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HOME > 経営をよくする > 人材活用の決め手

人材活用の決め手 中小企業の大きな経営資源である人材について採用から育成までのポイントをわかりやすく紹介します。


人づくり応援 −事業を支える人材育成−

効果の上がる「研修」講座

第1回:中小・ベンチャー企業で効果的な研修は実現可能か?

経営者あるいは人事担当者なら誰しも、一度は「自社の社員にもきちんとした研修制度を用意し、社員を育成・教育したい」と感じることでしょう。しかし、それは現実の中小・ベンチャー企業においてもっとも実現し難いものの1つです。社員教育のための研修体制が整った中小企業にほとんどで出会うことができません。大企業偏重から近年は中小・ベンチャー志向が強まりつつあると言われる学生の新卒就職活動においても、中小企業への就職を不安視する、または躊躇する1つの典型的理由に「研修や教育体制の不十分」が挙がります。実際、大企業組は入社後1カ月ほどマナーや基礎スキルをみっちり研修で学ぶ一方で、中小企業入社組は挨拶もほどほどにいきなり現場に放り込まれるわけですから、就活学生の不安もあながち的外れでもないようです。

社員研修が浸透しない理由

ところで、中小・ベンチャー企業が人材育成・社員教育に「研修」という手段を採ることが本当に有効ではないのでしょうか。決してそうではありません。実に効果的に研修を実施している中小・ベンチャー企業はたくさんあります。その違いはどこにあるのでしょうか?人材育成・教育のための代表的方法である社員研修が中小・ベンチャー企業で浸透しない原因は概ね以下のように整理できます。

1.効果が見込めない
2.外部の研修を活用するためのコスト
3.自社で実施するための経営資源(研修を実施する人材・時間)が不足

なるほど、それぞれ切実なハードルにも思えますが、これらは真実でしょうか。1つひとつ検証してみしょう。

もっとも多く聞かれるのが、1のコストパフォーマンスが見込めないという理由。この声をさらにフォーカスすると、「明確な効果、つまり定量的又は定性的な成果への反映が保証されない」という未来の効果の不確定さと、「過去の研修の成果を(やはり定量的・定性的に)特定できていない」という過去の失敗体験によるものとに分けられるようです。

まず前者の研修に期待する効果が保証されないというハードルについてですが、これは実は、現状の課題認識の不鮮明さが本質的な原因となっています。つまり、どういう問題が存在し、なにが課題だから、この研修をこのタイミングでこの対象者に実施するという、いわば目的と手段が鮮明になっていないケースが実によく見られます。
 例えばこうです。あるITベンチャーA社。「管理職教育を強化せよ」という社長の号令一下、人事担当者がとにかく名の通った研修会社に「マネジメント研修」を委託しようと社長に決裁を求めます。与えられた予算内で実施するよう交渉済みです。ところが、号令元の社長がこれを認めてくれません。社長は人事担当者に問います。「なぜ、この研修を選んだ?」。人事担当者の回答はこうです。「もちろん社長の指示どおり、管理職を教育するためです。有名な研修会社で、予算内に値引きまでしてくれました」。
 社長はこう続けます。「ではこの研修によって誰がどんな成果を出すようになるのだ?」。さあ、人事担当者は困ります。「いや、それは…」。社長が質問を切り替えます。「どんな講師で、どんな内容で、参加者は誰だ?」。人事担当者、「はい。参加者は部長以上、取締役も含みます。内容は『管理職としての基礎知識』。予算を抑えてもらったので講師は選べません。経歴を見ると…えーと、新卒入社2年目の若い講師ですね」。社長は呆れ顔でこう言います。「却下。」

研修の原理原則を見直そう

笑い話のようですが、こういう例は本当によく見受けられます。むしろ無駄遣いをせずに済んで助かったと言えます。このケースで、人事担当者が正しく会社の管理職の課題を捉え、それを解決する手段として的確な研修を選び、適切な目標設定をしていれば話は違ったことでしょう。
 ここで1つの対照的な実例を挙げてみます。ある150名程度の部品メーカーB社。製品ごとに部長がしっかりしており、客観的にみても優秀な方々です。しかし、全社としての利益率は低く、新規製品も数年なく、成長が踊り場にあります。外部から新たに就任した管理本部長はすぐに問題の本質を見抜き、部長だけを対象としたコミュニケーション研修を実施しました。もちろん、若手社会人向けの一般論的研修ではありません。経営数値/指標をベースにお互いの事業部の課題改善を議論し、その議論のプロセスにおいてコミュニケーションスキルや管理者としての視点を学びます。そのうえで全社アクションプランと今後のレビューミーティングを予定に落とし込むという研修ゴールを設定しました。
 この後1年かけて全事業部長が月次ミーティングでアクションプランの進捗を共有しあい、その中で初めてお互いを叱咤激励し、共通の指標をもとに全体最適と相乗効果を意識して事業運営をするようになります。1年後には業績に改善の兆しが見えたことは当然といえるでしょう。

研修を企画する際につきまとう「期待効果が不明確」というハードルは多くの場合、そもそも課題設定と目標設定をしていないことが原因です。研修という人材教育のツールは、明確な課題認識と目的・目標がなによりもその成果を決定するという原理原則をいま一度見直しましょう。

掲載日:2012年10月15日


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