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元気印中小企業


荒波乗り越え超微細加工へ進出するメッキのデパート [田口電機工業]

元気のひみつ
  • 早くから取り組んだ多品種少量生産
  • 自社で設計した自動化設備
  • 10年先を見据えた研究開発

 田口電機工業は「メッキのデパート」を掲げる金属表面処理の専門企業だ。50種以上の加工品種を誇り、多品種少量生産と付加価値の高い加工が強み。客先の業種も幅広く、顧客は約1700社。品質への信頼が裏付けられている。開発にも力を入れており、メッキによる微小電気機械システム(MEMS)微細部品の製造技術をラインアップに加えようと奮闘中だ。

倒産、火災、技術喪失からの復活

 「メッキは理論も大事だが、実際には理に合わない部分もある。そこが面白さだ」とほほ笑む田口英信社長は、田口電機工業の2代目経営者。メッキ技術者として30年以上のキャリアを持ち、2002年に中央職業能力開発協会の高度熟練技能者に認定された。現在の同社の技術力は田口社長の手腕による部分が大きい。
 「メッキのデパート」というキャッチフレーズは1952年(昭和27年)に創業した田口社長の実父の故・英夫氏が考えた。デパートという言葉で品ぞろえの豊富さと質の高さを併せ持つ自信を表現した。
 しかしこの技術は一度失われた経緯がある。同社は事業多角化に失敗し、1980年9月に会社更生法を申請、事実上倒産した。そして規模を大幅縮小した再出発後の84年、火災でほとんどの設備が灰と化し休眠会社となってしまった。
 85年に就任した田口社長が同社の復活に動きだしたが、その前には多くの苦労や困難が立ちはだかった。一方、この困難が現在の同社を支えているとも言える。多品種少量生産スタイルは、このころ築かれたからだ。

独学で設備を自作

 就任当時、田口電機工業は従来の顧客のほとんどを失っていたという。田口社長は鉄工所を見つけては飛び込み、注文を獲得する日々が続いた。電気、鉄工、溶接、制御といった諸分野を独力で学びながら、新規受注のたびに設備を自作して対応した。スピードと品質を武器に顧客の要望に応えなければならなかったのだ。今では一般的になっている多品種少量生産に、結果的に早期から取り組むこととなった。スピードに技術の高さが伴ったことも同社の評価につながった。
 99年に完成した本社工場は田口社長が自ら基本設計した自信作だ。「バケツにエプロンという、従来のメッキ業のイメージを変えたかった」という理想を具現化した。2003年に環境監査・管理の国際規格「ISO14001」、04年に品質管理・保証の国際規格「ISO9001」をそれぞれ取得した。
 現在の顧客は半導体、液晶製造装置と自動車関連が中心。それに電機、医療、食品、造船、重工業、航空宇宙関連と幅広い企業が名を連ね、同社への信頼を証明している。

研究者置きMEMSに参入

 同社は今、新たな技術として超微細加工の開発に取り組んでいる。メッキによるMEMS微細部品の製造だ。そのためには1マイクロメートル(マイクロは100万分の1)単位で表面処理を制御しなければならない。
 06年に近隣の佐賀県鳥栖市に「佐賀県立九州シンクロトロン光研究センター」が開設することを機に情報を収集。自社のメッキ技術を生かすことができる分野として、九州大学などと研究を始めた。2010年には国の「戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)」の認定を受けた。「大きな市場性を感じている」と田口社長は声を弾ませる。
 この技術は、高速で周回する電子から発生するシンクロトロン光や、高エネルギー・短波長の高輝度X線を利用する。金属基板上のレジスト膜にフォトマスクを通して照射。光が透過したレジスト部を溶解して構造体をつくる。電気鋳造メッキ加工を施すことで鋳型とし、プラスチックやセラミックで成形すれば微細部品の量産が可能になる。すでに実験室レベルでは部品組み立てに成功しているという。
 中小企業が専任の研究担当者を置き、開発に取り組むことは経営面で決して楽ではない。それでも研究を続ける背景には、08年のリーマン・ショックでモノづくりに対する田口社長の意識が変わったことがある。
 世界的不況で九州の基幹産業である自動車や半導体産業が打撃を受け、同社も売上高を減らした。以前よりさらに技術力を高める必要性を感じた。「研究開発は時間がかかるが、火種を消してはいけない」(田口社長)と力を込める。
 田口社長は、超微細加工が市場性を持ち始めるのは5-10年先と見ている。現在の研究は、その時に自社が「土俵に立っている」ためだ。大企業が大きなパイを取ってしまうことは想定している。しかし「大企業が手がけない『大きなすきま』に希望が持てる」と田口社長は顔を輝かせる。「メッキのデパート」の売り場は、まだまだ広がっていきそうだ。


メッキ技術を生かして製造した微細部品

メッキ技術を生かして製造した微細部品


Onepoint

人材育成で企業基盤強化を

 田口電機工業は高度経済成長を背景に創業し、重工業や家電、自動車、半導体と時代ごとに波に乗ってきた。一方で荒波にも遭遇。発注元である大企業の浮沈に苦しめられたこともあった。
 しかし現在の同社は顧客の裾野を広げ、超微細加工の研究開発で柱を築こうとしている。また人材育成にも力を入れている。オールラウンドプレーヤーの田口社長に、そのまま代わる人材はなかなかいないだろう。だが人材の総合力を強めることで、さらなる企業基盤の強化につながるはずだ。

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企業データ

田口英信社長

田口英信社長

会社名 田口電機工業(株)
代表者 田口英信社長
業種 金属表面処理業
所在地 佐賀県三養基郡基山町小倉399
電話 0942-92-2811

掲載日:2012年11月13日

佐賀県表面処理

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