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元気印中小企業


M&A繰り返し開発からの一貫体制を確立 [ニットー]

元気のひみつ
  • 困難を乗り越えてM&Aに挑戦
  • 企業理念を通じて社員のまとまりを生む
  • フェイスブックも活用、自社製品を開発

 ニットーは1967年(昭42)、自動車や電機向けの金型製造を主業務としてスタートを切り、2012年で創業45年を迎えた。歴史的円高や長引く景気低迷の中、得意の金型製造に加えて板金加工や機械加工、治工具の設計、製作までを幅広く手がけるようになった。社員数も10年前の18人から36人に倍増した。藤沢秀行社長は6年前に就任した2代目社長だ。藤沢社長は「企業として生き残るため、設計から製造、検査、品質管理までを一貫して対応できる体制を整備してきた」と話す。

未経験のM&A、1億円の負債に苦しむ

 厳しい経済環境の下でどのように業務を拡大してきたのか-。その答えは04年以降、業種の異なる地元企業3社をM&A(合併・買収)したことにある。
 最初のM&A相手は、プレス加工や溶接を手がけていて、ニットーとも10年来の付き合いがあった。しかし、高齢の社長が倒れてしまったことから仕事が回らなくなり業務を停止した。当時、藤沢社長は専務だったが「自分はM&Aに反対だった」という。なぜなら、その会社が業務を停止した時点で約1億円の負債があったのだ。藤沢親子の話し合いは2カ月近くに及んだが、最終的に「仲間を見捨てるわけにはいかない」との判断で、会社を1円で取得するに至った。
 中小企業が突然1億円の借金を背負うことになり、藤沢社長は「最初は途方に暮れた」と明かす。しかし、すぐに取得して正解だったと思う場面に遭遇する。熟練工たちの仕事ぶりを垣間見たからだ。「お金に換えられない技術、ノウハウ、取引先を短期間で得られたことは本当に大きかった」と振り返る。

徹底した議論でプロパー社員の不満解消

 2005年にアルミニウムの板金加工や溶接を手がける近隣の会社を買収。2008年には自動車部品搬送用パレットの製作を手がける会社をグループ会社とした。最初の1億円の負債も2年で完済。M&Aのノウハウも分かってきて、あとは結果を出すだけという状態の中で、リーマン・ショックが起こった。
 右肩上がりの仕事は減少の一途をたどり、同業他社とは仕事の安売り合戦。単価は下がっても仕事量は変わらないため、社員の士気も低下した。加えて、各工場がM&A前の社風のままで仕事をしていたので、社員同士がバラバラになっていた。そこで2010年に本社工場の近くに新本社工場を新設。土地購入と建物の建設に3億5000万円を投じ、別々だった拠点を集約した。
 とはいえ、製造現場を集約したところで社員の融合はすんなりとはいかなかった。度重なるM&Aを、プロパー社員の一部は快く思っていなかった。解決策として、藤沢社長は企業理念の改定を思いついた。『会社は何のためにあるのか』『自分は何のために働いているのか』などを3カ月にわたり徹底的に議論することで、「社員にまとまりが出てきた」(藤沢社長)という。
 また2012年4月からは、休日や稼働していない時間の工場を社員に開放している。一人ひとりの興味で好きな製品を作ることができる。モノづくりの醍醐味(だいごみ)を味わってもらうと同時に、技術力の向上も狙っている。社員にも好評だという。

アイフォーン向け自社製品に活路

 3社のM&Aで、設計から品質管理までを一貫して担うことができる体制を整備したニットー。この利点を生かすために、2012年から新たに自社製品開発に取り組むことにした。
 開発にあたっては「時流に乗ることが重要」(同)と、情報通信との融合をテーマに掲げた。第1弾は米アップルのスマートフォン(多機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」のカメラを用い、装置が回転することで360度撮影できる「パノラマスキャナー」。藤沢社長は「大手企業が決して作らない製品を作ることがカギ」と話す。第2弾製品の「アイフォーン トリックカバー」も発売。本体を保護するアルミ製のカバーがまるでヌンチャクのように動いて、遊び心をくすぐる一品だ。
 トリックカバーの開発には、参加交流型サイト「フェイスブック」を活用した。展示会で知り合った人と意見交換をする中で製品開発を打ち明けると、「こんな動き方をすると良い」「動画で試作品をみせてほしい」などのやりとりが生まれた。藤沢社長は「以前は同業者との交流が主だったが、フェイスブックでモノづくりに関心のある学生やデザイナーからも斬新な意見を聞くことができ、早期の製品化につながった」と意義を強調する。アイフォーン5向けのトリックカバーの発売も、最終調整の段階だ。


360度撮影できる「パノラマスキャナー」

360度撮影できる「パノラマスキャナー」


Onepoint

技術やノウハウ、廃業で失うのは惜しい

 「M&Aをしていなければ、今ごろどうなっていたか分からない」(藤沢社長)。高度経済成長下、若くして起業した社長たちの世代交代が進む中小製造業にあって、ニットーはリスクを承知で、また知識や経験を全く持たずにM&Aに果敢に挑戦した。結果、得られたメリットは計り知れない。
 企業が何十年と培ってきた技術やノウハウを廃業という形で無くしてしまうのは実に惜しい。国力の低下にもつながる話でもある。今後、日本各地で中小企業のM&Aが盛んに行われる土壌ができれば、日本のモノづくりはさらなる進化を遂げるはずだ。

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企業データ

藤沢秀行社長

藤沢秀行社長

会社名 (株)ニットー
代表者 藤沢秀行社長
業種 プレス金型製作、板金加工、治工具設計製作業
所在地 神奈川県横浜市金沢区鳥浜町14-16
電話 045-772-1371

掲載日:2013年3月28日

神奈川県製造業

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