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元気印中小企業


コンクリート用混和材の普及を狙う [ゼロテクノ]

元気のひみつ
  • 産業廃棄物の石炭灰をコンクリート用混和材に再利用
  • 大分大学と共同で混和材の量産技術確立
  • 全国で普及促進の戦略を描く

 老朽化したトンネルなどのコンクリート構造物に対する耐久性や安全性が指摘される昨今。長寿命で高耐久性の次世代コンクリートへの期待が高まっている。大分大学発ベンチャーのゼロテクノ(大分市)は石炭火力発電施設などから産業廃棄物として出る石炭灰を再資源化し、コンクリートのひび割れを防いで寿命を伸ばす混和材「CfFA」を開発。事業化した。岡田秀敏社長は「CfFAの普及に向けて大分発の技術を国内へ、そして世界に向けて発信したい」と訴えている。

混和材の量産技術確立

 ゼロテクノが創業したのは2001年。佐藤嘉昭大分大工学部教授らがコンクリート工場から出る産業廃棄物のスラッジを有効利用する目的で設立した。一方、岡田社長がゼロテクノ社長に就任したのは06年。佐藤教授が行う石炭灰の利用研究に刺激を受け、56歳で大分大大学院工学研究科に社会人入学。入学後、研究と社長業を任せられた多忙な日々が始まった。
 岡田社長は前職でコンクリートの品質管理に長く携わってきた。粘土代替物としてセメント原料に利用される以外は廃棄物処理される石炭灰が長寿命、高耐久性の混和材になることは以前から知っていた。また灰中の不完全燃焼成分である未燃カーボンがコンクリートの品質を不安定にさせ、そのままでは利用できないことも理解していた。
 だが、佐藤教授の下で、その課題の多い石炭灰をあくまで研究室レベルではあるものの、全量を原料に変える技術が確立したと聞き、岡田社長は「全身が振るえるほどの感動を覚えた」と振り返る。
 そこで「なんとしても自分の力で実用化したい。コンクリートの劣化問題を解決したい」(同)との熱い思いが湧き上がり前職を辞職。退路を断ってCfFAの事業化に没頭したという。
 持ち前のバイタリティーを発揮し、研究を進めながらのベンチャー経営を苦ともせず、06年からCfFAの量産技術確立に向けて大型実用機開発に着手。約8000万円を投じて約2000トンの生産能力を持つ大型試験機を製作した。
 07年は新日本製鉄大分製鉄所(大分市、現新日鉄住金大分製鉄所)内に試作機を設置。新日鉄大分製鉄所などと実証試験を行った。試行錯誤を繰り返し、装置を改良。
 10年に約3億8000万円を投じてゼロテクノ関連会社のゼロテクノジャパン大分事業所(大分県豊後大野市)を建設した。装置の年産能力は5000トン。石炭灰を800-1000度Cで加熱改質処理し、灰中の未燃カーボン量を強熱減量換算で1%以下に抑える技術を大分大工学部コンクリート工学研究室と共同で確立した。

普及の正念場

 現在石炭灰は新日鉄住金大分製鉄所内の火力発電所から調達。CfFAは九州の砂防ダムや東九州自動車道建設工事で採用が進んでいる。こうした状況が全国の建設業者や産業廃棄物処理に悩む電力会社からの注目を集め、着実にCfFAの認知度も高まっている。
 今後CfFA普及を一段と加速させるため年4月をめどに、発足が遅れていた普及組織「コンクリート構造物耐久性向上促進協議会」を正式に発足。建設業者などを対象に製品の認知度を高め、施工法を全国に普及させる狙いだ。
 さらに全国の優良事象者とビジネスパートナーを組み、共同出資会社を設立。共同事業で普及促進を狙う戦略も描く。12年は住友共同電力(愛媛県新居浜市)、住共クリーンセンター(同)と共同で「ゼロテクノ四国」を設立した。
 ゼロテクノ四国(同)は13年8月の操業を目指すほか、14年度までに沖縄、東北、九州で同様の会社設立を目指す計画で「各地で出る石炭灰を地産地消で再資源化したい」(同)と意気込む。
 将来はゼロテクノが研究開発を行い、全国にある関連会社の技術支援はモデル工場と位置づけるゼロテクノジャパン大分事業所が担う体制を構築する考えだ。
 まさに「今がCfFA普及の正念場」。岡田社長はそう語気を強める。原子力発電所の再稼働が遅れ、国内の電力不足が問題となる中、火力発電所はフル稼働状態。国内で石炭火力発電施設から出る石炭灰は増える一方で「この再利用にCfFAが役立つことを証明したい」(同)と誓う。
 被災地復興に向け「福島第一原発事故で放出された放射性物質の汚染土回収施設建設にも貢献できれば、大学の知財を社会還元できる」という岡田社長の情熱はコンクリートのように硬く、ぶれない。


ゼロテクノジャパン大分事業所(大分県豊後大野市)にあるCfFA生産装置

ゼロテクノジャパン大分事業所
(大分県豊後大野市)にあるCfFA生産装置


Onepoint

長寿命、高耐久性に期待

 トンネルや橋などのコンクリート構造物の寿命は40年ほどといわれる。現在の既存構造物の多くは老朽化し、防災面からも耐震性が指摘される。佐藤教授によれば「CfFAを使った構造物は、その特殊な化学反応によりコンクリート組織を緻密化、外からの劣化因子の浸入を防いで100年以上の長寿命、高耐久性が期待できる」という。またCfFAは産業廃棄物の石炭灰を再利用することで環境負荷低減にもつながる。それだけに普及を目指して全国を飛び回る岡田社長に今後も注目していきたい。

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企業データ

岡田秀敏社長

岡田秀敏社長

会社名 (株)ゼロテクノ
代表者 岡田秀敏社長
業種 コンクリート用混和材の研究開発業
所在地 大分県大分市末広町1-5-16
電話 097-538-6609

掲載日:2013年2月 8日

ベンチャー大分県製造業

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