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元気印中小企業


墨滴、筆ペンで書道界に新風吹き込む[呉竹]

元気のひみつ
  • 書道液で国内トップシェア、工業分野の製品も拡大
  • 100年前の新参者としての危機感が開発の原動力
  • 女性が安心して働ける社内託児所

 呉竹は1902年に「くれ竹製墨」として書道用の墨の製造を始めた。その後、58年に書道液「墨滴」、73年に「くれ竹筆ぺん」を開発して書道業界に新風を吹き込んだ。2013年5月期の売上高は約50億円。書道液は国内トップのシェアを持ち、墨、画材、筆などと合わせた書道関連用品は現在も同社売上高の約4割を占める。パソコンの普及や少子化が進む国内市場の動向をみて、97年からは自社の事業領域を「アート&クラフト」と再定義し、手書きや手作りの良さを掘り起こす取り組みを始めた。

コピーできるモノはやらない

 呉竹が目指すのは「もらってありがたい、保管したくなるモノ」をつくる企業だ。デジタル化が進む世間の流れとは正反対の方向に思えるが、綿谷昌訓社長は「アウトプットはアナログというのが呉竹らしい。コピーして再生産できるモノはやらない」と言い切る。主力の書道用具は児童向けの学校教材として根強い需要がある。「本物に触れる瞬間が、子どもの感性を磨き、豊かにできるのではないか」と考えている。
 書道用品と同じく売上高の約4割を占めるのは同社が開発した筆ペンに代表されるペン関連用品。筆ペンと並ぶ代表的商品はマーキングペン「ZIG」だ。ペン類の売り上げのおよそ半分を稼ぎ出す「ZIG」は繊細な書き味、ペン先のバリエーション、インキの種類などにこだわった商品だ。西洋の書道ともいわれるカリグラフィー用やスクラップブック用などとして画材やクラフト用品を扱う専門店に並ぶことが多い。ZIGブランドはグリーティングカードを贈る習慣がある欧米市場で浸透しており、国内よりも海外での知名度の方が高いという。呉竹の売上高の約2割はZIGなど海外向け製品によるものだ。

産業用カーボン製品

 「アート&クラフト」の事業領域に収まりきらない産業用の製品もある。その代表的なモノはカーボン応用製品。カーボン(炭素)は墨のほかにもさまざまな分野で使用される有機材料だ。光を吸収して熱に変換するカーボンの性質を生かしたゴルフ場向けの液体融雪剤は20年以上前から商品化している。今後は農業分野での成長が期待される。
 カーボンの電気を通す性質を生かした製品では導電性インクがある。コンデンサー用材料として電子部品メーカーの要望に応じて何通りものレシピがあるといい、こちらは10年以上前から供給している。化粧品分野ではアイライナー用のペン先と容器のOEM製造も6年ほど前から手がけている。同社の筆ペンの絶妙な書き味が女性の美しさの演出にも一役買っている。
 これらの産業用の製品に共通するのはどれも既存技術を水平展開した製品ということだ。カーボン微粒子を沈殿させず、年単位の長時間にわたって液中で安定して分散させる技術はまさに、書道液や筆ペンで培ったものだ。全社の売上高の2割に満たない産業用製品だが、毎年着実に売り上げが増えているという。

新参者の危機感

 こうした新しい製品開発を重ねながら110年以上にわたって経営を続けてきた呉竹。綿谷社長はその原動力について「呉竹が書道業界の新参者だったから」と説明する。製墨業は300年以上続く老舗企業が存在する伝統ある業界だ。呉竹が発売した書道液は墨を擦る作業を省ける画期的な商品だったが、書道の伝統を乱す存在として"お叱り"を受けたこともあったという。しかし、製墨業として後発だった呉竹は創業当初、下請けとして厳しい経営環境を経験しており、「常に新しいことをやらないといけない」という危機感を持っていた。危機感はやがて呉竹の社風となり、書道液や筆ペンといった画期的な商品を生み出す基礎となったのだ。

本社に託児所を開設

 呉竹は商品開発以外でも新しいことに取り組んでいる。08年3月に本社敷地内につくった託児所「たけのこ園」はその一例だ。育児休暇を取った従業員がいち早く仕事に復帰してもらえるようにと設けた託児所で、「たけのこ」には「呉竹のこども」という意味を持たせている。
 運営は専門業者に委託し、従業員は保育料、給食費、教材費など月平均2万5000円程度の負担で0歳3カ月から児童を預けられる。本社敷地内にあるため、送り迎えの便利さはこれ以上ない。11年には近郊の幼稚園と提携して3歳以上の児童は託児所から幼稚園に通えるようになった。たけのこ園は現在、9人の児童を預かっており、今後も人数は増える見通しだ。
 綿谷社長は「託児所を始めて本当に良かった。女性の仕事に対する姿勢が変わり、非常に積極的に取り組んでくれる」と手応えを感じている。

呉竹の代表的な製品(上段左から墨滴、スクラップブック、下段左から書道用具、筆ペン、マーキングペン「ZIG」)

呉竹の代表的な製品
(上段左から墨滴、スクラップブック、下段左から書道用具、筆ペン、マーキングペン「ZIG」)


Onepoint

真のライバルはスポーツ?

 呉竹は手書きや手作りの良さを感じられる「アート&クラフト」の商品に力を入れている。デジタル化という世間の流れと真っ向からぶつかるように見えるが、真の競争相手はパソコンや電子メールではないらしい。綿谷社長は「面倒くさいことはやってみると面白い。問題は消費者に余暇をどう使ってもらうかだ。ライバルはアウトドア活動やスポーツかもしれない」と話す。呉竹が作っているのはただの文具ではなく、人の感性、思い、記憶に触れる"瞬間"ということかもしれない。

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企業データ

綿谷昌訓社長

綿谷昌訓社長

会社名 (株)呉竹
代表者 綿谷昌訓社長
業種 墨、書道用具、マーキングペン、カーボン応用製品
所在地 奈良県奈良市南京終町7の576
電話 0742-50-2050

掲載日:2013年9月24日

奈良県

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