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元気印中小企業


スカイツリー支えるオンリーワン技術 [ハードロック工業]

元気のひみつ
  • 常識を覆したゆるまないネジの技術
  • 航空機業界にも準備万端
  • ナットの次はボルト、市場を大きく拡大へ

 モノづくりの街・大阪府東大阪市にあるハードロック工業はゆるみ止めナットのトップメーカーだ。ハードロック工業の2012年6月期の売上高は約12億5千万円。13年同期は12%増の約14億円を見込む。製造業の海外移転が進むなか、国内でモノづくりを続けながら着実に売り上げを伸ばしている。
 「ハードロックナット」は「構造上、必ずゆるむ」とされていたネジの常識を覆した革新的製品で、振動の多い過酷な条件下でも高い締結力を保つ。鉄道、橋梁、機械、建設、船舶、プラントなど安全性を重視する分野で多数採用されており、最近では東京スカイツリー内に約40万個が使用された。

鳥居の楔から思いつく

 ハードロックナットは若林克彦社長が「たまたまお参りに行った神社の鳥居に打ち込まれた楔(くさび)を見て思いついた」という、上下に分かれたダブルナットだ。上下のナットは凹型と凸型で、凹凸がかみ合う部分は斜めに傾斜しており、凸型ナットだけは穴の中心をずらして偏心しているのがポイントだ。
 ボルトに凸型ナットを通した後、凹型ナットを締める。穴の中心がずれているため、凹凸部がかみ合い始めるとお互いをボルト軸に押しつけ合うかたちになる。結果、二つのナットはボルト軸に対して直角方向に力を与え合い、強い締結力が生まれる。偏心した凸型ナットが“楔”の役割を果たす仕組みだ。
 若林社長は10歳のときに回転式の種まき機をつくるなど、子どもの頃からアイデアを絞ってモノをつくるのが好きだった。大学を卒業後、バルブメーカーで設計の仕事に携わっていたときに、ゆるみ止めナットのアイデアを思き、起業した。当時のゆるみ止めナットは内側に板バネを組み込んだ「Uナット」と呼ばれるものだ。ただ、Uナットは激しい振動に耐えられないことがあったため、品質改善に悩んだ若林社長が発明したのが現在のハードロックナットだ。

鉄道、住宅に採用、航空機も準備万端

 ハードロックナットは米国の航空規格NAS3350・3354に基づく振動試験をクリアし、その締結力を実証している。ゆるまないネジは保守や点検の作業を効率化できるメリットもある。鉄道車両や線路に使用されたことでブランドと信頼性を高め、鉄塔、橋梁、高層ビルなどに使われて毎年売り上げを増やすベストセラー商品となった。
 最近では12年4月に初めて住宅業界に採用された。鉄骨の締結用に一戸あたり1300本を使用するが7万円ほどしか費用が増えない。そのため、住宅メーカーが耐震対策として提案すると、ほとんどのオーナーが使用を希望するという。昨年だけですでに約100万本を販売済みで、今後も販売が増える見通しだ。
 そのほか新規分野では、航空機業界への参入についても着々と準備を重ねている。若林社長は10年に近畿経済産業局と米・ボーイングを訪問して、重量を従来の5分の1に抑えた特殊ナットを提案。11年には航空機部品の品質マネジメント認証規格である「JISQ9100」を取得した。
 工場内にはチタン製ナットの加工設備や三次元測定機なども導入して航空機部品専用の生産スペースを確保しており、現在はボーイングの認定工場となるための準備中だ。並行して、国内の航空機部品メーカーにも製品提案を行っており、採用の実績が待たれるところだ。

次は「ゆるまないボルト」

 ハードロックナットに次ぐ新製品「ゆるまないボルト」の開発も進んでいる。その一つが義歯をあごの骨に固定する歯科インプラント用のボルトだ。歯科インプラントはネジがゆるんで隙間にばい菌が入り込むことが課題となっている。すでにハードロック工業ではインプラント用のゆるまないボルトの設計開発を終えており、現在は試作に取り組んでいる。
 ゆるまないボルトは眼鏡のレンズを保持するフレームと耳にかけるテンプルと呼ばれる部品を繋ぐ蝶番用も開発中で、こちらも既に設計を終えた。二つのゆるまないボルトは13年夏ごろをめどに試作品を完成させる計画だ。
 ゆるまないボルトは、ほかにも精密機械や建設用などさまざまなニーズがある。近いうちに、若林社長の開発者魂がもう一度日本のネジ業界に革新を起こすかもしれない。


ハードロックナットは安全性を重視する分野で多数採用されている

ハードロックナットは安全性を重視する分野で
多数採用されている


Onepoint

思いついたらすぐ図面に

 若林社長は最初のゆるみ止めナット「Uナット」を開発して起業するが、規格外の製品だったこともあり、最初はなかなか売り上げにつながらなかったという。そんなときに経営を支えたのも若林社長のアイデアだった。
 若林社長は卵焼きを簡単にひっくり返せるフライパンやトイレットペーパー用のホルダーなど、ネジとは関係のない製品を開発しては、会社の危機を救ってきた。現在も社長室の入り口近くに製図板を置き、思いついたアイデアを図面に起こしているそうだ。

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企業データ

若林克彦社長

若林克彦社長

会社名 ハードロック工業(株)
代表者 若林克彦社長
業種 ゆるみ止めナット製造業
所在地 大阪府東大阪市川俣1-6-24
電話 06-6784-1131

掲載日:2013年3月19日

大阪府製造業

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