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元気印中小企業


「やさしさをカタチに」変えるモノづくり [徳器技研工業]

元気のひみつ
  • 電子系の技術を生かした医療・福祉介護機器開発
  • 患者、医療関係者からの強い信頼関係
  • 東九州メディカルバレー構想の後押し

 徳器技研工業は医療・福祉介護機器のメーカー。徳永修一社長は「医療健康に技術で貢献する会社を目指す」と訴える。同社は、自動でたん吸引できる気管内たん吸引器を開発した。難病者の身体的負担を和らげ、家族にかかる介護の負担を軽くする。この吸引器は今、全国から注目されている。そこには「やさしさをカタチに」という、徳永社長のモノづくりの心が注がれている。

12年越しの思い

 同社が創業したのは1997年。徳永社長47歳の時だ。以前は日立製作所で電子系の技術者として腕を振るっていた。しかし、生涯現役でやれる仕事がしたいとの思いから35歳で退職を決断。故郷の大分県に戻った。
 事業化を考えたのは福祉機器の開発。だが当時の福祉分野は業況が厳しく起業を断念。電子機器を技術管理する企業に再就職した。それから会社を興すまで12年間を要したが、思いは失っていなかった。
 そして、医療福祉現場との出会いが訪れた。友人の兄が筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症。友人から「大分県で日本ALS協会大分支部(大分市)を設立するから入会してほしい」と頼まれた。仕事の傍ら休日は同協会大分支部の活動に参加。患者や家族に寄り添うたびに「自分の技術を医療福祉現場に役立てたい」(徳永社長)と起業を決意した。
 起業をして徳永社長は、ALS患者向けにコミュニケーション機器や認知症患者の徘徊(はいかい)を察知する「離床センサー」などを開発した。医療福祉の現場に関係者以外が立ち入ることは難しい。そのため現場の細かなニーズを把握するのも容易ではない。それを乗り越えて機器の開発に結びつけることができたのは、医療関係者から認められたから。この患者や医療関係者との信頼関係こそが、開発を後押しする最大の強みとなった。

気管内たん吸引器開発

 こうした中、ALS患者の在宅医療で訪問診療を行う医師から、こんな話を聞いた。「人工呼吸器をつけた患者と介護する家族が患者のたん吸引作業で苦しんでいる」。「患者と介護負担を軽減するのに自動化できる同吸引器はできないか」。徳永社長は00年、開発に着手した。
 ALSは体を動かす神経系(運動ニューロン)が変化する病気。進行するに従い運動障害や呼吸障害などが生じ、人工呼吸器を必要とする。1―2時間おきに気道にたまるたんを吸引しなければ、窒息の危険がある。患者を介護する家族は夜も眠れない。
 厚生労働省も在宅医療における難病者の吸引作業を、どうしたら軽減できるか悩んでいた。吸引作業は手作業で行われる。吸引ポンプに接続したチューブを気管切開した際に空気を通すパイプ状の気管カニューレに挿入後、患者の気管内にあるたんを大流量で吸引する。
 吸引は患者にとって苦痛であり、チューブが気管壁を損傷する恐れもある。在宅医療では医師の指導の下で家族や介護ヘルパーなどが作業せざるを得ない。患者にとっても家族にとっても切実な問題だった。
 この問題を解決するために開発したのが、気管内たん吸引器。4連に組んだシリンジポンプをモーターで動かすことで、小流量、連続吸引ができる仕組み。最大吸引圧力は80キロパスカル、1分当たりの最大吸引流量は16リットルとした。
 市販の吸引器が1分当たり20リットルで吸引するのに対して、患者の呼吸に影響しない同1―2リットルの小流量で吸引できる。吸引チューブの吸引孔をカニューレの内側に一体化させたことで、患者の気管粘膜に吸着しない安全性も確保した。08年に薬事承認を受け、11年に発売した。開発から12年目のことだ。

医療関係者との信頼関係構築

 現在、全国の病院などで販売する同社の吸引器の累計販売台数は500台を超えた。1日の吸引回数を平均17.5回から2.9回まで減らすことができ、利用者からは「患者がぐっすり眠れる」「介護の負担が軽くなった」との声が寄せられている。
 全国にはALS患者が約5000人。たん吸引を必要とする高齢者や障害者を含めると、吸引器の対象となるのは5万人にもなるという。高齢化が進むにつれて、その市場規模は今後ますます大きくなる。徳永社長は「さらに営業力を強化しブランド力を高めたい」(同)と先を見据える。
 13年6月期売上高は1億7200万円。売り上げの半分を介護福祉機器の販売、レンタルが占め、吸引器を柱とするオリジナルの医療健康機器は2割程度。ただ大分、宮崎両県が策定した「東九州メディカルバレー構想」により、地域で医療機器産業を産学官で後押しする体制もできた。この追い風を受けて医療健康機器の売り上げを約4割に引き上げ「5年後は売上高5億円を目指したい」(同)と意気込む。

自動でたん吸引する気管内たん吸引器

自動でたん吸引する気管内たん吸引器


Onepoint

ブランド確立を目指す

 徳器技研工業は2014年1月1日に「徳永装器研究所」から社名を変更した。その背景には研究所のイメージを払拭(ふっしょく)し、医療・福祉介護機器メーカーとして「気管内たん吸引器なら当社と、顧客から指名されるブランド力を持った企業に成長したい」という徳永社長の熱い思いがある。吸引器開発では電源がいらない足踏み式吸引器を13年に発売したほか、大分大学医学部とも開発を進めている。現在、徳永社長は63歳。今後も利用者の喜ぶ笑顔を創る機器開発に期待したい。

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企業データ

徳永修一社長

徳永修一社長

会社名 徳器技研工業(株)
代表者 徳永修一社長
業種 医療・福祉介護機器の製造販売
所在地 大分県宇佐市大根川318
電話 0978-33-5595

掲載日:2014年3月14日

大分県

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