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元気印中小企業


繊維産業の微細孔ノズルを、あらゆる産業領域に広げる [化繊ノズル製作所]

元気のひみつ
  • 工具まで自社開発、絶えず技術革新
  • 技術を応用できる分野の開拓に積極的
  • 計画的な技能伝承

 化学繊維を製造する時に使う紡糸ノズル。紡糸とは繊維原料を小さな孔(あな)の開いたノズルから押し出し繊維状にすることで、そのための紡糸ノズルは繊維産業に不可欠な部品だ。化繊ノズル製作所は国内の大手合繊メーカーだけでなく、中国や台湾など世界の150社超にノズルを供給している。
 同社は1948年(昭和23年)の創業以来、紡糸ノズルを製造している。同社が生まれる前は、化繊メーカーはドイツ製のノズルを買うしかない状況だったという。国産化により調達が容易になったことは、日本メーカーにとって大きなメリットだった。
 日本の経済成長に伴い繊維の要件も変化。繊維業界では超精密で高度なノズルが求められ始めた。直径100マイクロメートル(0.1ミリメートル)の孔加工が難しいとされていた当時、その要求に応えるための技術開発を決断。ところが、それだけの微細な孔を開けるための工具が市販されていない。そこで工具の自社開発も進めた。

3マイクロメートルの孔あけも

 試行錯誤を繰り返した結果、現在は孔の直径が3マイクロメートルのノズルを製造できるようになった。孔の形状は微細な丸形のほか「+」や「W」、「*」とさまざまで、孔を開けるための超精密な工具は今も自社で製造する。孔開けと同時に、孔を評価する計測技術も蓄積してきた。内田路和生産技術課課長は「これら一連の微細孔加工技術こそ、技術革新を続けてきた賜物(たまもの)だ」と胸を張る。
 工具はベテラン技能者らがナノメートル(100万分の1ミリメートル)単位の精度で作り出す。技術開発企業を掲げるだけあり、作ってきた工具の種類は数千種類にも及び、社内には150台ものマシニングセンターが稼働している。
 日常生活でよく見る不織布はおしぼり、紙おむつ、ナプキンなどに使われる。この不織布を製造するための孔加工と押し出し成型用ダイ(金型)を合わせた製造技術も自社開発だ。不織布の用途拡大にひと役買っている。
 近年は多機能な繊維の需要が高まっており、同社へ寄せられる期待はさらに膨らんでいる。2種類以上の繊維材料を合わせる複合紡糸用ノズルは、高機能繊維やマイクロファイバーの製造に欠かせない。この分野で化繊ノズル製作所は世界トップにある。

繊維に留まらず、利用領域は多様化

 こうした同社の技術は繊維にとどまらず、航空宇宙や医療機器、半導体、液晶、食品と利用される領域が多様化している。
 カーボン繊維やアラミド繊維などのスーパー繊維は航空機の構造材料として利用されるようになった。同社も航空宇宙産業の発展をにらみ、2012年4月には航空宇宙産業における品質マネジメントシステムであるJISQ9100の認証を取得。従来、数は少ないものの航空宇宙関連部品を製造してきた実績もあり、自社技術を応用できる分野との位置づけだ。
 また人工透析や水処理に利用される中空繊維には、中空紡糸用ノズルが必要になる。特に中空膜は膜圧の均一性や膜の直径、内径が難しいため、ノズルにも高い精度が求められる。孔径の公差はプラスマイナス2マイクロメートルだが、孔径のバラつきがないよう品質管理を徹底している。1辺が1ミリメートル以下の空間で化学反応を行う装置「マイクロリアクター」でも同社の技術が生かされている。
 さらに同社の超微細孔加工技術は電子顕微鏡のほか、集束イオンビーム装置(FIB)用の穴の開いた板(アパーチャプレート)の加工にも活用されている。電子顕微鏡の電子を絞るためのノズルは、大手電機メーカーへ納入している。
 世界で認められ、同社も自負する技術は、熟練の職人によって培われてきた。その技術や技能を伝承するため、2007年にあるプロジェクトを始動した。社内にどのような技術があり、その技術を持つ人材がどの程度いるのかを調査する「技術の棚卸し」を実施。技術を伝承していくために何をすべきか、詳細に洗い出した。誰のどの技術を、誰にいつまでにどのような方法で伝えていくのかを明確にし、計画を立てた。工場内にも技術に関する資料を掲示して見える化した。
 新設した人材育成室が中心となって技術や知見の伝承に取り組んだことで、「20代、30代の若手に、3マイクロメートルの孔加工ができる技術を引き継いでいっている」(内田課長)という。さらに「職人の手による加工を最大限利用して、更なる精密加工にチャレンジしたい」(同)との考えだ。


加工工具で3マイクロメートルの孔を開ける

電子顕微鏡や半導体検査装置の重要部品となるアパーチャプレートを製作する際は
加工工具で3マイクロメートルの孔を開ける


Onepoint

次はどんな分野に切り込むか

 消費者が紡糸ノズルを見る機会はほとんどない。しかし、街で見かけるおしゃれな衣類、その衣類に使われる複雑な形状の繊維は、ノズルによって紡いで出来たものが大半で、ファッションを支える技術だと言っても過言ではない。また医療など繊維以外の分野でも利用されており、「ノズルは縁の下の力持ち」と言えるだろう。同社は更に精密な加工に挑戦する考えを示しており、どのような分野に切り込んでいくのか楽しみだ。

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企業データ

戸川和也社長

戸川和也社長

会社名 (株)化繊ノズル製作所
代表者 戸川和也社長
業種 化学繊維用紡糸ノズルおよび押し出し成形用金型製造業
所在地 大阪府大阪市北区西天満6-3-17
電話 06-6313-2557

掲載日:2012年11月15日

大阪府製造業

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