顧客ニーズが生み出した加工するCAD屋 [コダマコーポレーション]

- 顧客の課題を素直に聞き行動に移す実行力
- 課題解決型サービスへのこだわり
- 多くの顧客と複合加工を共同研究
コダマコーポレーションは、CAD/CAMソフトの販売や同ソフトを使用した難素材加工の研究など、CAD/CAMに関する総合的なサービスを提供している。小玉博幸社長はもともと、製図機械の武藤工業で、CADシステムのプロジェクトリーダーを務めていた。次世代ツールとして期待される同社のCAD/CAMの販売は好調だった。だがある時、取引先から「モノづくりは削ってなんぼのもの。よく知らないシステムを無責任に売っている」と指摘を受け、小玉氏は悩んだ。
課題解決型サービスを徹底
さまざまな検証をする中で気が付いたのは、それぞれが独立したシステムだったCADとCAMを連動させる重要性だ。そのニーズは多かった。そして1989年、顧客に密着したソフトを開発しようと独立を決意する。
パソコンの普及も追い風となり、創業当初からコダマコーポレーションの業績は伸びた。「問題があれば、コダマに言ってください」という課題解決型のサービスを提供することで顧客を増やしていった。「名の知れた会社ではないが、『最高のサービスを提供する』というコンセプトで、生き残ってきた」と小玉社長は振り返る。
多くの業界でそれまでの2D(二次元)CADに替わって3D(三次元)CADが普及し始めたころ、「CADとCAMを連動させる」という同社のコンセプトとマッチした企業が現れる。フランスのミスラーソフトウェアだ。96年に代理店提携を結んだ。
モノづくりをする試作部と研究所を設立
01年にはまたも取引先から「CAD/CAMは机上の空論。実際に加工もせず、生産効率の向上などなぜわかるのか」との指摘を受けた。このため量産する前に、製品の品質や加工性を徹底的に調べる試作部を新設した。この取り組みが功を奏し、大手電機メーカーからの受注に結びついた。
09年には、「CAD/CAMは頭脳、工作機械は手足」という新しいコンセプトのモノづくりを確立しようと勝負に出る。1億5000万円を投じた5軸の複合加工を研究する研究所の新設だ。その後、試作部と研究所を統合し、複合加工機は9台に増やした。これらの取り組みが各業界に知られるようになり、今では3DCADによる設計、切削加工のスペシャリストとして、航空宇宙・医療・自動車のエンジンなど、難形状・難加工の共同研究の依頼が続々と舞い込んでいる。
2014年3月期の売上高は20億8700万円。15年3月期は15―25%の増収を見込むなど業績は好調だ。小玉社長は「すべて顧客に教えてもらった。良い顧客が付いている」というとおり、顧客企業は4000社を超えた。高付加価値モノづくりの共同研究に余念がない。

シミュレーターを使い工作機械の動きをパソコンで再現する

加工するCAD屋
机上の空論では終わらせないために約1億5000万円をかけ研究所を設立した。その後も投資を続け総額は5億円にのぼる。社員が全ての機器が動かせるように社内試験も実施する徹底ぶりだ。「加工するCAD屋」というスタイルが同社の勢いの裏付けだ。
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掲載日:2015年2月26日
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