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元気印中小企業


菓子職人とともに歩むオーブンメーカー[七洋製作所]

元気のひみつ
  • あくまで製品の質にこだわるモノづくり
  • 顧客を伸ばし、自社も伸びるという経営思想
  • 生地の供給やコンサルティングで菓子店経営をサポート

 菓子屋としてのモノづくり-。七洋製作所は製菓店向けの業務用オーブンメーカーだ。菓子店では「オーブンは生涯で1台」と言われる市場にあって、2台目、3台目と導入する顧客は少なくない。その背景にはデザイン性や生産性に志向を広げながらも、菓子職人だった創業者がこだわった品質と、顧客とともに歩む一貫した姿勢に理由がある。

職人魂がこもった設計思想

 七洋製作所は福岡市近郊の本社工場から、全国の菓子職人に向けてオーブンを供給している。その中でも「一流職人に愛用者が多い」と、内山素行社長は胸を張る。愛される理由は何よりも、創業以来こだわってきた製品の品質にある。カステラ用「南蛮窯」や洋菓子用「バッケン」をはじめ、同社オーブンを使った菓子の焼き上がりは「追いかけるようだ」と表現される。密閉性と蓄熱性が高く、一度加熱すれば焼き上がりの良さが増すためだ。
 密閉性を体現するのが開閉に力を要する重い扉。その重さにファンがいるほど。武骨とも言える設計は創業者の故・内山善次氏による。内山社長の実父にあたり、もとはせんべいを焼く職人だった。品質を第一に置く菓子職人の気持ちをオーブンに込めた。その魂が設計思想とともに受け継がれている。
 一方で近年は、デザイン性を意識した特徴的な製品を開発。背面がガラス張りで内部が見える「スルーオーブン」だ。奇をてらったようにも見えるが、オーブンの概念を変えた製品といえる。それは厨房の奥にひっそりと置かれる「ダーティーな存在」(内山社長)から、華やかな店舗の中心で客の目を引きつける、集客装置に転換したためだ。

厨房の奥から店の中心へ

 スルーオーブンは扉側を厨房に、ガラス張りの側を店舗に向けて置く。それにより店舗内には香ばしい香りが漂い、中をのぞけば生地が焼けているのが見える。食欲を誘い、購買につなげる仕掛けだ。製品のデザイン性に加えて、店舗と客とのコミュニケーションもデザインしたといえる。
 これは内山社長がフランスのマルシェ(市場)で鳥を焼きさばく光景をヒントに「五感で売る」(内山社長)ことをコンセプトにした。ただオーブンとしての品質には妥協しなかった。背面がガラスになれば蓄熱性は低下する。しかし研究を重ねて、品質は決して落とさなかった。
 スルーオーブン開発の背景をのぞけば、オーブン市場特有の課題が見える。それはオーブンの耐用性にある。オーブンは頑丈で50年間以上使われる例もある。職人にとっては「一生に1台」も珍しくなく、菓子店の新規開店だけを待っているだけではメーカーとして成立しない。そのため2台目、3台目という買い増し需要に狙いを定めた。しかも、菓子店の成長を助けることで需要をつくるのだ。
 例えばスルーオーブンを導入して、店頭でシュークリームを焼けば売り上げアップにつながる。そしてオーブン増設や2号店開設となれば、七洋製作所の出番となる。生地をつくる人手がなければ、同社が製造する冷凍生地を供給。店舗運営に困れば、コンサルティングを行う。

200種類のレシピ

 この戦略は設立当初から徐々に築かれた。当時はオーブンの品質にこだわるあまり製造コストも価格も高く、販売が振るわなかった。だがオーブンで焼けるカステラの製法を、サービスとして付加することで顧客数拡大に成功。品質面だけでなく、販売面でも菓子店の側に立つことで信頼を得た。このスタイルは形を変えて現在も受け継がれる。同社が保有するレシピは200種類。内山社長は全国各地の菓子店を回った経験を生かして経営塾の講壇に上がる。
 また現在、2011年に発売したトンネル型のライン式オーブン「リムジン」の拡販に取り組んでいる。加えて、生地の投入や加工といった前後工程の機器製造にも参入した。生産性向上により、顧客を支援する狙いだ。「昔に比べて見習い職人は減った。質を落とさずに専門店でも安定的に生産を確保するため」(内山社長)の答えだ。
 七洋製作所が貫く経営スタイルは、顧客との「ウィン-ウィン」の関係と言うより、顧客とともに歩むという表現が近い。互いの信頼関係が築かれなければ成立しない。それは創業者の理念を受け継いだ菓子店の視点と、菓子店を客観的にみる視点を持ち合わせて初めて可能になる。そしてその両視点を持ち続けていることが強さの理由だ。

蓄熱性と生産性を両立したトンネルオーブン「リムジン」

蓄熱性と生産性を両立したトンネルオーブン
「リムジン」


Onepoint

メーカーとしてのビジネスモデル

 冷凍生地の販売やコンサルは顧客専用のサービス。その点でアフターサービスで利ざやを稼ぐビジネスモデルとは異なる。あくまでオーブンを売ることで事業が成り立っている。同社の場合は菓子店向けという特殊な市場だが、他の業種においても高価格・高品質の製品を拡販するヒントになるかもしれない。一方で品質には厳しい目が注がれ、当然ながら品質の維持・向上には手が抜けない。業容拡大に向けては、その品質を失わずに安定して拡販できる生産体制確保も求められる。

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企業データ

内山素行社長

内山素行社長

会社名 (株)七洋製作所
代表者 内山素行社長
業種 業務用オーブン製造
所在地 福岡県糟屋郡宇美町若草2の13の5
電話 092-957-0325

掲載日:2013年10月 8日

福岡県

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