができるようになった結果、総労働時間が長期化するということも発生し得ます。業務効率向上がメリットの1つであるBYODを推し進めた結果、かえって長時間労働に至るという皮肉なケースが見られ始めています。

SNS(Social Networking Service)がビジネスにも深く関与するようになった昨今、社員がBYOD端末で私用と業務を時間的に明確に区別することは難しいのが現実でしょう。そうした状況に対して、既存の労働法や慣例の枠組みだけで真正面から緻密に対処しようにも限界があります。「改めて事業場外みなし労働制を導入すべきか」「アクセスログを取るべきか」といった検討も、本当に正しい運用が実現できるならばそれはそれで素晴らしいことですが、相応の準備検討時間とシステム等導入パワーがかかってしまいかねません。

そもそも法律が想定するレベルを超えて環境が変化している側面もあり、個別具体的な齟齬については判例や世間の水準を待つまで誰も白黒付けられないこともあるでしょう。BYOD活用時の基本的なルールとモラル、相互の信頼関係に一定程度は頼らざるを得ず、だからこそリスクやモラルの「教育」、もっといえば「組織風土」が重要になります。
 さらに労働時間の課題のみならず、通信費用や端末の買い替え、優良アプリダウンロードや機器補強にかかる費用負担の問題も複雑です。定額制の料金プランが多くを占めるモバイルサービスで、いったいどこまでを会社が負担すべきなのか、アプリケーションや付属端末の購入や買い替えはどこまでが業務として「必要な経費」なのか、また「あると便利」というレベルのものを会社は負担する必要があるのかなど、個別の判断は非常に難しいものです。会社のスタンスや業務上の必要性、適用の範囲など、総合的に勘案し、会社と社員との「納得感」の強いところで一定の線引きをする必要があるでしょう。

社員のモチベーションは正しく把握しよう

そもそもBYODというものを、誰のどんな要請で、何を目的に行うのか。さまざまなルールづくりや運用改善を進めるなかで、そうした本質的な問いかけは時折行うべきでしょう。
 元来、個人の私物を業務に使うというセンシティブな課題です。営業職等の社外で業務を行なう社員は比較的前向きに要望し、または自ら欲して取り入れる傾向にある一方、管理部門の事務職やそもそも公私の区分けをハッキリさせたい思考性の社員とってはネガティブなものにも映ります。
 「臨時的・一部的に仕事を補う為に、自分の責任の範囲で少し活用することは厭わないが、わざわざ会社に自分から申告し、監視されてまで使いたいわけではない」という感覚の社員もまだまだ多いでしょう。「実際に営業現場で絶対必要なのだし、上司も黙認しているのだから、会社でキチンと費用負担すべきだ」と考える社員、あるいはその逆で「自分のスマホを仕事で使うなんて絶対に嫌」と考える社員も当然いるはずです。
 よかれと思ってルールをガッチリ固めてみた結果、誰も望まない制度になってしまったということのないよう、タイムリーで現実的な対応を心がけたい。そのためには、それぞれの立場、その時々の社員のBYODに対するモチベーションや考え方を正しく把握する経営の姿勢こそが、この新しい課題の肝と言えるのかもしれません。

掲載日:2013年9月30日


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