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元気印中小企業


CFRPで軽量の治具を開発 [丸隆工業]

元気のひみつ
  • CFRP製の旋盤用治具の製作など新技術に挑戦
  • 高付加価値の仕事を生み出し海外との差別化を図る
  • 新技術開発など社員のチャレンジを後押し

 丸隆工業は金属加工などに使う治具の設計・製造を手がけ、約80年の歴史を誇る。また自社で作った治具を利用し多品種少量の品物の金属加工なども行う。2009年から炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を使った部材の開発に乗り出した。高付加価値の仕事を生み出し生き残りを図る。

生産現場の負担を軽減

 「今までにない付加価値の高い仕事を生み出さなければならない」と宮田智弘取締役は力を込める。同社は治具の設計・製造を手がけている。治具の軽量化と社内でのCFRP部材の成形方法を確立するため、CFRPで治具を作った。CFRPに着目したのは材料強度と振動減衰性にある。この治具は旋盤の加工対象物(ワーク)を固定するためのもの。旋盤の治具の場合、材料特性として振動を抑えられるので遠心力によるブレがなくなる。そのため高速回転による微細な切削加工が可能になる。
 2010年に経済産業省東北経済産業局の「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律に基づく特定研究開発等計画」の認定を受け開発に着手。芝浦工業大学の相澤龍彦教授の助言を受け、炭素材料を型に入れ専用の窯で焼き社内で成形した。
 今回は直径250ミリメートル、肉厚35ミリメートルの治具を作製した。CFRPを採用することで、従来の合金を使った治具の4分の1の重量の4・8キログラムに軽量化。ぶれにくくなったため、旋盤の回転数を従来の毎分550回転から850回転に上げられた。回転数を上げることで加工時間の短縮につながる。すでに直径600ミリメートル、肉厚35ミリメートルの治具用ベースプレートを作製しており、次の治具の開発に取り組んでいる。
 治具の軽量化は製造現場の負担を減らす効果も大きい。ワークの大型化に伴い、それを固定する治具も大型化し、作業者への負担が大きかった。宮田取締役は「当社は多品種少量生産のため、段取りをいかに早くするかが大切。新しい治具を使うことで、今まで約30分かかっていた段取り時間を5分程度に減らせる」と強調。加工や段取りにかかる一連の作業時間を従来の半分程度に縮められると見ている。またさびや腐食を起こさずメンテナンスフリーであることも大きな特徴だ。

アジア勢の追い上げに技術で対抗

 CFRPは重量が鉄に比べ4分の1で、同じ重量あたりの強度は鉄の4倍。同社ではCFRP部材を使い、さまざまな用途展開を考えている。その一つが工場で使うロボットへの利用だ。軽量で高強度という性質を生かし、軽量化による高速化と重量物を運ぶ際の安全性を両立できる。すでに工場に導入するロボットへCFRP部材を利用することを大手メーカーと話し合っている。さらに医療機器に使う一部品としてCFRP部材の利用を医療関連業者と検討している。
 こうした取り組みを進める背景には新興国の台頭が大きい。宮田取締役は海外の視察を通して「インドネシアやタイなどの技術力は高い。今までと同じことをやっていてはいずれ抜かれてしまう。全く異なる方向に進むか、高度な切削技術でコストカットするかしかない」と強調する。
 このように海外の動向をにらみ、「海外への進出にも着目しているが、まだまだ国内でやれることはある」(宮田取締役)と言い切る。「欧米で進んでいる航空機産業のように新興国が追いつけないような高付加価値の仕事をやる。この際には大田区同士といったつながりも大切」(同)と語る。実際にCFRP製の旋盤用治具を作るための窯は大田区の日本ヒーターに依頼し製造した。
 こうした高付加価値の仕事を作り出すためには社員一人ひとりの意識改革も必要だ。宮田取締役は「自分で考え行動できる人間を育てる」と目標を掲げる。最終的には顧客に最適な提案ができる社員を育てたいという思いがある。例えば国内の顧客の工場へ現場の責任者を行かせるなど直接現場に行き、顧客との信頼を築くことを第一に考え場数を踏ませている。また毎年海外の展示会に工場の責任者を派遣するなど社員の視野を広げる取り組みを行っている。宮田取締役は「最近では自分で考え行動する社員が出始めた。若い人を世界で勝負できる人間に育てる」と目を輝かせる。

CFRP製の旋盤用治具

CFRP製の旋盤用治具


Onepoint

社員が自分で考え行動

 航空機材料に採用されているCFRP材料を治具に使う事例は珍しい。開発の発端は工作機械を扱う作業者の負担を軽くすること。この治具は社員が自主的に作ったもので、宮田取締役は「社員が自分で考え行動した良い事例だ」と評価する。自主的に動ける人材が育ち、付加価値の高い仕事に取り組んでいるためか、08年のリーマン・ショックの時期を除きここ10年間は安定した経営状態が続いている。「企業を支えるのは人。社員の給料が倍増できるよう取り組んでいきたい」(同)と社員のモチベーションを上げながら新しい事業に挑戦していく。

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企業データ

宮田佳則社長

宮田佳則社長

会社名 丸隆工業(株)
代表者 宮田佳則社長
業種 工作機械の治具の設計・製作、治具を利用した切削加工など
所在地 東京都大田区下丸子3の24の16
電話 03-3750-4321

掲載日:2014年3月27日

東京都

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