本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 経営をよくする > 元気印中小企業

元気印中小企業


「求められて」売る独自アイデアのポンプ [伏虎金属工業]

元気のひみつ
  • 独自構造の製品で顧客の信頼を得る
  • 徹底したプル型営業
  • 常に新たな目標、海外も視野

 伏虎金属工業は1962年(昭和37年)に前田寛二社長が実父の家業の中に設けた「機工部」が発祥だ。家業はモノづくりとは縁がなかったが、前田社長は新分野を起こそうと考えた。当時、仕事で出入りしていたのが鋳物工場。この工場は時代の要請にこたえ、鋳造だけでなく後工程の機械加工をまで受注することで売り上げを伸ばそうとしていた。この時の受託加工が機工部の最初の仕事になった。1964年には機工部を有限会社の伏虎金属工業として法人化。73年に株式会社化し、現在は自社開発のポンプ製品を主力に事業を展開している。

受託加工で技術力を獲得

 「仕事はいくらでもあった」(前田社長)。伏虎金属工業の黎明(れいめい)期は日本の高度経済成長期だ。大手電機メーカーからも仕事が来た。70年代はこの大手メーカーから技術指導と教育を受け、社内の技術力が飛躍的に向上した。社員も10人に増えた。「機械加工屋としてのレベルが上がり始めた」と前田社長は振り返る。この時期、同社は真空ポンプの受託製造にも乗り出した。
 現在の同社の主力製品はベーン(羽根)ポンプとスクリューポンプ。真空ポンプの受託製造は、こうした自社製品を生み出す礎になった。「会社の核になる自社製品を持ちたい」。前田社長は真空ポンプを手がけながら「水を送るポンプに仕組みを応用できないか」と思案した。ポンプ市場への参入は後発だ。他社との差別化を念頭に製品づくりを始めた。
 当時は食品分野にベーンポンプが普及し始めていた。しかし異物の混入を嫌う厳しい生産環境下では、本体との接触によるベーンの摩耗が課題とされていた。そこで「摩耗しない非接触の製品開発に目を向けた」(同)。
 80年に独自構造で摩耗を解消したラジアルベーンポンプを市場投入。メーカーとしては無名だったが、この製品で顧客を徐々に増やした。90年には開発に3年を費やした2軸スクリューポンプを発売した。「他社と同じ製品では広がらない。全く異なる製品が必要だった」(同)。
 ポンプで送る際、機構によって液体に脈動や撹拌(かくはん)や剪断(せんだん)が起こると性質に変化が生じる。同社の独自構造のスクリューポンプはこうした影響を与えない点が評価を受け、食品、化学の大手メーカーから引き合いが相次いだ。バブル期に事業は急拡大し、社員は今より多い40人ほどに増えていた。

価格競争を避けて“求められて”売る戦略

 「ポンプは成熟産業」と前田社長は言い切る。しかし競合メーカーが売り上げを減らす中で、同社は成長を続けてきた。2012年度は近年では特に伸び率が大きく、前年度比30%増を見込んでいる。「顧客が挙げる問題点を受け止め、真剣に開発に取り組んでいるのが受注増の理由」(同)。展示会には常に新製品を出し、ユーザーの注目を集めている。技術の豊富さは同業者にも驚きを持って見られているという。
 一方、販売戦略も徹底している。営業は「プル型」。売り込んで回るのではなく、引き合いに応じて営業部隊が動き、技術で差をつけた製品を"求められて"売る。価格競争に陥らないために貫いているスタイルだ。ブランド力向上のためにマーケティングを重視し、この分野に3000万円以上を投じた。
 ユーザーニーズから新製品を生み出す同社の製品開発は、前田社長が一人で担っている。機構を考え、最終設計を外注に出す流れだ。「自分の考えが形になり、利益につながるのが何とも言えない」と前田社長は笑う。
 しかし課題もある。「製品開発をどのように引き継ぐか」と前田社長は頭を悩ませている。現在の従業員は30人。機械加工と営業、事務に大別される。それぞれの部門では人材育成が進んでいるが、開発だけは不十分。そこで営業担当者に、毎週開く会議で顧客の要望を必ず1件報告するよう義務づけた。ニーズの吸い上げが第一義だが、この“開発の素”から新製品を考える習慣を全員に身につけさせようという考えだ。
 70歳を迎えた前田社長は「命ある限り情熱を燃やして取り組む。あと10年で会社を盤石にし、次世代に引き継ぎたい」とまだまだ意欲的だ。今の受注環境から、今後は企業としての余裕も出てくると確信する。まだ手が足りていないが、市場が縮小する国内にとどまることなく米国など海外市場を開拓する考えもある。国内の展示会に来る外国人向けに英語のパンフレットも作製した。「余裕が出てくれば新市場に挑みたい」と目標を掲げる。


独自の2軸スクリューポンプ

独自の2軸スクリューポンプ


Onepoint

他社にない製品を生む発想力

 国内のポンプ市場は飽和状態にあるという。しかし伏虎金属工業の業績は右肩上がりだ。担う前田社長はもともと技術屋ではなかったが、「こんな製品ならすばらしい」と思う考えを一つずつ形にしてきた。この結果、他社にない製品が生まれ、ユーザーの評価も得た。
 「課題は脳裏に焼き付き、散歩中も食事中も浮かんでくる」と前田社長は笑う。事業拡大を引っ張ってきた社長の発想力。将来に向け、引き継ぐ人材をどう育てるかが注目される。

関連リンク
  • 支援情報ヘッドライン
    ビジネスに役立つ無料セミナーなど公的機関による支援施策情報が毎日更新されます。
  • ビジネスQ&A
    経営者からのよくある質問に専門家が回答した事例集。

企業データ

前田寛二社長

前田寛二社長

会社名 伏虎金属工業(株)
代表者 前田寛二社長
業種 ポンプなどの機器・部品の製造販売業
所在地 和歌山県和歌山市吹屋町2-33
電話 0073-424-8155

掲載日:2013年3月14日

和歌山県製造業

最近の記事


このページの先頭へ