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HOME > 経営をよくする > 人材活用の決め手

人材活用の決め手 中小企業の大きな経営資源である人材について採用から育成までのポイントをわかりやすく紹介します。


人づくり応援 −事業を支える人材育成−

褒め方・叱り方講座

第1回:「褒める」「叱る」の考え方

「ゆとり世代の最近の若者は叱るとダメだ」「あいつは褒めても反応がない」などなど、部下とのコミュニケーションで頭を悩ませる管理職も多いようです。
 では、問題は若い世代にあるのかというと一概にそうとも言えません。若い世代からはこのような声も聞こえてきます。
 「課長はいつも怒っているけど大体、納得がいかない。仕事の指示が悪すぎるし、責任転嫁ばかり」
 「自分の都合のよい時だけ急に機嫌とりにくるけど、全然モチベーションが上がらない」
 再び管理職側の意見を聞いてみると、「厳しく叱ると部下が離れてしまいそうで不安」という人や「褒めるのは恥ずかしくて苦手」という人が結構多いのです。職場において、「褒める」「叱る」という行為は、基本的には上司つまり管理職や先輩の役割です。そう考えるならば、まずは管理職の褒め方・叱り方の課題に焦点をあてるのが妥当なようです。

「褒める」も「叱る」も基本は同じ

褒め方、叱り方というテーマになると必ず論じられるのが、「怒る」と「叱る」は違い、怒るのは感情を発しているだけなのでご法度というものです。確かに正論であり、本連載でもそれに準じた内容もありますが、現実の企業経営の現場でそれが徹底されることは難しいだろうというのが本音です。詳細は後述しますが、中小・ベンチャー企業の厳しいビジネスの現場では、時に感情をぶつけることがよい効果を生み出すことも多々ある現実です。あまり教科書的にはならず、基本的な考え方と多少のポイントをここでは押さえましょう。

一番の原則は、褒めることも叱ることも部下をよく観察し、認めるということです。部下の仕事をよく見て部下を信じ、成長を願っていればこそよい部分や頑張っていること、あるいは期待値に足りない部分やもっと伸ばしてほしいことが浮き彫りになります。それらを表現し、伝えることこそが時に褒めることであり、時に叱ることです。なにも無理に褒めるべきだとか叱るべきだとかいう難しい話ではなく、コミュニケーションのための特別なテクニックでもありません。

よく知られるマズローの欲求5段階説では、高次の欲求として承認(または尊厳)の第4段階をクリアした上に自己実現の第5段階欲求があるとされています。このことからもわかるとおり、「褒められる」ことで所属する組織に認められたことを実感した者は、次に自分の力や可能性を発揮し貢献しようという主体的な社員に成長する可能性があるのです。
 「叱られる」ときでも同じことが言えます。たとえ上司からカミナリを落とされたとしても、それが自分に対する信頼や期待が前提のものであると感じたならば、部下はきちんとそれを好意として受け止め、それに「応えよう」とするものです。この原則にゆとり世代も男女も関係はありません。

チャラ男も数年後にはエースになる

こんな例があります。ある専門サービスのベンチャー企業に20代半ばの若い中途採用者が入社しました。若さに増していわゆる「チャラい」雰囲気を醸すタイプの彼は、職場の皆からは敬遠されていました。前職はまったくの異分野で、入社当初は主任担当者の補助的業務や代理的業務に忙殺されていたこともあり、決してモチベーションが高いとは言えない状況にありました。
 ところが数カ月後、部長があることに気付きます。彼の関与したクライアントのことごとくにおいて、満足度の主たる指標の1つが緩やかながらもスコアを上げているのです。主任担当者やクライアントの特性との関連性は見当たらず、どうも彼が関与しているという1点にデータが共通しているのです。
 部長がこのことに気付き、口にし始めた当初、他のメンバーは誰も信用しませんでした。偶然だと決めつけていたのです。しかし、さらに数週間分析を続け、行動観察をしてみると、明らかに彼のアクションが要因だとわかりました。彼は主要指標にターゲットを絞り、クライアントと朝夕のコミュニケーションを怠らず、確実にその成果を管理していたのです。
 この活動にフォーカスした部長は全社ミーティングで彼の活動を共有しました。この瞬間、彼を見る周囲の目と彼自身のモチベーションが一気にそれまでとは変わりました。彼はその後みるみる成長を続け、数年後には押しも押されもせぬエースになりました。おそらく部長が小さな数字の動きに気付かず、偶然と見過ごしていたら彼は数カ月後に退職していたでしょう。

もちろん、せっかく褒めても、あるいは叱ってもタイミングや状況によって反応が弱いこともあるでしょう。心に響かない時だってあります。しかし、そんなことに一喜一憂しても仕方がありません。上司・管理職の役目として部下の良い点、悪い点をきちんと把握して本人に伝える。この原則に照らして素直に表現するということに徹していれば、褒めることや叱ることも何も特別なことではなく、日常の自然なコミュニケーションの一部になるはずです。

掲載日:2013年4月26日


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