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元気印中小企業


漁業用の樹脂製ネットを陸上にも展開 [粕谷製網]

元気のひみつ
  • 自社開発した樹脂製ネットの製品力
  • コンサルティング型の営業スタイル
  • 販売代理店と共同で新工法を開発

 粕谷製網は樹脂製のオリジナル漁業用網「KIKKONET(キッコーネット)」を製造販売している。海での使用だけでなく、陸上用途が増加しており、海外の建築資材メーカーに技術を供与している。また高い技術力に加えて、コンサルティングを前提とした営業提案を核に売り上げを拡大。粕谷正昭社長は「顧客満足を掲げた当社の理念を体現したものだ」と胸を張る。

強くて軽くて柔軟な素材

 粕谷製網は干拓事業で知られる長崎県諫早市にある。1946年(昭和21年)にロープ製造で創業。その後、ノリ養殖用の網メーカーとなり、定置網漁向けなど漁網のラインアップを広げてきた。そのなかで同社を代表する製品がKIKKONET。3代目社長で現会長の粕谷勝氏が72年に海上養殖用の網として開発した。
 日本語で表記すると「亀甲網」。カメの甲羅のような6角形をした独特の網目を持つ。また素材も大きな特徴で、東レ製のポリエステルモノフィラメント樹脂を使用し、強度と柔軟性を併せ持つ。引っ張り強度は金網に匹敵する。同時に腐食せず耐候性に優れ、表面のめっき処理も不要。重さは金網の約6分の1と軽く、人の手で簡単に持ち運べる点もメリットだ。
 柔軟なため養殖魚がぶつかっても傷つきにくく、商品価値が下がらない。また6角形の網目は網を折り曲げやすく、さまざまな形に対応できる。編むには専用の機械が必要で、さらに気温など環境ごとに微調整する職人技が欠かせないなど、他社にはまねできない製品だ。本社併設の工場で生産し、各地に出荷。2011年にイタリアの大手建設資材メーカーのマカフェリと連携。機材と技術を供与し、海外でライセンス生産している。
 KIKKONETの用途は水陸を問わず広がっており、現在、同製品関連が同社の売上高に占める割合は約3割。単一製品としての比率が大きいことは事業リスクの面もあるが、同社の強みは、これが製品力に限らない点にある。

漁師の知恵で営業テコ入れ

 粕谷製網は網を売るだけではなく、コンサルティング型の営業を展開している。かつて漁網の売れ行きが滞った時に漁師を雇用して企画力を獲得し、業績のテコ入れに成功した。その手法を深化し、現在のビジネスモデルができあがった。
 同社は漁業者に製品を販売する際、海底や潮流など綿密な漁場調査を含めて提案する。新たな漁場や漁法に変えることで漁業者の利益につなげる狙いだ。導入にあたっては自治体の補助制度を紹介するなど、一貫して漁業者側に立つ。その背景には「顧客満足、顧客の笑顔」を1番目に掲げた経営理念の存在がある。「漁業者の身になって考えて、モノをつくることが前提だ」と粕谷社長は力を込める。同時に培ってきたノウハウと企画力、魚に関する知識など人材の力も重要だ。

陸でも工法やニーズを研究開発

 顧客に対する姿勢は陸上部門でも変わらない。約10年前に土木資材としてKIKKONETの供給を始めた。現在は公共工事向け用途が多くを占める。しかし粕谷製網は土木技術のノウハウは持ち合わせていない。そのかわりに、外部の販売代理店がその役割を果たしてきた。
 粕谷製網が会長となって設立した「STKネット工法研究会」では、代理店各社が工法やニーズを研究開発している。KIKKONETを使った工法を共有するとともに、新工法は開発した代理店が優先的に販売できるという販路開拓のインセンティブとする仕組みだ。
 近年、特に需要が増加しているのは護岸工事の基礎を固定する用途。一般的にコンクリートブロックの下は「ぐり石」という直径20センチメートル程度の石を集めて、網で固定している。だが金網は水による腐食で破れて、基礎が崩れてしまう場合がある。その点で金網と同等の強度を持ち、腐食しないKIKKONETに、代替として注目が集まっているという。
 また高速道路脇に設置する野生動物の侵入防止ネット用途も需要が増えている。これも代理店が開発したもので、海上部門の顧客が少ない東日本から広がってきた。こうした営業スタイルについて「社内か社外かの違いはあっても、顧客のためを考える仕組みは同じ」と粕谷社長は笑う。
 拡販策が奏功し、同社の売上高は2013年9月期には20億円を超える見込み。今後も顧客の課題に対して企画力と製品力で応えることにより、需要を「網ですくっていく」(粕谷社長)計画だ。


KIKKONETを使った養殖網

KIKKONETを使った養殖網


Onepoint

漁業者とウィン‐ウィンで成長

 粕谷製網のKIKKONETの売上高は2013年に陸上向けが海上向けを上回る見込み。販売代理店が開拓してきたニーズが実を結んだためだ。自社でカバーできない分野を外部に任せながらも、ウィン-ウィンの関係で着実に伸ばしている。中小企業が販路開拓する好例の一つだ。
 一方で全社売上高のメーンである漁業用も伸びている。漁業は自然相手の不安定な側面を持つ。だが漁業者とともに歩む姿勢を守り、ここでもウィン-ウィンの関係を続ける限り同社の土台は安定し続けるはずだ。

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企業データ

粕谷正昭社長

粕谷正昭社長

会社名 粕谷製網(株)
代表者 粕谷正昭社長
業種 漁業・土木用資材製造販売業
所在地 長崎県諫早市川内町485
電話 0957-22-0373

掲載日:2013年3月14日

製造業長崎県

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