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元気印中小企業


国民の安全守るコンクリートブロックに新風送る [エスビック]

元気のひみつ
  • 国内シェア20%でナンバーワン
  • 利益率5%で安定
  • 本業周りで次々と新製品開発

 群馬県はコンクリートブロックの生産量で日本一だ。原料となる軽石が豊富に採れることで多くのメーカーが誕生。なかでもエスビック(群馬県高崎市)は国内で2割のシェアを握る最大手だ。防犯やプライバシーを守るブロック塀など日本の住宅事情に応じた商品開発を重ねた。ブロックは重くて安い。それでも市場の先頭を走り続けるのは、新商品を世に送り出す発想力にある。
 2012年に創業60周年を迎えたエスビック。柳沢佳雄社長は「人の価値観が変わるのでビジネスモデルはせいぜい30年。企業自ら変わることでここまできた」と強調する。年商は100億円を超え、経常利益率は5%と安定した利益を稼ぐ。親交のある前橋工科大学(前橋市)地域連携推進センターの下田祐紀夫特任教授は、「重くて安い製品で、どうして右肩上がりの成長を続けられるのか」と驚く。柳沢社長は「ブロックにちょっとした概念を加えるだけ」とさらりと答える。

木目、大理石を再現

 ブロックの主な材料は水とセメント、骨材などだ。他社と差別化するポイントは何か。柳沢社長は「隣の芝生は青く見えるけど、あくまで本業の周辺領域での新用途にこだわった」と明かす。例えば柳沢社長が企画課長時代に開発したのは表面に切削加工を施した商品。壁面や塀などエクステリア分野に販路を広げた。このほか、高級石材の新大谷を再現したブロック塀や歩道の舗装用に用いる「インターロッキングブロック」は「積む」から「敷く」へ概念を変えた。近年はセーレンの技術「ビスコテックスプリント」を活用して平らな表面に多様な材質を表現した「ビザート」を商品化。木目や塗り壁、大理石など本物と見間違える出来栄えが特徴だ。垂直施工が可能な土留め用の「RECOMシステム」は、国土交通省の認定を取得。通常は勾配をつけて施工するが、RECOMは土地を無駄なく活用できるため売れ筋商品に躍り出た。「価格競争に巻き込まれない、絶え間ない開発が大切だ」と柳沢社長は変化を重んじる。

不燃建築を普及したい

 創業したのは1952年。岳父の柳沢本次会長が建築資材として解禁されたコンクリートブロックに注目し、前身となる「新日本ブロック研究所」を設立した。関東大震災や戦中を経て「ブロック製造を通じて日本中に不燃建築を普及させたい」(柳沢会長)思いだった。50年代半ばから、ビルの建設ラッシュに沸く首都圏に向けて生産が拡大した。銀座周辺の百貨店や新宿の京王プラザホテルなど大型受注が舞い込んだ。群馬は日本列島のほぼ真ん中に位置し、東京からは100キロメートル圏内。一大消費地への地の利も味方につけてプライスリーダーへ成長を遂げた。
 さらに、新築物件では見かけにくくなったコンクリートブロックの建造物が見直されている。東日本大震災で沿岸部を襲った大津波に耐えた建築物が岩手県大船渡市にある。60年のチリ地震の津波を経験した地元大工が木造強度を上回る建物を目指し、ブロックを鉄筋補強する工法で建てた。周辺では7月に記念碑が完成した。ブロック建造は耐久性や耐火性に優れ、断熱効果や防音の効果も高いという。柳沢社長はブロックを使って、環境に優しい省エネ住宅の事業化も視野に入れている。柳沢社長は業界団体の全国建築コンクリートブロック工業会の会長も務める。業界をあげてブロック建築物の普及に本腰を入れている。
 そこで欠かせないのが業界を担う次世代の育成だ。エスビックは96年から高崎産業技術専門校(群馬県高崎市)などと協力し、全国の施工者を招いた講習会を開いている。これまで600人が卒業、技能検定を受検する登竜門として人気がある。「良い仕事をすれば大きな災害にもびくともしない」と話す柳沢社長。だからこそ、メーカーとして良品を世に送り出す使命と合わせて「施工者の育成が必要なのだ」と決意をにじませる。

 自社に目を向ければ、次の100周年を目指して2人の息子が生産技術と物流部門で手腕を磨く。業界はいち早く再編が進み、ピーク時に3500社ほどあった企業が現在は180社にまで減少。それでも柳沢社長に悲観はない。東日本大震災の発生後、復旧資材として経済産業省からの増産要請を受けてフル生産。「ブロックは派手じゃないが、国民生活を守る縁の下の力持ちだ」(柳沢社長)。「残った会社はどれも強者。技能、文化を語り継いでいきたい」と会社と業界の未来に思いを巡らせる。

木目やレンガ、大理石など異なる材質を2次元で表現した「ビザート」

木目やレンガ、大理石など異なる材質を2次元で表現した「ビザート」


Onepoint

次の課題は海外展開

 コンクリートブロックは建築物に用途拡大が期待されている。群馬県高崎市で建築事務所を運営する一級建築士の日比野英俊氏は「材料が安価で耐震性や耐火性に優れている」と話す。業界団体は、初心者や中級技能者向けに参考図書を発刊するなど、技術を次世代につなぐ活動に熱心だ。
 日本では企業の淘汰(とうた)が進む業界だが、海外にも市場は広がる。エスビックにも海外企業から技術供与を求める声が相次ぐ。ただ、柳沢社長は「現地生産が基本路線。海外展開は次の世代の課題であり、勉強を続けたい」と技術流出に注意を払いつつ、将来の海外進出を探る。

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企業データ

柳沢佳雄社長

柳沢佳雄社長

会社名 エスビック(株)
代表者 柳沢佳雄社長
業種 コンクリートブロック製造
所在地 群馬県高崎市箕郷町上芝105
電話 027-371-2321

掲載日:2013年12月 2日

群馬県

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