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企業名  株式会社メイク・ア・ボックス 所 在 地  石川県金沢市東力2−79
業 種  製造業 従業員数  23人
資本金  18百万円 売 上 げ  170百万円

 
   当社は、昭和38年に初代社長浅井明夫が金沢市入江二丁目において、トムソン加工業務を主とした「入江トムソン加工」として個人創業した。昭和57年に第二工場増設、段ボール加工をターゲットとして営業開始。このころ創業社長の息子である浅井和明が就業。この後、先細り懸念のトムソン抜加工から業務拡大が期待できる抜型製造へと業務内容を徐々に転換していく。
 平成3年に、株式会社化し抜型製造会社専業として営業開始。平成4年、初代社長死去に伴い、初代社長の妻が社長に就任した。平成7年に息子の浅井和明が社長に就任し、本社工場増築。この際に本社と工場を一拠点にした。この後、順次レーザー抜型機械など、最新設備を導入し業績を拡大していく。
 平成11年に中小企業創造活動促進法の認定を受ける。平成14年に「株式会社メイク・ア・ボックス」と社名変更。その後は営業拠点を拡大し、平成16年には金沢本社、埼玉営業所、静岡営業所の3拠点で営業している。
 
 

 
   企業概要書
 
 
  (1)目的の明確化
 当社の主要なIT導入目的は「全国から新規顧客を獲得すること」である。同時に、顧客へのサービス向上と自社の業務合理化の両立を目指している。
 当社は、特定地域にこだわらず、全国という広範囲から新規顧客を獲得し、固定客化し売上増加につなげていくという成長戦略を描いている。そのための戦略ツールとして、インターネットのホームページを活用することとした。

(2)業界の背景とIT導入の経緯
 当社創業時の「トムソン加工」という業種は、加工サービス業である。よって、印刷関連業の下請け的な業務にならざるをえなかった。技術のよい悪いよりも発注先企業からの無理がきけるかきけないかで、業績の浮沈が左右された。きわめて地域密着性の強い業種であった。
 変革の起点は平成7年、創業社長の息子であり現社長の浅井和明の社長就任である。浅井和明はかねてより単なる下請に終始するトムソン加工業務そのものより、トムソン加工に使う「抜型」の方に魅力を感じていた。抜型であれば、品質や価格などが優れていれば全国展開の可能性があるからだ。この強い思いを具現化したのは、平成11年の中小企業創造活動促進法の認定を受けたことである。
 中小企業創造活動促進法の認定は、CADデータの抜型に高度利用する等の新たなビジネスモデルである。この実現のために、関東への営業拠点進出とホームページ(WEB)で抜型の設計や見積ができる画期的なシステム開発をほぼ同時に始めた。
 
 

 
 
  (1)社内体制
 当時の社内にはITに詳しい人材がいなかった。さらに、受注増加で社内は繁忙な日々を送っていた。よって、重要だが緊急ではないIT開発にかかわる組織を作ることは困難であった。必然的に、社長自身がやるしかない。そう腹を決めた社長は、自分一人で開発を始めた。開発委託先は、当社の設計業務等を深く理解してくれていたN社とした。

(2)ハードとソフトの選定
 目標としたシステムは、データベースを高度に活用する必要がある。しかし、平成11年当時、cgiやaspをフル活用したレンタルサーバの運用が困難であった。そこで、ハードは自社にNTサーバを導入することとした。NTT専用線を確保し、グローバルIPも取得した。データベースソフトはSQLサーバ、開発はC言語とパールで行った。
 
 
 

(1)目標とした開発範囲
 1)WEB上での展開図のサンプルデータ提供
 (設計ですぐに使えるDXF形式のCADデータで)
 2)WEB上でのサンプルデータの寸法変更
 (お客さまが希望する寸法等を自由に入力してもらい設計データを作成する)
 3)作成したデータのダウンロード
 (お客さまがWEB上で作成した設計データをDXF形式でダウンロードできる)
 4)作成したデータで抜型を作成した際の見積
 (お客さまがWEB上で作成した設計データで見積額を提示する) 
 5)お客さまがそのまま発注できる
 (見積がよければそのまま発注できること、つまり当社は受注合理化できる)
 6)社内システムとの連携
 (社内で使用する販売管理や生産管理のシステムとデータを連携させること)

(2)システムの特徴
 特徴は、WEBシステムの活用であり、社内システムとの連携である。そして、特に注目すべき点は、顧客企業との情報共有化のしくみが戦略的なことである。
 具体的な情報共有の内容は設計データである。抜型製造を業務とする当社にとっては、CADで設計するため、設計データは必須である。一方、発注元である顧客企業も本来は、設計データは必須である。顧客企業が製品とするダンボールや印刷物は、箱やパッケージなどにするために製品展開図のカタチを抜型で抜き、その後立体加工する。ということは、顧客企業が必須とする製品展開図データは、当社の必須とする抜型製造データとほとんど一致するはずであるからだ。
 しかし実際には、顧客企業から展開データをCADの設計データで送ってもらうことはほとんどなく、設計図面のFAXでやりとりしていた。理由は発注元の顧客企業にとってメリットがなかったからだ。設計データを企業外に出すことは危険であるし、下請の合理化のためだけにデータをやりとりする手間をあらたに発生させるのは非合理的だからだ。これがこれまでの業界の常識であった。
 では、当社のWEBシステムを使った場合はなぜ情報が共有化できるのか。それは、起点が当社のサンプルデータになっているからである。顧客企業は、WEBのサンプルデータを元にして製品を起案していく。ゼロから発案するのではなく、多種多様なサンプルから選択できるため作成が早い。さらに、抜型のプロが作った実用性の高いサンプルであるため、事前のチェック項目が充実しており設計品質が高いなど、顧客企業にも大きなメリットがある。だから、顧客企業はこのWEBシステムの利用価値が高いと判断し利用する。そしてこの設計データは、当社のデータベースに記録されている。抜型製造の際は、このデータをデータベースから抽出し、その後の微調整を行えばよい。
 つまり、顧客企業が便利になり使えば使うほど、当社は業務が合理化できるという戦略的システムなのである。なお、このしくみはビジネスモデル特許として出願済みである。

 
 

 
   システム構成図
 
 
  (1)従業員への情報リテラシー教育
 前述のように、開発段階は社長が外部のN社と連携して導入に当たった。おかげで、短期間で有効なシステムが完成したといえる。しかし、一方で従業員の情報リテラシー向上には直結しなかった。
 そこで、運用に当たっては従業員の情報リテラシーが向上するような仕掛けを行った。具体的には、日報を手書きからWEB掲示板に変更したこと。業務のローテーションを行い、PCを使わざるをえない設計部門の業務を経験させるようにしたこと。毎月第一土曜日に、自主的な勉強会を開催するようにしたこと。などがある。

(2)ベンダー対応等
 ITベンダーは前述のN社が委託先であった。なお、社内のシステムは当時、一般的な販売管理のパッケージソフトであった。このWEBシステム完成後に、N社の抜型業界向けパッケージソフトに変更した。現在は、各業務をネットワークで結び、データベースによりデータが一元化されている(システム図を参照のこと)。
 
 

 
 
  (1)売上増加と販路拡大
 中小企業創造活動促進法認定を受けた平成11年の売上は約1.3億円。平成15年には約1.7億円と売上は約3割増加している。この売上増加の主要な要因は、県外からの受注増加であった。特に、ホームページからの新規受注がそのまま継続的な固定客になっていった例も多い。
 ホームページ開設前の主要顧客は、地元の石川県内企業であった。当時、隣県の富山県と福井県を含めた北陸3県の顧客企業が当社の全売上に占める割合は約8割、石川県だけでも5割以上あった。しかし、現在は北陸だけでなく、関東や東海にも顧客を増やしており、全売上に占める石川県内企業の売上は約3割程度にまで低下している。当社ではこの比率を注視している。地元の石川県企業の売上比率低下は、2つの意味があるからだ。1つはこの分数の分子の低下であり、もう1つは分母の増加である。
 分子は石川県内企業に対する売上である。県内産業活動の低下により、業界活動も縮小傾向であり、県内既存顧客企業が売上規模を年々縮小しつつある。このように苦しいときだからこそ、既存顧客から長期継続的に受注させていただくことは重要である。よって、ある程度の規模を地元から受注していくということで、この数値には注目している。ただし、それだけではジリ貧傾向は避けられない。
 そこで、もう1つの分母である全体売上の増加である。業界全体が低迷している中、他地域への展開は売上増加にとって大きな意義があった。当社の売上増加は他地域への展開によるところが大きい。つまり、全売上に占める石川県内企業の売上比率の推移は、健全な全国展開への移行を表わす数値であるといえる。今後も注視していきたい。

(2)顧客企業のソリューション
 当社のWEBシステムは、ダンボール製造会社や紙器会社にとっては日々悩んでいる問題を解決する有効な手段となった。CADデータの利用により、設計作業を大幅に合理化できた。そのことによる抜型の短納期化やリピート対応が抜群によくなった。
 さらに、当社の提供する抜型は単に刃型で抜くだけでなく、同時に抜きかすを処理する機能をもっていた。つまり、顧客企業の業務改革というソリューションであった。
 
 
  (1)関係者の評価等
 当社の動きは業界情報誌の記事などで大々的に取り扱われることが多い。業界情報誌に広告掲載することも理由のひとつであるが、それ以上にビジネスモデル特許出願や積極的な取組みが評価されている点が、業界内で認知度も高いようだ。
 
 
  (1)今後の情報化戦略の再構築
 まずセキュリティの強化が課題である。平成12年にホームページでの見積システムが稼動した。順調なスタートであった。しかし、翌平成13年に大規模なウイルス被害にあった。「コード・レッド」というトロイの木馬型の悪質なワームだ。「コード・レッド」はウィンドウズ98などのクライアントPCには感染しないが、NTサーバには感染していまう。この被害で、せっかくのWEBシステムはしばらく閉鎖せざるを得なくなった。
 原因はIT運用管理能力の不足である。社内で自社サーバを運用管理していくにはITに精通した専任者が必要である。当社には社長以外に該当者がいなかった。しかも肝心の社長も客先などへの外出が多く、本社には不在がちであった。
 この教訓をもとに自社運用を断念し、レンタルサーバでの運用に切り替えた。IT環境の変化が早いので、今後もセキュリティ対策には充分に配慮した対応が必要である。さらに今後は、受発注システムの見直しに着手したい。

(2)ITは目的ではなく手段
 このように箱を作るための問題解決をホームページ上で提案することにより、全国で意識の高いダンボール製造会社や紙器会社から、抜型についての技術的な相談や見積依頼が舞い込むようになった。この状況を大きな機会ととらえている。
 当社は関東に営業拠点を進出したが、平成16年には静岡にも拠点を作った。全国に展開するという目的を着々と実行しているといえる。当社にとってのITは、目的ではなく手段である。手段であるから今後もIT化は必要に応じて柔軟に変化していくであろう。
 
  調査担当者:遠田 幹雄
 
 

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