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元気印中小企業


“海なし県”からトラフグを出荷 [夢創造]

元気のひみつ
  • 地域資源の特性に着目し、地域ブランド創出に成功
  • 過疎化が進む町で、若年層の雇用にも貢献
  • 培ったノウハウを外販し、事業を拡大

 “海なし県”である栃木県の里山から出荷している魚が注目されている。栃木県那珂川町の夢創造が養殖している「温泉トラフグ」だ。うまみの高い状態で出荷できるノウハウを生かし、近隣の宿泊施設や料理店に販売している。
 那珂川町にある馬頭温泉はナトリウム塩化物の濃度が1.2%だ。これは海水の3分の1であり、生理食塩水の0.9%に近い。このため海中で養殖する場合と比べてトラフグが体液の浸透圧を調節するエネルギーが少なくてすむ。また温泉の廃熱を利用できるため冬期もトラフグの活性が低くならず、体重を増加させ続けることが可能だ。海中での養殖の場合は出荷サイズに育つのに1年半かかるが、温泉水での養殖の場合は1年で育つため、採算性が高い。

過疎化の救世主なるか

 野口勝明社長は1984年に27歳で出身地の那珂川町で環境計量証明事業所(現環境生物化学研究所)を起業。環境分析を手がけている。那珂川町の人口は1万8446人(2010年)で年々減少傾向にある。就職先に乏しいため若い人材の流出が進み、少子高齢化も進んでいる。
 野口社長はこの状況を身近で感じ、危機感を覚えていた。ただ定住人口を維持、増加するのは容易ではなく時間が掛かる。観光客を呼べるような、他地域と差別化できるビジネスとはなにか-。
 そこで、目を付けたのが地域資源である温泉だった。那珂川町では塩化物泉である馬頭温泉がある。この温泉水を用いて、名物となる海水魚を育てることを思いついた。
 ヒラメを試験的に飼育してみたが、夏場に弱く出荷までに2年掛かるデメリットがあった。トラフグに決めたのは、単価が高いためビジネスにしやすく、比較的丈夫で養殖がしやすい魚だと判断したからだ。稚魚100匹を独立行政法人水産総合研究センターから譲り受け、08年に試験飼育をスタート。養殖を手がける企業として夢創造を設立した。

プラント販売でノウハウを全国に

 廃校となった小学校やスイミングスクールの跡地をプラント養殖施設として活用し、現在は月500キログラムを出荷している。閉鎖した空間で養殖するため、病気などのリスクが抑えられるメリットがある。地元の企業と連携し、ひれ酒など、他の地域資源と組み合わせた商品を考案するなど、新しい切り口で販路開拓に取り組んでいる。
 地元の異業種で「温泉トラフグ研究会」を組織。温泉トラフグの開発や、温泉トラフグを生かした町おこしについて知恵を絞っているほか、那珂川町は小学校の敷地や補助金の提供をしており、「オール那珂川で支援してもらっている」と野口社長は感謝する。
 2013年5月には自ら観光客らを集めるため、那珂川町内に温泉トラフグのアンテナショップ「扇の館」を開店。温泉トラフグの料理やグッズ、地元の特産品の販売に乗り出した。夢創造は那珂川町にある栃木県立馬頭高校水産科の卒業生を社員に採用するなど、雇用創出にも寄与している。14年春には「温泉サクラマス」も出荷する予定だ。野口社長の「クエやハタといった高級魚も育ててみたい」と構想は広がる。

産学連携にも積極的

 培ったノウハウを生かすべく、トラフグの飼育プラントの外販にも積極的だ。現在は10カ所で稼働している。野口社長はコンサルタントとして事業領域を広げている。「那珂川町のように過疎で悩んでいる温泉地や、遊休農地の問題を抱えている地域に技術やプラントを提供し、町おこしや企業の事業拡大に寄与したい」と意気込む。
 産学連携にも積極的だ。東京大学とは、夢創造の設立時から甘さなどうまみに寄与するアミノ酸の量を調べている。現在、東大、福井県立大学と性染色体を調べることでオス、メスを判別する技術について考察中だ。オスは白子を持っているためメスよりも1000円程度高く取引されるが、トラフグの場合は見ただけではオス、メスの判断がつかないためだ。宇都宮大学とは育てやすい性格の遺伝子を持つトラフグを育てる研究が進行中だ。培った技術を広げるとともに、次のビジネスチャンスをつかむため、果敢に挑戦を続けている。

廃業したスイミングプールの跡地などを活用し、温泉水でトラフグを育てている

廃業したスイミングプールの跡地などを活用し、
温泉水でトラフグを育てている


Onepoint

柔軟な発想で地域ブランド化に成功

 差別化に悩んでいた地域が、一人のアイデアマンの出現で「温泉トラフグの町」としてブランド化や集客に成功した。野口社長は地元の過疎化を憂い、定住人口を増やす前にまず「那珂川町に関心を抱いてもらうには」「那珂川町に来てもらうには」を考えて異業種への参入に踏み切った。現在は温泉トラフグを県内の飲食店や旅館など100店舗以上に出荷し、地元の名産品の一つとなっている。地域資源である「温泉」と、海水魚である「トラフグ」を結びつけるという柔軟な発想が、成功に結びついた要因といえそうだ。

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企業データ

野口勝明社長

野口勝明社長

会社名 (株)夢創造
代表者 野口勝明社長
業種 水産養殖
所在地 栃木県那須郡那珂川町北向田231の2
電話 0287-92-5723

掲載日:2014年2月20日

栃木県

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