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元気印中小企業


世界最小の手術針で海外市場に挑む [河野製作所]

元気のひみつ
  • 治具・工具づくりからはじめた世界最小の手術針
  • 医師の細かいニーズをつかみ、ニッチ市場を制する
  • 海外展開は現地の人材を活用

 河野製作所は、血管縫合など顕微鏡を用いる微細外科手術(マイクロサージャリー)用縫合針のトップメーカー。国内シェアは約60%で、とくに直径70マイクロメートル(マイクロは100万分の1)以下の超微細針のほぼ全量を供給する。直径30マイクロメートル、全長0.8ミリメートルの世界最小の医療用縫合針を開発するなど高い技術力で従来不可能だった手術を実現し、医療の進化に貢献してきた。2012年からは中国に進出し活躍の場を世界に広げている。

世界最小、直径30マイクロメートルの手術針

 肉眼ではなく、顕微鏡をのぞきながら実施する微細外科手術。指先切断時の血管縫合など、整形外科や心臓血管外科、脳外科、再生医療などさまざまな分野で実例がある。高齢化が進み、医療費削減が国家的な課題になる中で、患者への負荷が少なく術後回復が早い微細外科手術の需要は拡大に向かうと言われる。
 1949年に創業した河野製作所は、もともと時計針などの微細加工部品メーカーだった。技術を生かして64年に医療機器製造に進出。0.2ミリメートルの縫合針からスタートし、製造する針の微細化を進めつつ医師のニーズに合わせて関連商品を開発。現在では微細手術用針・糸のほか縫合糸、持針器など「クラウンジュン」ブランドで販売する商品は約1万点にのぼる。
 世界最小の30マイクロメートルの縫合針を開発するきっかけは、「500マイクロメートル以下の組織や血管に対応できる外科手術用針糸を作れないか」という帝京大学医学部の黒島永嗣教授からの相談だった。それまで製造していた針糸とは比較できないほど小さい針の開発のために、専用の治具や工具などの設備づくりからスタートした。試行錯誤を続け、3年かけて完成にこぎつけた。現在、国内で70マイクロメートル以下の縫合針を製造できるのは同社だけだ。
 河野淳一社長は自社を「技術開発型ベンチャー」と表現する。大企業が手がけるような大量生産品の医療針には参入せず、医師の細かいニーズをつかんでニッチ市場向けの多品種少量型製品を開発する。マーケットは小さいため大手は参入できず、低価格競争に巻き込まれる恐れも少ない。
 医師がどんな手術をしたいのか、どんな使い勝手や品質の製品を求めるのか―。常にアンテナを張り巡らし、10-20年先を見据えた新商品を開発していく。「大企業が参入しない市場の穴はそこかしこにある」と河野社長。同社では発売10年以内の製品が売上高の50%を占める。
 品質と製品の安全性を守るために、金属加工から仕上げ、検査、梱包といった工程すべてを社内で実施する。微細針の製造は自動化している工程も多いが、重要な工程は人手に頼っているのが実情。針に糸をつける工程では、V字型に広げておいた針の頭に顕微鏡をのぞき込みながら1本ずつ手作業で糸を置き、包み込んで密着させる。社員の技能向上に努めるとともに、匠の技の装置化にも取り組んでいる。

中国に進出、大卒中国人を積極採用

 同社が現在、力を入れているのが海外展開だ。先進国はもちろん、アジアの新興国でも医療の高度化とマイクロサージャリー市場の拡大が進んでいる。
 進出の第一歩として、まず2011年に中国で縫合針などの製品について医療機器の承認を取得。上海の現地法人を拠点に営業活動を始め、心臓外科や整形外科から順調に引き合いが来ている。現地病院からも開発のシーズをつかみ、将来的には中国での新製品開発を行うつもりだ。
 中国事業の要となるのは人材だ。「現地の大学や医者に食い込むのは日本人では難しい。中国のマーケティングは中国人にしかできない」(河野社長)と考え、留学生や、日本国籍を取得した中国人を過去数年かけて採用してきた。さらに11年と12年に5人の中国の有名大卒者を新卒で採用。日本でセールスエンジニアとして育成後、現地に送り込む予定だ。
 『中国人採用は難しい、採用してもすぐ退社してしまう』というのが日本企業の常識と言われるが、河野社長はこれを一蹴する。「中国人学生は非常にハングリーで、技術系でも経営者を目指している。チャンスと裁量の大きな仕事を与え、幹部候補として本気で育成すれば会社にしっかり定着する」。
 同社はこのほか、東南アジアとヨーロッパでも医療機器の認可を申請中。「中国市場で進出モデルを確立し、3年後をめどにシンガポールかマレーシアに拠点を開設したい」と河野社長は次の目標を掲げる。


現在、国内で70マイクロメートル以下の縫合針を製造できるのは河野製作所だけ<

現在、国内で70マイクロメートル以下の縫合針を
製造できるのは河野製作所だけ


Onepoint

「社員全員が起業家」が夢

 河野社長は「会社の目的は売り上げ拡大ではなく、顧客の満足する製品を開発することだ。利益は結果にすぎない」と言い切る。社員全員に研究開発者としての意識を持たせるために、新たに柔軟な人事制度を導入した。
 例えば文系出身の営業社員でも、興味や営業先でつかんだニーズがあれば自由に研究開発が行えるようにした。幅広い分野の経験を積めば、経営者としての視点も身につく。「社員全員が起業家になり、社内カンパニーのような体制にできれば・・・」という河野社長の夢が実現すれば、さらに同社の成長が期待できそうだ。

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企業データ

河野淳一社長

河野淳一社長

会社名 (株)河野製作所
代表者 河野淳一社長
業種 医療機器製造業
所在地 千葉県市川市曽谷2-11-10
電話 047-372-3281

掲載日:2013年1月15日

医療・バイオ千葉県製造業

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